New denim New Days. 12人のデニムラバーSNAP、デニムで新しい毎日を。

Fashion 2022.07.13

選び方と着こなしを通してその人の個性がダイレクトに表れる。そんな普遍的なアイテムであるデニムを、フレッシュに着るなら? 12人のデニムラバーが、愛用する一着をいまの気分で纏った。

new_days-news_denim-01-220427.jpg安藤小葉(右):ジャケット、スカート、パンツ、サングラスはヴィンテージ。サンダルはジル サンダー。
長尾悦美(中):ベスト、パンツ、リング、時計はヴィンテージ。ジャケットはリー フォー シティショップ。パールネックレスはララガン。ブレスレットはフミカウチダ。
片山久美子(左):トップはマルケス アルメイダ。中に着たシャツ、パンツはヴィンテージ。シューズはマリアム ナッシアー ザデー。

デニムで新しい毎日を。P81.jpg安藤小葉(右):パンツ、トップ、ハットはヴィンテージ。ベルトはフックド ヴィンテージ。
長尾悦美(中):パンツ、ラガーシャツはともにヴィンテージ。ブラウスはスタイル & エディット。ハットはエンジニアド ガーメンツ。シューズはクレージュ。
片山久美子(左):パンツはグリーン。ジャケットはヴィンテージ。ビジュートップはチカキサダ。ブーツはマリアム ナッシアー ザデー。

安藤小葉(右):「厚手のオンスで美しい色落ちのものに手が伸びます。デッドストックをいちから育てるのも好き」と語る安藤は、デニムを主役と捉え、デニムからコーディネートを組み立てていく。ワークウエアとしてではなくドレッシー&モードに、そしてその時の気分に合わせて着こなしのテーマを決めることが、デニムをフレッシュな気分で楽しむコツだと教えてくれた。「『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の主人公マーティとお揃いの80sのデニムジャケット(写真上)を選んで、彼のスタイルをイメージしました。ボトムスには70sのリーバイス®630を。ベルトをしないと落ちてしまうほどにルーズなパンツは、40sのU.S.NAVYの一着(写真下)です。デッドストックで購入して穿き続けているので愛着もひとしお。硬派なキャラクターが際立つよう、ほかのアイテムはシンプルにまとめました」

安藤小葉|KOYOU ANDO
(フックド ヴィンテージ オーナー)
中目黒のヴィンテージショップ、ジャンティークのショップスタッフとバイヤーを経験したのち独立。洋服や家具、生活に関わるモノを扱うフックド ヴィンテージを2017年4月にオープンした。

 

長尾悦美(中):長尾にとってのデニムとは、ワードローブを占める割合がいちばん多いからこそ、最もスタイリングを考えるアイテム。その中からリー フォー シティショップのエンジニアジャケット(写真上)とラングラーのヴィンテージコーディングデニムパンツ(写真下)をピックアップした。「プレッピー要素を感じるスポーツ×フェミニンがいま新鮮に思えていて、自分で袖をカットオフしたラガーシャツとフリルブラウスを合わせてみました。コーティングデニムのおかげで現代的になるかなと。ヴィンテージで探していたけれどなかなか巡り合えなかったリーのエンジニアジャケットは、念願叶ってこの春シティショップとのコラボで制作できることに。“リラックスリュクス”を意識して襟にはボウタイ、足元にはサンダルを。オンオフのミックス感は常に大切にしています」

長尾悦美|YOSHIMI NAGAO
(髙島屋 ウィメンズクリエイティブディレクター)
スタイル & エデ ィットのバイヤーを経て、2020年春より髙島屋ウィメンズファッション部門のクリエイティブディレクターに就任。現在、期間限定でシティショップのディレクターも務める。

 

片山久美子(左):鮮やかなピンクと大胆なダメージ加工が目を引くマルケス アルメイダのミニドレス(写真上)は、デザインやカラーリングを通してさまざまな表現ができるデニムの魅力を凝縮した一着。ハーフカットされたパンツ(写真下)はグリーンのもので、ファッション業界で働き始めた18年前に購入し、いまなお現役。ともに時を経ても色褪せない、むしろ時間を重ねるほどに片山にとって価値を増していく存在だ。「ミニドレスにはトルコで買い付けたオリエンタルなシャツを同色でレイヤードし、パンツはビジュートップやPVCブーツといったデザインコンシャスなアイテムを合わせて、存在感と抜け感を共存させました。デニムはまさにオーセンティック。どんなアイテムとも相性がよく、いまの気分をミックスするだけでその都度新しい自分に出会えるのが魅力ですね」

片山久美子|KUMIKO KATAYAMA
(シティショップ コンセプター / バイヤー)
2006年からバイヤーとしてのキャリアをスタートし、17年にシティショップのコンセプター兼バイヤーに就任。ファッション部門の買い付け、オリジナル企画などを手がける。

 

