美しい服の理由。 未来へ向けて闊歩したくなる、エルメスの話。
Fashion 2021.11.11
一着の服によってもたらされる高揚感や喜びは、何ものにも代えがたい。その服に込められた力は、いったいどこから来るのだろう。クリエイションの原点やメゾンのアティチュード、ものづくりの哲学など、私たちが愛してやまないファッションの物語を紐解いてみよう。今回は、エルメスの話。
HERMÈS
[ 新しい時代の自由な装い ]
スクエアのパネル状に切り出した柔らかなレザーを繋ぎ合わせた美しいドレスは、アームホールの直線的なラインがモダン。レザーの繋ぎ目に輝く「メドール」のスタッズに、メゾンのアティチュードが宿る。デイウエアとしてもイブニングドレスとしても纏える、新しい時代を生きる女性のための一着だ。ドレス¥962,500、チェーンベルトネックレス¥239,800、ブーツ¥279,400/以上エルメス(エルメスジャポン)
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エルメスによる三都物語
通常のショー以上の何かが望まれている状況というこの特殊な瞬間の足跡を残したいと考えました。男性も女性も移動することができないのなら、コレクションを移動させ、私たちの方から皆さんに会いに行く、それはロマンティックではありませんか
——ナデージュ・ヴァンヘ=シビュルスキー(レディスプレタポルテ部門 アーティスティックディレクター)
2021AW、エルメスが挑戦したのは、パリ、ニューヨーク、上海と3都市を跨いでのライブパフォーマンスだ。パリではショー形式、ニューヨークと上海ではダンスを交え、各都市を繋いだ映像を連続して配信するという、まったく新しいスタイルの表現を生み出した。国を跨いでの移動ができなくても、ほかの都市や文化と自由に繋がり対話をすることができる。もはや距離は問題ではない。遠く離れていても、世界は近い。
それは、“自由をもたらす装い”という、今シーズンのコレクションのテーマにも通ずる。エルメスが発信するのは、行先が見えない現代の道しるべになるようなポジティブなメッセージだ。そう、私たちは自由だ。未来を見据えながら、新しい時代を闊歩するための服。それが今シーズン、ナデージュが作り出したワードローブのすべてだ。
エルメスジャポン tel:03-3569-3300
*「フィガロジャポン」2021年10月号より抜粋
photography: Mitsuo Okamoto styling: Tamao Iida hair: Yusuke Morioka (Eight Peace) makeup: Nobuko Maekawa (Perle Management)