Delvaux バッグの歴史を切り拓いた、ベルギーの老舗。
Fashion 2019.11.20
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創業190年、初めて女性用のハンドバッグを発明した先駆的ブランド。いまもアイコンとして輝く名作バッグの歴史と出合いに、ベルギーのミュージアムを訪れた。
リフトの扉が開くと、正面に巨大「ブリヨン」が。デルヴォーのアイコニックアイテム「ブリヨン」は、1958年にベルギーの著名な建築家ポール・ゲタルスが、メゾンのためにデザインしたもの。
1829年、ブリュッセルを創業の地とするメゾン・デルヴォー。83年からは王室御用達の栄誉を守り続け、ベルギーの歴史とともに歩んできた。もともと軍隊の武器庫だったという煉瓦造りの歴史的建造物にある本社とアトリエに隣接して、このほどミュージアムが誕生した。
展示されているのは、アトリエや職人技の解説や、創業以来3,000モデルを超えるアーカイブからのバッグだけではない。CEOのジャン=マルク・ルビエは、「世界最古のラグジュアリーレザーグッズメゾン、ベルギー、ハンドバッグの発明者。ミュージアムは、デルヴォーのこの3つの物語を語ります」と話す。
吹き抜けのアトリエを抜けた2階がミュージアムに。
中世から20世紀まで、最初は男性が使用していた袋物がハンドバッグの前身。
アトリエとミュージアムを内包する本社。人が働き、製作するメゾンの内部にこそミュージアムを造りたかったという。月~木、完全予約制、ガイド付き見学のみ。
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ベルギーの歴史まで語る展示。
王室やブリュッセル万博のために製作されたバッグ、ベルギーの7つの都市にちなんだミニアチュール、アントワープのデザイナーとのコラボレーションなど、展示の随所でベルギーブランドとしての誇りを物語る。「ベルギー発祥のアール・デコ、ルネ・マグリットのシュルレアリスム、アントワープの急進的なモード……クオリティや機能性、ウィットに富んだデザインもすべてがベルギーらしさ。ベルギーという国を感じてもらいたい」
「ブリヨン・ミニ」を持つマティルド王妃。
1959年に結婚した前国王夫妻。王妃パオラの婚約を祝って製作された「モン・グラン・ボヌール」(私の最高の幸せ)。
58年、ブリュッセル万博のホステスのバッグも、もちろんデルヴォーの製作。
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また、蒐集された20世紀以前のオモニエール(袋物)コレクションの展示も見どころだ。19世紀末以降、女性が社会に進出し、身の回りの物を入れるハンドバッグのニーズが生まれた。デルヴォーはそれをいち早く汲み取り、1908年には革製ハンドバッグの意匠登録を行ったのだという。
時代に先駆けて意匠登録した、女性用革製ハンドバッグ「プリンセス」の登録証。書類には閉じた状態、開けた状態の写真があり、1908年8月27日の日付が見える。
50年代の留め金が美しいバッグから67年の「タンペート」、72年の初代「パン」、70年代に現れ始めたショルダーバッグまで、ズラリと並ぶ過去のモデルは女性たちの歴史を語りつつ、その現代性で見る者を驚かせる。デルヴォーのバッグにはロゴマークがない。どのモデルも強いアイデンティティがあり、バッグ自体がシグネチャーだから。
アトリエには、数世代にわたって愛用された年代物の革製品が、各地の顧客から送られてきて修理を待っている。「デルヴォーは時を経て使い続けられるもの。無駄をよしとしない、いまの価値観にもマッチする。モードを超えた現代的なバッグなのです」
いまも輝き続ける、アイコニックなバッグたち。
réalisation : MASAE TAKATA (PARIS OFFICE)