シャネル×小松菜奈、サヴォワールフェールを語らう。

Fashion 2022.05.19

メゾンの新しいアトリエ施設「le 19M」で発表されたシャネル2021-22年メティエダール・コレクション。ここでは女優の小松菜奈を主役に迎え、映像作家ジュリアン・ビアバン・レヴィ×フィガロジャポンによるスペシャルムービーを公開。フィガロジャポン7月号でもそのクリエイティビティを纏った彼女が迷い込む、美しきメティエダールの世界。作家サロメ・キネーがこのコレクションのために書き下ろした詩とともに、サヴォワールフェールという名の魔法に包まれて。

SPECIAL MOVIE

映像作家ジュリアン・ビアバン・レヴィがフィガロジャポンのために撮り下ろしたスペシャルムービー「Hear Me Out」。小松菜奈が演じるシャネルに身を包まれた美しい女性が、不思議なフレーズが綴られた詩集を偶然手にする――。白昼夢のように甘くて、ロマンティックな世界を体感してみて。

POEM by SALOME KINER

8人の著述家たちがシャネルのアトリエ施設「le 19M」を訪れ、その価値と多様性の讃歌を綴ったという2021-22年メティエダール・コレクション。ここではスペシャルムービーにも登場した、作家サロメ・キネーの詩「ココへの手紙」の全文を紹介。美しいフレーズが、そのサヴォワールフェールと共鳴する。

 

「ココへの手紙」

I. 実はね 帽子職人を見たのよ 彼女は作品の上にかがみ込んで 膝頭をウレタンのマットに乗せて 両手の平で麦わらをぎゅっと押し付けていた 歳月が艶やかに磨きあげた菩提樹の木型の上に
靴職人も見たわ、 膝の上にレザーの靴底を置いて 彼女がハンマーでアッパーを叩く音が響いていた 作業台の下に隠れていたのは、湯気を立てたコーヒー
私は手先が器用ではない 言葉が私の道具だから 裁縫師を意味する「プティ マン(小さな手)」という呼び名は この女性職人たちにはそぐわない
女性たちがどこで働こうと 聞こえてくる、雌ライオンたちの咆哮 鮮やかな花冠で飾り立て 王国のどこかに身を潜める 私たちはこうやって縄張りを見張っている
スカンデルベグは英雄であり 侍はツバキを愛でる ココ、私はあなたと同じように仕事に身を投じて 哀傷と悲劇から気を紛らわせている
 

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ニットジャケット¥599,500、ジャケット¥1,015,300、スカート¥531,300、ベルト¥157,300、ネックレス(短)¥203,500、 (長)¥297,000/以上シャネル

 

II. リッツ パリでのあなたを想像する 豪華なホテルのバーカウンターから 立ち上がるまでに どれほどのことが後押ししただろう?
フットレストのバーを踏み 足首で時を刻む 焦燥感に胸を締め付けられていたあなたにとって 暇な人間とは、詐称者か あるいは自由の翼を持つ人か
噂では あなたはヴァカンスが嫌いで 毎年8月1日になると 仕入れ先に たくさんの注文をして困らせていたそうね
公の場にあなたはほとんど姿を現さない 不規則に脈を打つパリの街が 孤独を思い出させる 夜になると あなたは、なめしたレザーをやさしく撫でていた ポロの名手だったあの人を忘れるために
あなたにとって障害物を飛び越えることは 馬術の訓練ではない あなたがデザインする靴は 歩くために創られた
 

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コート¥3,457,300、パンツ¥174,900、ベルト¥387,200、シューズ¥183,700、バッグ¥611,600/以上シャネル

 

III. 1957年 ジョージア・オキーフは白いアイリスを描いた あなたはバイカラー シューズを生み出し スクエアのヒールで飾った
半世紀以上の時を経て 棚に並んだその靴が私をじっと見つめている サテンのトウと しなやかなストラップと 誇り高い表情を湛えて
この靴を履いていた女性たちを思い浮かべる そのまっすぐですらりとした脚 あなたが今も君臨し続けている街を 例えるかのようだ
無数のフォルムが並んだ公園で 私は迷子になる それぞれの名前がストーリーを語りかける その靴が踏みしめてきた石畳の下で
建物の窓の向こうには セーヌ川が流れているそうだ 私にはオーベルヴィリエの門を通りすぎる 人魚たちの歌が聞こえる
ヴァンドーム広場でのあなたを想像する 道行く人々を眺めるあなたの淡い茶色の瞳 人は大抵のものは手に入れることができる がむしゃらに働きさえすれば



そう、
私たちの手は決して小さくなんかない その手が、意志を紡ぎ出す時 翼のついたサンダルや、スリングバック シューズを履いて 私たちは運命に向けて駆け出していく
人々は私たちを極端だと言う つまり、極端なまでに自由だと言いたいのだろう 私たちは女性であり 私たちはアーティストなのだ
あなたはパンプスのデザインを通じて マニフェストを掲げた 私は言葉を縫い合わせ あなたの作品を文章という生地に刺繍する

――サロメ・キネー

 

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コート¥3,457,300、パンツ¥174,900、ベルト¥387,200、シューズ¥183,700、バッグ¥611,600/以上シャネル

小松菜奈
1996年生まれ。『渇き。』(2014年)で長編映画デビューを果たし、多くの新人賞を受賞。16年、シャネルのアンバサターに就任。『糸』(20年)で日本アカデミー賞優秀主演女優賞を受賞。3月に公開された『余命10年』が現在大ヒットを記録している。

シャネル公式サイトへ

●問い合わせ先:
シャネル カスタマーケア
0120-525-519(フリーダイヤル)
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フィガロジャポン2022年7月号(5月19日発売)

ART DE VIVRE
美しい手仕事。
いいものに囲まれて日々を暮らすことは心地いい。いいものとはどういうものなのかをきちんと学ぶのも、美しく生きるために大切なこと。パリの老舗メゾンが紡ぐ手仕事の技が息づく逸品が生まれる場所を訪れたり、英国王室が愛用する品々の歴史を探求したり。サステイナブルな要素を含みながら、アートオブジェのような個性を纏ったインテリアや、暮らしの中で、実用的でありつつも美しく、長く使える生活道具を見直すこと。私たちの周りには、美しい手仕事があふれている。いま一度、そんな営みから生まれた物語と触れ合う機会を。

Amazon 楽天ブックス セブンネット

*「フィガロジャポン」2022年7月号より一部抜粋。

photography: Hiroko Matsubara styling: Ayaka Endo hair: Yusuke Morioka (eight peace) makeup: Uda (mekashi project)

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