アウトドアと伝統的な工芸と技術が融合。バーバリーの2024年ウィンターコレクション。
Fashion 2024.02.27
イーストロンドンの緑豊かなヴィクトリアパークに建てられた巨大なテントで開催されたバーバリー2024年ウィンターのショーは、エイミー・ワインハウスのハスキーな歌声に乗って、襟を立てたトレンチコート姿で歩くアギネス・ディーンでスタートした。続くモデルたちも襟元や袖口をフェイクファーで飾ったダッフルコートやボンバージャケットに身を包み、厳しい冬でも快適に屋外を闊歩できそうなスタイルだ。
「バーバリーのアウトドアの伝統は、私にインスピレーションを与え続けています。2024年のウィンター・コレクションは、暖かく、保護的なものにしたいと考えていました」と、今回で3シーズン目を迎えるチーフ・クリエイティブ・オフィサーのダニエル・リーは語る。
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カラーパレットはオーガニックでアウトドアを感じさせる、深いブラウンやグリーン、ベージュ、そして温かみのあるカスタードクリーム。
「このコレクションにはクラフト感をもたらしました。私たちはまずバーバリーのアーカイブとロッホキャロンとドニゴールにある織物工場からはじめました。ファブリックやそれぞれのピースの作り方には伝統的なアプローチを取りたかったのです。クラフツマンシップは常にデザインの中心にあります」とリー。
そうして生まれたブランドのアイコンでもあるトレンチコートは、これまでのコットンギャバジンだけではなく、モールスキンやウール、レザーの多様な素材で登場。スリムなシルエットにガンフラップやラペルから裾までを波打ちながら縁取るジップや、オーバーサイズのスロートラッチ、エポレットなどをプラス。トラディショナルなスタイルを斬新に昇華した。そこにワイドパンツやマキシ丈のキルトスカートを合わせて、独特のシルエットを作り出している。
フィールドジャケットは、肌触りの良さそうなシアリングにフェイクファー、モールスキンなどを重ねたマルチレイヤー構造。万全の防寒だけではなく、オーバーサイズのフォルムやアクセントとなっているバーバリーチェックでスタイリッシュに仕上げている。
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注目のインナーは、お腹まで届きそうな深いVネックやカウルネックのセーターだ。洗いをかけた軽量ガーゼのウールで、しなやかで着心地の良さが伝わってくる。ペイズリー柄のブラウスはスカーフをリメイクしたものだという。
スパンコールをあしらったフリンジで動きに合わせてきらめくフロアレングスのドレスは、なんと敷き詰められた苔をイメージしてデザインされたとか。職人芸と自然の融合が感じられる。
バッグはウォッシュドレザー、なめし加工を加えたコットン、キルティング仕上げのシアリング、バーバリーチェックのジャガード織りキャンパス地などの素材を使った、さまざまなデザインが登場した。これまでも人気の「ナイト」と「ロッキンホース」に加えてお目見えしたトートバッグ「ジップバック」はサイドのジッパーで大きさの調整が可能で普段使いに重宝しそう。ジップとポケットを備えた「モーター」バッグは、機能性とデザイン性の両方を兼ね備えているのが魅力だ。
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シューズもアウトドアな機能的なスタイルに根ざしている。ラバーソウルは防水加工となっており、サドルブーツなどには馬術にインスパイアされたストラップがあしらわれている。しなやかなナッパレザーで覆われたプラットフォーム・ソールのブーツはエレガントさも漂わせる。
小物使いも見逃せない。頭をおおうスカーフはクラシックさを感じさせ、時折モデルたちが手にしている折りたたみ傘とともに、イギリスの天候を思わせるウィットを漂わせていた。
アギネス以外にも、ナオミ・キャンベル、リリー・コール、リリー・ドナルドソン、カレン・エルソンら、イギリスにルーツを持つアイコニックなモデルがランウェイを飾った。さらには元オアシスのリアム・ギャラガーと女優パッティ・ケンジントンの息子レノン・ギャラガー、デザイナーのフィービー・ファイロの娘マヤ・ウィグラムも登場。
それらの豪華キャストたちも、自然、アウトドア、職人芸、ワインハウスの歌曲などのイギリスを象徴する要素のその一つとなって、バーバリーの新たな1ページとなる今回のコレクションを盛り上げていた。
editing: Miyuki Sakamoto