シグネチャーコードにひねりを加えた、エルメスのショー。

Fashion 2022.05.04

春夏シーンズも落ち着きを見せたこの頃。次のシーズンに向けて、最新コレクションを振り返ろう。


エルメスレディースコレクションのアーティスティック・ディレクター、ナデージュ・ヴァンへ=シビュルスキは、来年の冬に向けて、光の中を大胆に前進するネオ女性騎手を招集した。

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Défilé Hermès automne-hiver 2022-2023. (Paris, le 5 mars 2022.) Imaxtree

ケリング、LVMH、シャネルに続き、エルメスもロシアに展開する店舗の「一時」休業を発表した。3/5(土)14時30分、エルメス2022ー2023年秋冬レディースコレクションのショーが幕を開けるのと同時に、ウクライナを支持するデモに参加する人々の声がフランスの首都に響き始めた。舞台装置は時局を鑑みてシンプル。取材陣の喧騒も、デザイナーの声明もなし。ショー会場となったパリの共和国衛兵舎の一室の床には淡緑色の砂が敷き詰められ、カーキ色の雛壇が招待客をひっそりと待っている。たったそれだけ。舞台のデザインだけが、かすかな詩情を漂わせる。

この上なくセクシー

ショーは会場を取り囲むメザニンから出発する。メザニンは長方形の開口が規則的に穿たれた仕切りで覆われ、モデルとその影が歩く様子が垣間見える。その後モデルはランウェイへ降り立つ。ルックは? 黒と白の反逆的なエレガンス。淡い緑、ブルーファイアンス、ダークブラウンをアクセントカラーに、ニットとレザーの贅沢な戯れが透明感を添え、エルメスレディを王道から外れた道へと誘う。代表的なルックは、鈴つきのチェーンがアクセントになったマイクロ丈のショートパンツに、第二の皮膚のようなジャージー素材の極薄セーターを合わせ、腿まである丈の長いニットのレギンスとスクエアトウのフィット感のあるブーツで足元を締める。時にはそれにカシミアとモヘアのゆったりしたコートを羽織り、前を開けて颯爽と翻す。時おり挟まれる流れるようなラインのシルクモスリンのドレスが、自由な雰囲気と動きをもたらしていた。また身体のラインにぴったり沿ったジップアップ付の黒いコンビネゾンや、光沢のあるブラックレザーのマイクロミニドレスにアイボリーカラーのシルクのフリル襟が施されたセーターを合わせコントラストを際立たせたルックも目を引いた。この上なくセクシーでありながら同時に慎みを感じさせる女性が思案しながらも前に進み続ける姿を連想させた。

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text: Marion Dupuis (madame.lefigaro.fr)

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