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デニムで新しい毎日をP82濱本愛弓.jpgパンツはメゾン マルジェラ。ジャケッ ト、チェーンベルトはヴィンテージ。ショーツはケンテ。ベルトはボッテガ・ヴ ェネタ。シューズはジミー チュウ。

「今季はとにかくローライズ !」と言う濱本。ハイブランドからヴィンテージまで数多くのデニムを所有する彼女が今季一目惚れしたのが、メゾン マルジェラのパンツだ。「昨冬からめちゃくちゃお腹を出していて(笑)、この春もトップにコンパクトなジャケットを合わせて、ローライズのデニムからショーツを見せたいですね。このパンツは、フロントに向かってウエストが少し傾斜していたり、ポケット位置が下がっていることで脚がきれいに見えて、全体がバランスよくまとまるところも気に入っています」。カジュアルになりすぎないよう、デニムにはピンヒールとジュエリーを合わせるのも彼女のマイルール。

濱本愛弓AYUMI HAMAMOTO
(スタイリスト)
2014年にスタイリストの仙波レナに師事、18年に独立。モード誌を中心に活躍。20年秋からは、自身のブランド、ヒロサイをプロデュースする。

 

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デニムで新しい毎日をP82eri.jpgパンツはワイルドルーツ。トップ、シュ ーズはヴィンテージ。レザーネックホルダーはエルメス。

デプトという絶対的なバックグラウンドゆえ並々ならぬこだわりがあるのかと思いきや、「人と同じもので個性を出すのが得意ではなく、オーセンティックなデニムにずっと苦手意識があった」というeri。そんな彼女が選んだのは、古着を再構築したデニムで注目を集めるニューヨークブランド、ワイルドルーツの一本。「既製品ではブルーやブラックのワントーンでの展開もありますが、今季は色を着たい気分だからクレイジーカラーでパーソナルオーダー。いままでなら黒い服を合わせていただろうけど、トップにも鮮やかな色物を」。使いやすいからではなく、デニムをチャレンジングなアイテムとして捉えるeriらしいセレクト。

eri
(デプト カンパニー代表、アクティビスト)
2004年にファッションブランドのマザーを設立。15年には、父が設立したヴィンテージショップ、デプトを再スタート。プラントベースカフェ明天好好のプロデュースも手がける。

 

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デニムで新しい毎日をP83小島令子.jpgパンツはヴィンテージ。ジャケット、シャツはドリス ヴァン ノッテン。シュー ズはマノロ・ブラニク。

「服に目覚めた瞬間から、自分の根底にはデニムがある」と語る小島は、自他ともに認める生粋のヴィンテージデニムオタク。「美しい色落ちに加えて必ず背景があるから、一本ずつを深く愛することができる」とその魅力を教えてくれた。自宅にはリーバイス®の501や517といったモデル各種をサイズ、レングス、色違いで揃えており、その時の空気感によって選ぶ一着を変える。「世の中ではクリーンなデザインをジャストサイズで穿くのが主流なので、私はあえて大胆にダメージが入った501を32インチの腰穿きで。個性が強いデニムほど古びれることなく、スタイリング次第でいつでもフレッシュな気持ちで着られます」

小島令子|REIKO KOJIMA
(ケイスリーアンドコー ディレクター)
フリーランスとして大手アパレル企業のコンサルティングやディレクションを手がけた後、2022年春夏シーズンよりケイスリーアンドコーのディレクターに就任。

 

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デニムで新しい毎日をP83秋元舞子.jpgパンツ、ジャケット、中に着たジャケット、Tシャツはヴィンテージ。ベルトはメゾンボワネ。シューズはジルサンダー

フレアシルエットを好んでいた秋元がいま穿きたいのは、スタンダードなテーパードタイプ。「古着の野暮ったさを生かした抜け感のあるスタイリングがしたくて、この春はテーパードデニムに挑戦 !」。ブランドは不明だがロサンゼルスのフリマで購入したもので、36インチのウエストに対して丈はリメイクされているためジャストサイズ。前オーナーのこだわりが感じられるカスタムやアンバランスなシルエットに惹かれた。「センス良く見えることより、その人のクセや好きなものがわかるほうが魅力的。テーパードデニムに苦手意識があったけど、インチを上げてバランスを変えてみたり、レザーの小物を足すことで、自分にしっくりくる穿き方を見つけました」

秋元舞子|MAIKO AKIMOTO
(フィーニー デザイナー)
文化服装学院技術専攻科を卒業後、メンズブランド・N.ハリウッドのパタンナーとしてキャリアをスタートし、2012年春夏に自身のブランドであるフィーニーを設立。

 

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デニムで新しい毎日をP84赤嶺れいこ.jpgエプロン、シャツ、パンツ、ネックレス、バングルはヴィンテージ。カットソーはドリス ヴァン ノッテン。シューズはマリアム ナッシアー ザデー。

