アイコニックなツイード生地にオマージュを捧げたシャネル。
Fashion 2022.05.05
春夏シーンズも落ち着きを見せたこの頃。次のシーズンに向けて、最新コレクションを振り返ろう。
3/8、シャネル2022ー2023年秋冬コレクションがグラン・パレ・エフェメールで発表された。田園の空気とマスキュリンな空気が漂うショーで、メゾンを象徴する生地にオマージュを捧げた。
Défilé Chanel automne-hiver 2022-2023. (Paris, le 8 mars 2022.) Chanel
Le décor. (舞台装置)グラン・パレ・エフェメールの周辺に滅多に見られないような人だかりができた。シャネルのショー会場としておなじみのグラン・パレは改装工事で休館中。3年間の工期が終わるまで、仮設グラン・パレでショーが行われている。会場前に押しかけた若者たちが熱い視線を向けるのは最前列に招待されたスターたち。特に彼らのお目当ては、シャネルのウィンタースポーツコレクション「ココ・ネージュ」のキャンペーンの顔、ジェニー・ルビー・ジェーンだ。ジェニーは世界的なブームとなっている韓国のガールズバンド「ブラックピンク」のメンバーでもある(SNSのフォロワー数は数千万人)。
とはいえ、こうした熱狂はショー会場の入り口まで。会場の内側は一転、豪奢、静謐、官能が支配する空間だ。ブラックツイードで覆われたシンプルな舞台に設けられたランウェイで、メゾンの象徴となったツイードに焦点を当てたショーが繰り広げられた。
L'allure. (ルック)ブルーと紫がちるピンクのロングコート、ゆったりとしたカーディガン、ラバーのサイハイブーツ、厚手のウールのロングソックス、織り込まれた金糸が柔らかな光沢を放つボルドーカラーのスーツ……。田園の空気を纏って、軽やかな足取りで歩むモデルたちの足元はポインテッドトウのフラットなパンプス。みんなツイードを纏っている。ツイードは紛れもなく今回のコレクションの導きの糸だ。
「これはオマージュです」とシャネルのアーティスティック・ディレクターを務めるヴィルジニー・ヴィアールは宣言する。「私たちはツイード川に沿ってガブリエル・シャネルの足跡を辿り、この地の風景の色彩をツイードに思い描きました」。こうして60年代のスタイルにインスピレーションを得たポップなエネルギーが弾ける今回のルックが誕生した。ガブリエル・シャネルとウェストミンスター公爵との物語、そしてマドモワゼルが身に着けた公爵のジャケットを彷彿させる、マスキュリンな気分のジャケットも。「愛する人の服を身に着けるのは何よりもセクシーなこと」とヴィルジニー・ヴィアールは続ける。
Le détail. (ディテール)スウィンギング・ロンドンのスピリットが漂うダウンスタイルのヘアが人形のようなモデルたちの顔にいたずらっぽい表情を添えている。
text: Sabrina Pons (madame.lefigaro.fr)