サンローラン、ソワレのための黒の装いを提案。

Fashion 2022.05.03

春夏シーンズも落ち着きを見せたこの頃。次のシーズンに向けて、最新コレクションを振り返ろう。


ファッションウィーク2日目、アンソニー・ヴァカレロは、凛とした、重厚な風格のルックを発表。

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Défilé Saint Laurent automne-hiver 2022-2023. (Paris, le 1er mars 2022.) Imaxtree

Le décor. (舞台装置)サンローランのクリエイティブ・ディレクター、アンソニー・ヴァカレロはショー会場として格好の場所を見つけた。今回もエッフェル塔の正面に位置するトロカデロ前の広場にガラスの巨大な構造物を設け、ランウェイを設置した。夜の帳が下りると、ガラス張りの大きな開口の向こうで鉄の貴婦人がキラキラと光り始める。床にはシミひとつないベージュの絨毯が敷き詰められ、招待客たちは静謐な雰囲気に浸されて、都市の喧騒から遠く離れた場所にいるような錯覚に陥る。ショーはライブ配信されたので、多くの人々がこの映画的な舞台装置をリモートで目撃したに違いない。

L'allure. (ルック)2016年以降コレクションを手がけるベルギー人デザイナー、アンソニー・ヴァカレロ。彼の特徴である、極めて女性らしいシルエットが今回も結集した。すらりと伸びた脚にピンヒール、1980年代のエッセンスにツイストを加えた完璧なカッティング、彼が得意とする目の眩むようなモード。2022ー2023年秋冬コレクションで発表されたルックはどれも官能性と恐れを知らない強い女性のイメージを喚起する。デザイナーはこの劇的なショーにサンローランの黒へのオマージュを添えた。黒を「心のよりどころ」と形容していたサンローランはかつて「黒という色はひとつではない、複数の黒がある」と語っている。こうして黒のバリエーションを基調とする崇高なシルエットが荘厳な雰囲気のなか、次々と登場した。ジャケット、フェイクファー、ピーコート、ロングコート、どれも網膜に焼き付けておきたくなるようなルックだ。1980年代のアイコニックなシルエットも少なくない。ゆったりとしたレザーブルゾン、スクエアショルダー、レギンス、手首に何重にも重ねられたブレスレットが、軽やかなロングドレスと並んで個性を添えた。

Le front row. (フロントロウ)最前列にはセレブたちがずらりと並んで、自由への渇望と刺激に満ちたメゾンの新作を鑑賞。なかでも特筆すべきスターはベティ・カトルーとカトリーヌ・ドヌーヴ。どちらもサンローランのミューズだ。

Le détail. (ディテール)立ち上げた大きな襟、サングラス、目がくらむほど高く細いヒール、ポケットに入れた両手……。解放されたフェミニニティへのオマージュ。

サンローラン 全ルックへ

text: Sabrina Pons (madame.lefigaro.fr)

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