TOWARD A NEW STANDARD 【前編】メゾンの現在地を示す定番&新定番。

Fashion 2021.12.01

ルーツを辿れば、自ずとアイデンティティが見えてくる。世界観を象徴するアイテムとそれをアップデートした最新作から、各ブランドのクリエイションの現在地を探る。前後編にてわたってお届け。
後編へ>

( エルメスのシェーヌ・ダンクル )

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「シェーヌ・ダンクル・ヴェルソ」ブレスレット、左(ブラックセラミック×PG)¥804,100、右(ダイヤモンド×PG)¥1,144,000、リング(ブラックセラミック×PG)¥687,500、ニット(参考商品)/以上エルメス(エルメスジャポン)

2代目当主エミールの娘婿であるロベール・デュマは、船を係留する錨の鎖を見てブレスレットの製作を思いつく。こうして1938年に誕生した「シェーヌ・ダンクル」は、メゾンが海や船にも目を向けるきっかけとなった。重すぎず軽すぎず、宝飾品特有の気取りもない。その完璧なデザインはリングにも形を変え、現在はピンクゴールドとブラックセラミックやダイヤモンドを纏ったモダンな姿に。無地のニットにもなじむ自然体のエレガンスは、これからも輝き続ける。

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普遍的なデザインが魅力の「シェーヌ・ダンクル」

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( マッキントッシュのゴム引きコート )

いまでこそ防水素材は数あれど、オリジンは1823年に開発されたマッキントッシュ・クロス。2枚の生地の間に溶かした天然ゴムを塗り、圧着することで高い防水性を実現。乗馬用フィールドコートのほか、英国陸軍のユニフォームや英国国鉄員の外套としても採用された。そんなストーリーを持つファブリックに魅了されたデザイナーは多く、セシリー・バンセンもそのひとり。柔らかく広がるパフスリーブとボリュームシルエットを落とし込み、確かな機能性にモードなデザインをミックスした。

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アノラック¥555,500/セシリー バンセン クラフテッド バイ マッキントッシュ(ドーバー ストリート マーケット ギンザ) スカート¥296,300(輸入関税込み、予定価格)/セシリー バンセン(ファーフェッチ カスタマーサービス) ネックウォーマー¥13,200、グローブ¥9,900/ともにジェーンスミス(アダム エ ロペ) ピアス¥20,900/ル シック ラディカル(フィルグ ショールーム) シューズ¥26,400/ヌーン バイ アキコアオキ(アキコアオキ) ソックス/スタイリスト私物 左上:ブランドを代表するステンカラーコート「バントン」¥179,300/マッキントッシュ(マッキントッシュ青山店)

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( ジョルジオ アルマーニのテーラードジャケット )

“女性の社会進出を手助けするための洋服を作りたい”。1970年代にジョルジオ・アルマーニが抱いた理想は、自らが生み出した芯地のないアンコンストラクテッドジャケットがベースの、メンズライクなシルエットを持つブラックジャケットとして結実。それから約50年を経て、80年代を思わせるパワーショルダーデザインを採用。パワフルでありながらフェミニニティを薫らせるベージュカラーとシェイプされたウエストラインに、いまも変わらないあの時の想いが宿る。

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ジャケット¥385,000、パンツ¥181,500/ともにジョルジオ アルマーニ(ジョルジオ アルマーニ ジャパン)

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ジャケット¥396,000、パンツ¥162,800/ともにジョルジオ アルマーニ(ジョルジオ アルマーニ ジャパン)

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( エトロのアルニカペイズリー )

若かりし頃にインドのカシミールショールに出合い、魅せられた創業者のジンモ・エトロが、19世紀後半には完全に姿を消していたカシミール紋様(ペイズリー)を蘇らせたことからエトロの歴史は始まる。その後の1984年に誕生した、5色の糸をジャカードで表現しコーティングを施したアルニカこそ、シグネチャーでありDNAともいえる存在だ。コインケースやAirPodsケースが付属したクロスボディバッグの現代的なデザインとの対比によって、温もりあふれるこの柄の魅力は何倍にも増す。

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(左)バッグ¥185,900、ジャケット¥341,000、ニット¥121,000、シャツ¥74,800、(右)バッグ¥162,800、トップ¥385,000、シャツ¥148,500、ショーツ¥104,500/以上エトロ(エトロジャパン)

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( クロエのブラウス )

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ブラウス¥339,900、スカート¥374,000、ブーツ¥214,500(予定価格)、ベルト(参考商品)/ 以上クロエ(クロエ カスタマーリレーションズ)

1960年代初めに発表された一着のシルクのブラウスが、その後もブランドのワードローブとアティチュードの象徴であり続けた。マスキュリンとフェミニンの両要素を持つエレガントなスタイルを標榜するクロエにとって、ブラウスは欠かせないアイテムだ。フロントとバックに施されたV字型のプラストロンと、繊細なプリーツのフリルが優雅に揺れる様がランウェイでもひと際印象的だった今シーズン。当時のロマンティックかつエフォートレスなスタイルが、ここに受け継がれている。

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1962年の秋服コレクションで発表されたブラウス。

 

後半に続く

 

●問い合わせ先:
エルメスジャポン tel:03-3569-3300
ドーバー ストリート マーケット ギンザ tel:03-6228-5080
ファーフェッチ カスタマーサービス tel:050-3205-0749
アダム エ ロペ 0120-298-133(フリーダイヤル)
フィルグ ショールーム tel:03-5357-8771
アキコアオキ tel:03-5829-6188
マッキントッシュ青山店 tel:03-6418-5711
ジョルジオ アルマーニ ジャパン tel:03-6274-7070
エトロジャパン tel:03-3406-2655
クロエ カスタマーリレーションズ tel:03-4335-1750

*「フィガロジャポン」2021年10月号より抜粋

photography: Keita Goto (W) styling: Chiaki Utsunomiya hair & makeup: Hiroko Ishikawa (eek)

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