ロエベからチャリティの限定Tシャツが登場。
Fashion 2018.06.26
全3型、各デザイン400枚の生産となる限定Tシャツがロエベから登場した。今回のプロジェクトは、クリエイティブ ディレクターのジョナサン・アンダーソンがアメリカ人アーティスト/フォトグラファー/映画制作者/活動家のデイヴィッド・ヴォイナロビッチの活動を讃え、より多くの人に向けて発信するべく構想したもの。それぞれのTシャツにはデイヴィッド・ヴォイナロビッチが1982年~1990年の間に制作した作品がプリントされている。
それぞれTシャツと同じプリントが施された特製パッケージ入り(左から2点めは日本未展開)。日本ではカサ ロエベ表参道、ロエベ銀座本店、ドーバーストリートマーケット銀座店、LOEWE.COMで販売。各¥14,445
デイヴィッド・ヴォイナロビッチ(1954〜1992)は、幼少期から青年期にかけて父親からの虐待や貧しさ、自殺願望などに満ちた日々を過ごし、浮浪者に化すなど退廃的かつ壮絶な生活を送る。そののち年上の写真家ピーター・ヒュージャーと出会い、師弟、恋人、兄弟、友人として彼と時間を共にするなかで芸術的才能を開花させていく。
Courtesy of LOEWE/Colección Marion Scemama © David Wojnarowicz estate
U2のシングル「ワン」のジャケットに使用された写真「Buffalos」。
ヴォイナロビッチは1978年にマンハッタンのイースト・ヴィレッジに移り住み、現地のアートシーンの中心的存在として創作活動を行うようになる。多くの作品に、同性愛者である自身の体験や感情が表現されている。
Courtesy of LOEWE/Colección Marion Scemama © David Wojnarowicz estate
1988〜1989年の間に撮影された写真「Naked man with banded eyes and stick」。
1980年代後半にエイズと診断されて以降は、当時起きたエイズパニックをテーマに、前面に主張を押し出した挑戦的な作品を数多く制作。エイズ・アクティヴィストとしてストレートで痛烈なメッセージを社会に投げかけ、1992年にエイズ関連症候群によって37歳で他界する。
現代においても、彼の作品は今なお議論を引き起こし、インスピレーションを与え続けている。ジョナサン・アンダーソンがヴォイナロビッチの勇気ある活動と作品に敬意を表して企画したのが今回のプロジェクトだ。
Courtesy of LOEWE/Pace/MacGill gallery © ©Peter Hujar Archive
写真の師でありパートナーであったピーター・ヒュージャーが撮影したヴォイナロビッチのポートレート。
Tシャツの制作はビジュアル・エイズ財団とヴォイナロビッチの遺作を管理するP.P.O.W Galleryのサポートによって実現したもの。ビジュアル・エイズ財団はHIV感染者のアーティストによる作品の保存とプロモーションを目的として1988年に設立された団体で、本プロジェクトの売り上げは全額ビジュアル・エイズ財団に寄付される。
Tシャツの販売に加え、6月4日〜8月26日までスペイン マドリードのロエベ グランビア店ではヴォイナロビッチとピーター・ヒュージャーの作品の展示会を開催。Tシャツをきっかけに、アーティストのメッセージやその根底にある社会の状況や問題への換気を促そうとするロエベの意欲的なプロジェクトに拍手!

ヴォイナロビッチがこの世を去る前年に撮影したセルフポートレートをプリント。Tシャツ¥14,445

ヴォイナロビッチ自身を描いたイラストにテキストを組み合わせた作品をプリント。彼の作品には写真、イラスト、テキストをミックスした表現も多い。¥14,445

1982年に描かれた男性と飛行機のイラスト。ヴォイナロビッチのイラストはシンプルなタッチから複雑で繊細なものまで、多様な表現を特徴とする。¥14,445



photo:© COURTESY OF LOEWE texte:NAOKO MONZEN