セレブママは、なぜ子どもに自分と同じ服を着せる?

Fashion 2021.06.29

ママやパパとそっくりな服を着た赤ちゃんの写真を誇らしげにインスタグラムに投稿するスターが続出。この現象は何を物語っているのだろう?心理セラピストのカトリーヌ・ブロニマンと徹底解剖!

210628-emily-ratajkowski.jpg3ヶ月になる息子と色もプリントもおそろいの水着を着てポーズするエミリー・ラタコウスキー。Instagram@emrata

スターのインスタグラムを見ていると、必ずといっていいほど分身が登場する。トップモデルのジジ・ハディッドは自分と同じ水着を着た9ヶ月になる娘のカイ(後ろ姿)の写真を投稿。エミリー・ラタコウスキーの息子「スライ」ことシルベスターも、「ミニ・ラタコウスキー」としてインスタグラムにデビュー。身につけている水着は、SNS界のスター・インフルエンサーであるママの「エムラタ」こと、エミリーが着ているものと、色もプリントもまったく同じだ。セリーナ・ウィリアムズの3歳の娘オリンピアも、テニス界の女王であるママのウェアのミニチュア版を着た写真がよく公開されている。最近も、オーストラリアオープンでママが着用したアイコニックなルック、ジャンプスーツの子ども版を着た写真が投稿されたばかりだ。

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SNSでこの現象が頻繁に見られるようになったのは最近ではない。数年前には、ビヨンセの娘のブルー・アイヴィー・パーカーや、キム・カーダシアンの娘ノース・ウェストも、それぞれ有名な母親のミニチュアモデルのようなルックを披露していた。服を提供しているのはファッションブランド。「ミニ・ミー」に主力を注ぐブランドは現在ますます増えている。心理セラピストで『プシュケのドレス、精神分析と装いの関係についての試論』(1)の著者であるカトリーヌ・ブロニマンと、セレブの子どもたちを巻き込んだこのファッショントレンドを検証した。

ーー子どもに自分と同じ格好をさせて、SNSに投稿するのはなぜなのでしょう?

そこにあるのは明らかに一種のナルシシズムです。「私が持っているもののなかで最も美しいものを見せる。それが私自身に似ていたらうれしい」という発想です。その見返りとして、承認や賞賛を期待しているわけです。かつて私たちは自分のプライベートを世間の人に見せようとは思いませんでしたが、SNSの登場で、いまはそれが当たり前になった。子どもに自分と同じ服を着せようとすることは、無意識のうちに、他者を自己に同化させる感覚や、時の経過を受け入れることの難しさ、不死に触れることの難しさを感じていることでもあります。

ーーセレブ以外の一般の親も、子どもにおそろいの服を着せるのはよくあることでしょうか?

人は誰でも好きな方向に向かうものです。親が子どもに自分が好きな服装をさせるのは普通のこと。それも親から子への伝承のひとつの形でしょう。子どもはみな、母親との同一化の過程を経るもので、それもごく普通のことです。マリンルックが好きで、子どもにも着せたいと思ったからといって、必ずしも親子で同じときにマリンルックを着るわけではありません。まったく同じ格好をした自分と子どもの写真を投稿することは、それとは違います。それはある意味で他者との同化であり、こちらの方がより多くの問題を孕んでいます。あたかも親が「私は自分の子どもと自分自身を区別していない」と言っているようなものです。

ーーこのナルシスティックな快楽は、子どもの成長にどのような影響を及ぼしますか?

ちょっとした思いつきで、冗談でやっているのであれば、おもしろい行動というだけで、何の害もありません。ただ、それが継続して行われたり、SNSに定期的に投稿して、子どもがまるで自分自身であるかのように見せるのは問題があります。他者が自分に同化していると思えることは、へその緒がまだ切れていないことを示唆しています。母親と自分がそっくりだというイメージから、子どもはどうやって抜け出したらいいのでしょうか?自律性を獲得するのが難しくなるかもしれません。この時期の経験の仕方はひとりひとりまったく違います。5、6年経って、これは”ばかげたこと”だと思うようになる親子もいるでしょう。そうすれば子どもは自分で自分の服を選ぶようになります。あるいは、このポジションを維持し続ける子どももいるでしょう。いずれにせよ、ある程度の年齢になったら、子どもはちゃんと親離れするものです。子どもなりの小さな革命を起こすわけです。より辛い思いをするのは母親の方かもしれません。自分とは違う人の生を自分のものにしようとして、いつしか他者と自分自身との区別をつけることが難しくなる場合もあります。

(1)Catherine Bronnimann 「La Robe de Psyché, Essai de lien entre psychanalyse et vêtement」L’Harmattan出版刊

text : Sabrina Pons (madame.lefigaro.fr)

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