美しい服の理由。 バーバリー、トレンチコートの秘密。

Fashion 2021.11.13

一着の服によってもたらされる高揚感や喜びは、何ものにも代えがたい。その服に込められた力は、いったいどこから来るのだろう。クリエイションの原点やメゾンのアティチュード、ものづくりの哲学など、私たちが愛してやまないファッションの物語を紐解いてみよう。今回は、バーバリーの話。

BURBERRY
[ パワーウーマンが纏う現代の鎧 ] 

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リカルド・ティッシが掲げた今シーズンのテーマ「フェミニニティ」。表面に現れる強さだけではなく、女性の内なるエネルギーや力に焦点を当てた。ブランドのアイコンであるトレンチコートはノーカラーの襟元にスリットのディテールを取り入れ、あえて裏地をデザインとして見せるなど伝統的なデザインにモダンなひねりをプラスしている。ベージュを主軸にした穏やかな色合いに、シャープなテーラリングで描く力強い女性像が冴えわたる。Vネックトレンチコート¥550,000、ジレ¥357,500、シースルーボディスーツ¥88,000、ショートパンツ¥105,600、ハット¥88,000、ソックスブーツ¥178,200(すべて予定価格)/以上バーバリー(バーバリー・ジャパン)

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トレンチコートに宿るヘリテージと冒険家精神

1879年、トーマス・バーバリーは英国特有の過酷な天候から人々を守るためにまったく新しい素材のコートを発明した。彼が考案したのは、軽量で通気性のある密に織られたギャバジン素材だ。

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1940年のキャンペーンポスター。20世紀初頭に英国陸軍省の依頼により、塹壕(トレンチ)での戦闘にも対応できるように改良が重ねられ、それが今日のトレンチコートの原型となった。特徴的なエポレットは将校の階級を示し、金属製のDリングは軍事用品を下げるためにあしらわれたものだった。

それまでのレインウエアはオイル引きやゴム引きの布地で作られ、高い撥水性を備えているものの、重さや着心地の面から長時間の着用には不向きだった。この発明が革新をもたらした。トーマスが考案したギャバジンのコートは、その後、さまざまな冒険家たちに愛される。

1893年、ノルウェーの探検家で動物学者、ノーベル平和賞受賞者でもあるフリチョフ・ナンセン博士は、北極探検家として初めてバーバリーのギャバジンコートに身を包み、北極圏に向かって出航した。1908年、空軍准将エドワード・メイトランドがバーバリーのコートを纏い、ロンドンのクリスタルパレスからロシアまでの気球の旅を敢行。長距離飛行し、世界記録および英国での長距離飛行記録を達成する。1911年にノルウェーの探検家ロアルド・アムンゼン大佐が、南極点到着レースで南極点一番乗りを果たした時に纏っていたのもバーバリーのコートだった。

トレンチコートは140年以上の間、世界中の冒険家たちに愛されてきた。このコートをめぐる冒険の旅はまだまだ続く。これから先、どんな景色が待っているのだろう。どんな過酷な状況下であっても、このコートとともに歩いてみせよう。

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原材料には最高級の超長綿を採用。1cmあたり100本以上の糸を織り合わせた高密度なツイル生地は通気性を保ちつつ雨の浸透を防ぐ。

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1着のトレンチコートが完成するまでに熟練の職人の手による100にも及ぶ工程を要する。

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数々の工程の中でもっとも熟練の技術を求められる襟付けの工程。襟は首まわりにぴったりと沿う緩やかなカーブをつけるために、襟の長さに合わせて180針以上のステッチが手縫いで施される。コートのライナーは60年代に使用されていたヴィンテージチェックを採用。襟の裏地は、チェック柄が襟の中心で完璧に交差するように45度の角度で斜めに縫い合わされる。

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3回の撥水加工を施すことで撥水性が向上。

●問い合わせ先:
バーバリー・ジャパン tel:0066-33-812819

*「フィガロジャポン」2021年10月号より抜粋

photography: Mitsuo Okamoto styling: Tamao Iida hair: Yusuke Morioka (Eight Peace)  makeup: Nobuko Maekawa (Perle Management)

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