cos デイリーウエアを再定義、COSが示す新たな未来。
Fashion 2021.09.29
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COS(コス)は、去る9月21日に、2021年秋冬コレクションをロンドンファッションウィークで発表。独創的な会場の真っ白なキャンバスに、色、光、動きが投影され、フィジカルとデジタルが融合した空間でのショーは、COSの新時代の幕開けを感じさせるのにふさわしいものだった。
ゆったりとしたシルエット、エポレットやベルトループなどディテールをあえて削ぎ落としたミニマルなデザインが特徴的な秋冬コレクション。コート¥35,000、中に着たジャケット¥22,500、パンツ¥17,500、シューズ¥22,500、バッグ¥12,500/以上COS
気候変動や自然環境にまつわる問題、コロナ禍による人々の意識やライフスタイルの変化など、私たちが直面している変動の時代を切り抜けようとするCOSは、ブランドが掲げる目的意識と責務に新たな活気を吹き込むことで、ブランドとして向かうべき新たな方向性を今シーズンのコレクションで表現。クラフトマンシップと長く愛用できるものづくりへのこだわりは、COSがもともと持つ特長のひとつだったが、さらにサステナビリティへのコミットメントを深めつつ、ワードローブの定番をアップデートする手法にも注目し、デイリーウエアを再定義。その具体的な取組みやランウェイショーの感想などを、クリエイティブディレクターのカリン・グスタフソンに独占インタビュー。
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――COSは、この秋冬コレクションからブランドとして向かうべき新たな方向性を提示するとのことですが、そう決意された背景と具体的なプロセスは?
21年秋冬コレクションは、COSの新たな方向性を示すファーストコレクションになります。ファッション性よりもタイムレスなスタイルを重要視する一方で、ワードローブの定番アイテムをアップデートする手法にも注目し、デイリーウエアを再定義しました。私たちは今回のコレクションをデザインする際に、未来を見据えてすべての段階で永続的である服を作る、という目標について考えてみました。そして、サステイナブルな素材を使用しながらも、品質には決して妥協せず、私たちの価値観に忠実なアイテムを作り上げました。アイコニックな服に本来備わっているべきディテールや緻密な構造について見直す作業から取りかかり、コントラストを効かせたバインディングからハンドステッチの補強、そして調整可能な機能を備えたテーラリングの新しいフィット感など、新しい機能を追加しました。これらはすべて、着用した時に高級感をもたらす要素となるのです。
――サステイナブルでタイムレスなのは、もともとCOSの特徴のひとつですよね。
私たちは、クラフトマンシップと長く愛せるものづくりにこだわり続けています。素材の革新と長く愛用できるデザインコンセプトの両方がCOSの核心であり、サステナビリティへのコミットメントを育んでいます。私たちは、デザインプロセス全体を通して考え練られたアプローチをとり、素材を選ぶ際には、天然資源の需要を制限するために、可能な限りオーガニック、再利用、またはリサイクルされた素材を使用するようにしています。最近では、野花を乾燥させて作った天然素材「FLWRDWN™」をパッド付きアウターウエアに採用しました。認証された素材、リサイクル素材、オーガニック素材、そして革新的な繊維を使用することは、2030年までに100%持続可能な方法で調達された素材を使用するという目標に貢献するものです。
――ここ最近、日本でもサステイナブルなファッションへの意識の高まりが以前よりも感じられます。サステナビリティに対する人々の心理の変化は、ロンドンでも感じられますか?
その通りです。ここロンドンでは、何年も前からこの問題が話題になっています。最大の変化は、未来に向けてよりよいデザインを生み出すために、作り手が責任を持って取り組むようになったことです。多くのアーティストやデザイナーが、古いディテールや生地を再利用するなど、より資源を大切にするようになっています。COSでは、クラフトマンシップを重視し、デザインプロセス全体を考慮したうえで、長く愛用できるものを作り続けることにも尽力しています。
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ワンピース¥12,500、パンツ¥17,500、シューズ¥22,500/以上COS
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――さて、秋冬コレクションのランウェイショーについてお伺いします。楕円形の木製の舞台に布製のスクリーンを何枚も張ったランウェイと、映像を同時に流しながらのショーは、アーティスティックで印象的でした。会場の反応はいかがでしたか?
私たちは、フィジカルとデジタルの両方を兼ね備えたハイブリッドなショーを作りたいと考えました。ライブストリームをご覧になった方が、実際にショーに参加された方と同じように進化したCOSの世界観に浸り、刺激を受けたと願っています。実際、観客からの反応は素晴らしく、私たちにとっては本当にうれしい瞬間でした。実は2007年のCOS立ち上げ当初、最初のコレクションをロンドンファッションウィークのショーで発表したのですが、私は、新しい方向性や旅路に目を向けながらも、原点回帰することを心がけています。
――ショーのスタイリングは、どの服も着心地の良さは感じさせつつも、ステイホームやWFH(在宅勤務)ではなく、「外に出かけていく」「オフィスで仕事をする」「誰かと会う」ための服だと感じたのですが、その点は意識されましたか?
