マニフェストとポエジーの間で揺れる、バルマンのコレクション

Fashion 2022.05.03

春夏シーンズも落ち着きを見せたこの頃。次のシーズンに向けて、最新コレクションを振り返ろう。


3月2日にバルマンのショーがパリで開催された。プレリュードのダンスパフォーマンスの後、新作が続々と登場した。

 

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Le défilé Balmain automne-hiver 2022-2023, le 2 mars à Paris. STEPHANE DE SAKUTIN / AFP

Le décor. (舞台装置)ウクライナの戦争が人々の頭を占める最中に2022ー2023年秋冬プレタポルテのファッションショーを実施することと、いままさに世界で起きている出来事との間には大きなずれがある。この日、オリヴィエ・ルスタンは、自ら率いるバルマンのショーが始まる数時間前にインスタグラムで心境を吐露した。「コレクションを発表するにあたり、私たちはもっと重要なことがいま世界で起きていることを十分に意識しています。重苦しい気持ちで最新ニュースを読みながら、ショーや服に集中するのは難しいことです。私たちの思いと祈りはウクライナの人々とともにあります」。いまの時代にどうしようもなく不足している詩情を掻き立てようと、バルマンのクリエイティブ ディレクターはメッセージを発した。そしてその詩情はダンスによって表現された。パリの旧屋内市場、ル・カロー・デュ・タンプルのインダストリアルな鉄柱の合間で、ダンサーたちが披露したのは、戦いと平和を連想させるパフォーマンス。ラストにふたりの兵士が熱烈なキスを交わす。ショーのフィナーレには、アントワーヌ・ドゥ・サン=デグジュペリの『星の王子さま』から「自分を判断すのるのは他人を判断するよりもずっと難しい」という言葉が引用された。

L'allure. (ルック)ショーの冒頭からルスタンのシグネチャーコードが炸裂した。白、黒、デニム、金の装飾……。101点のルックからなる新コレクションは、いわば「防護」服を纏った勝ち誇る身体ともいうべき、ふたつの美学の融合に思いを誘う。ミニドレス、レザーレギンス、クロップトップス、目がくらむような細いハイヒール、深く開いたデコルテ、透ける素材、さらにはスリットなど、肉体を際立たせるアイテムやテクニックが多用される。すべてのルックに甲冑をモチーフにしたパーツが取り入れられ、コルセット、メタリックなディテールの施されたトップ、ベルト、ジャケット、XXLサイズのコートと、多様なバリエーションが生み出されていく。オーバーサイズシャツ、ゆったりとしたパンツ、レース、強調された肩のラインも今シーズンのキーワードだ。

Le front row. (フロントロウ)2日前にオフ-ホワイトのショーを歩いたセリーナ・ウィリアムズ。そのすぐ近くに、ブラジル人サッカー選手のネイマールの姿も。アドリアナ・リマ、ジャン・ポール・ゴルチエも最前列に。

Le détail. (ディテール)コルセットとボリュームのあるスカートを組み合わせたマリエは白だけでなく黒ヴァージョンも発表された。

バルマン 全ルックへ

text: Sabrina Pons (madame.lefigaro.fr)

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