ライター栗山愛以による、パリコレ日記。東京から遠隔でコレクション取材を続ける栗山が、マニアックな視点で気になる最新トレンドを綴る。
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PARIS COLLECTION
DAY 2
Courrèges
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また肌見せが来た!
ブラジャー、ドレス、スカート、バギーパンツなどに生地が交差するデザインが施されている。
クレージュといえばミニスカートがシグネチャーだが、上半身はストイックに肌を覆うイメージ。これまた斬新、と思っていたらどうやら昨年アーティスティックディレクターに就任したばかりのニコラス・デ・フェリーチェ所有の1976年のドレスのストラップから着想を得たらしい。インスタにアップされていた以下みたいな感じなのか。
当時は白いタートルネックのニットとか重ねていそうだが、ニコラスさんは1枚でがつんと見せて、光沢のある素材もあいまってハードな印象。クレージュのパワフルな新解釈、いいですね!
ところで、今回はフェスファッションをテーマにしていて会場となったヴァンセンヌの森ではよく野外パーティが開催されていたようなのだが、加えてニコラスさんが「自粛中にボーイフレンドと再開した場所」でもあるんだそう。そういうお話を公表する感じも新しい……
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Dries Van Noten
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色のついた粉や水をかけ合うヒンドゥー教の伝統的なホーリー祭がインスピレーションとなったよう。コロナ後の世界に向けてのポジティブな気持ちの表れなのか、カラフルで華やか、そして喜びに満ちている。音楽が80年代アイコンのグレイス・ジョーンズで、当時のアグレッシブな感じも要素のひとつとなっているのかもしれない。
グラデーションカラーのヘアや、ロングネイルもインパクト大。
ステイホームのためのシンプル・リラックス礼賛はもう終わり。来季は装飾を楽しまねば!
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Chloé
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ショー会場はセーヌ川の河岸、トゥルネルの港。晴天だったようで、気持ち良さそうな感じがムービーからも伝わってくる。いいなあ。
コレクションはこのシチュエーションにぴったりのリラックスしたムード。クリエイティブディレクター、ガブリエラ・ハーストさんの出身地南米ウルグアイを彷彿とさせる要素も先シーズンに引き続き感じられる。ナチュラルテイスト一辺倒ではなく、大ぶりのアクセサリーや強い黒のアイラインが引き締め役になっていた。
今季は低環境負荷素材使用率がさらに拡大し、インディペンデントな職人の手で作られる製品「Chloé Craft」も導入。デッドストックや残反もふんだんに用いるなど、ますますサステナビリティへの試みが加速している。
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Raf Simons
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肌見せ、タイトシルエットが続く中、シグネチャーのオーバーサイズを貫いている。
プレスリリースにはヘビメタ好きやブラック・サバスのレコードジャケットなども参照するカナダのアーティスト、スティーブン・シアラーやルーマニア出身のアーティスト、アンドラ・ウルスタに加え、16〜17世紀のフランドル絵画に大きな影響を与えた画家、ピーテル・ブリューゲル1世と長男ピーテル2世の名前がある。全体に漂うゴス、ヘビメタの空気はそんなところから来ているのか……
今季もメンズとウィメンズ混合で発表。モデルもアンドロジナスなタイプが多いのだが、メンズにはフラット、ウィメンズにはヒールを合わせているのがやや気になる。靴もランダムでいいんじゃないかな⁉
text: Itoi Kuriyama photos:imaxtree