今回のコレクションは、さまざまなシーンで着用可能なデザインしました。たとえばルック19(編集注:5/11の画像)のオーバーサイズでゆったりとしたカシミアニットは、家で寛ぐ時にも、公園を散歩する時にも最適ですし、よりテーラードなアイテムは、オフィスでも夜の外出の際にもぴったりです。
――今季のテーマ、インスピレーション源について教えてください。
秋冬はレイヤードスタイルが多く、オーバーサイズのフィット感が特徴で、リラックスした雰囲気を醸し出しています。私たちのデザインは、仕事にも週末にも使えるもので、スタイリングの多様性が鍵となります。今回のコレクションでは、私たちのデザイン哲学の基本に立ち返り、プロポーションを再構築することで、力強く自信に満ちたシルエットを生み出しました。レトロなフィット感と90年代のミニマリズムからインスピレーションを得て、最新のテーラリングや調整可能なフィット感など、内側の仕上げやディテールに重点を置いています。
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ニット¥30,000、スカート¥15,000、ピアス¥3,900、ブーツ¥52,500、バッグ¥25,000/以上COS
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――同時に発表されたメンズコレクションも気になりました。ニットや小物類、フリースジャケットなどは女性も取り入れられそうです。世間ではファッションのジェンダーレス化がますます進んでいますが、COSもそうした流れを意識されていますか?
ファッションはクリエイティブなものであり、スタイリングは個人の自由であるべきなので、お客様には制限を感じてほしくありません。必要に応じて、アイテムごとにサイズを上げたり下げたりして、自分なりのアウトフィットを作り、シルエットを試してみることをおすすめします。
ブルゾン¥59,000、中に着たニット¥30,000、パンツ¥12,500、シューズ¥22,500、バッグ¥39,000/以上COS
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――今季のコレクションから、グスタフソンさんご自身のワードローブに加えたアイテムは?
私がとくに気に入っているのは、ウール素材のディープVネックノースリーブベストです。これらは、さまざまな場面や季節に合わせて重ね着できる、1枚あると着回しを楽しめる素晴らしいアイテムです。
ベスト¥19,000、パンツ¥17,500、シューズ¥22,500、バッグ¥22,500/以上COS
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――秋冬キャンペーンビジュアルには、ラケル・ジマーマン、俳優のマニー・ジャシント、アクティビストのジャナヤ・フューチャー・カーンなど多彩な顔ぶれを起用していますね。
キャンペーン撮影で、刺激的な人々と仕事をするのはとてもワクワクすることです。秋冬のキャンペーンでは、ファッションのレンズを通して、現代文化を見る新しい方法を模索しました。起用した革新的なキャストの背景(編集注:ハリウッドの中でのアジア系としての存在、ブラック・ライブズ・マターとそのムーブメントを率いること、ノンバイナリーなど)は、私たちが考える未来を体現・象徴しているようで、COSにとって本当に刺激的なことです。
トップモデルのラケル・ジマーマンもキャンペーンに登場。シャツ¥10,500/COS
フィリピン系カナダ人俳優のマニー・ジャシントは、NBCの人気シットコム「グッド・プレイス」で人気を博し、アジア系俳優のひとりとして活躍中。ニット¥13,500、パンツ¥13,500/ともにCOS
ブラック・ライブズ・マターの活動家、ジャナヤ・フューチャー・カーンは、ノンバイナリーであることも公言。まさにいまの時代を象徴する人物。シャツ¥10,500、中に着たTシャツ¥2,250、ベルト¥5,900、パンツ¥12,500/以上COS
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――前回、madame FIGARO.jpでインタビューを行ったのは、20年初めでした。その後、コロナ禍に見舞われてしまいましたが、グスタフソンさんご自身にとってこの経験は、公私にわたってどのような変化をもたらしましたか?
いまでは、自分にとって本当に必要なものは何か、必要でないものは何かをよく考えるようになりましたし、多くの人々の意識もこのように変わってきていると思います。ある意味、私たちが提供するものは、以前よりもさらに優れたものでなければなりません。また、都市と田舎の間の移動や、公園や自然の中を探索する時間が増えていることに気付きました。こうしたライフスタイルの変化が、着心地のよさがスタイルと融合することへの期待を意味すると思います。
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コート¥35,000、中に着たニット¥6,900、バッグ¥12,500、ブーツ¥50,000/以上COS
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ドレス¥10,500、シューズ¥22,500/ともにCOS
スウェーデン・リンショーピン生まれ。母親の影響で、幼少より服作りを始める。ロイヤル・カレッジ・オブ・アートにてウィメンズウエアデザインの修士課程修了直後の2006年、COSのデザインチームに加わる。2007年、ウィメンズウェア クラシック セクションのデザイナーへ昇進し、2011年にはウィメンズウェアのヘッドデザイナーに着任。2016年より、COSのクリエイティブ・ディレクターに。
text: Natsuko Kadokura