ウィッティヴィンテージをオープンする前から古いものが好きだった赤嶺。デニムを選ぶ基準は古着的価値ではなく、サイズ感だと言い切る。「身長が156cmだからバランスを取るのが難しくて。パンツはフレアならジャスト、ストレートなら少し緩めなど、サイジングにはこだわっています」。この日は、「ベストでもスカートでもワンピースでもない個性的なアイテムなので人と被らない」という変わり種、70年代のワークエプロンとリーバイス®の501xxを着用。「最近は、デニムにあえてカジュアルなものを合わせ、小物で女性らしさを添えるようにしています」

赤嶺れいこ|REIKO AKAMINE
(ウィッティ ヴィンテージ ディレクター)
2017年にウィッティ ヴィンテージをスタート。当初はオンラインショップとして運営していたが、20年に実店舗を五本木にオープンした。

 

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デニムで新しい毎日をP84伊藤信子.jpg
デニムはステラ マッカートニー。ワンピースはメリル ロッゲ。Tシャツ、中に着たカットソー、ネックレスはヴィンテージ。シューズはビューティフルシューズ。

「毎日何かしら着ているかも?」と語る伊藤にとって、デニムは制服ともいうべき存在。デニム以外の服を購入する時でも“デニムに合うかどうか”を判断基準にして買ってしまうという根っからのデニムラバーだ。この日穿いていたのは、ゆったりとしたフレアシルエットと切りっぱなしの裾がラフな印象を与えるステラ マッカートニーのパンツ。「普段はだいたいデニムにTシャツなのですが、いまハマっているメリルロッゲのワンピースを合わせました。その時々で自分が気になっているブランドのアイテムを一点足して、気分を上げるようにしています」

伊藤信子|NOBUKO ITO
(スタイリスト)
ファッション誌を中心に広告、アーティストのスタイリングも手がける。デニムブランドとコラボして自身のモデルを制作するほどのデニム好き。

 

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デニムで新しい毎日をP84小川夢乃.jpgパンツはコウトウ。中に着たコートはサイ。ワンピースはヴィンテージ。サンダルはマリアム ナッシアー ザデー。

ジャケットは、種からオーガニックコットンを栽培しているニュージーランドブランド、コウトウの一着。現地に足を運べないため、初めてオンラインで服を買ったと語る。小川のデニム観とそのスタイリングには、コロナ禍が少なからず影響を与えたようだ。「海外への欲からか家で映画をずっと観ていて、『フランシス・ハ』という作品の女の子の着こなしに目が留まったんです。ワンピースにシャツとライダース、でも寒いから重ねているだけみたいな。野暮ったくなりがちなのでジージャンは着なかったのですが、そういう計算されていない雰囲気で着るのもいいかなって」

小川夢乃|YUMENO OGAWA
(スタイリスト)
杉野服飾大学を卒業後、ニットメーカーにデザイナーとして勤務。2010年よりスタイリストの椎名直子に師事し、12年独立。雑誌を中心にカタログや広告も手がける。

 

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デニムで新しい毎日をP85小林結里.jpgパンツ、ブーツはマルケス アルメイダ。ジャケットはコム デ ギャルソン・オム。シャツはヴィンテージ。リング、ベルトはバンザイ。

デニムを汚く着るのはNGというルールを持つ小林。セレクトショップに勤めていた頃はトレンドを意識していたが、年齢を重ねた現在はマインド面を重視する。「パンツは、オリジナリティがあるデザインに惹かれて7、8年前に自らバイイングしたマルケス アルメイダ。シャツは銀座のバーのマスターのお下がりで(笑)、どちらも思い出深い一着です。あと最近勉強している自然哲学によると、白と金が私を補う要素のようで、デニムはパールやゴールドと相性がいい。そんなこともあって、気持ちを整えるためにデニムを正装として着るようにしています」

小林布結里|PRFUYURI KOBAYASHI
(フリーランス )
セレクトショップのマネージメント、プレスを経て独立。フリーランスPRとしてファッションを中心にさまざまなブランドを扱う。

 

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デニムで新しい毎日をP85曽根英理菜.jpgパンツはメゾン マルジェラ。カーディガンはヴィンテージ。タンクトップはドリス ヴァン ノッテン。バッグはシャネル。シューズはザ・ロウ。

2019年春夏シーズンに登場して以来、継続で展開されているメゾン マルジェラのパンツが曽根のお気に入り。「未来のヴィンテージアイテムになり得る」と彼女が太鼓判を押す一着は、ウエスト部分の斬新なカットアウトをはじめ、かつて存在したオーセンティックなアイテムを解体し繋ぎ合わせ、新たなワードローブに再構築するというメゾンの世界観とクラフトマンシップを完璧に体現する。「ワイドデニム×厚底シューズの少しメンズライクなボトムスに、思い切りフェミニンなトップやクロップトップを合わせることで、新しいスタイルが発見できると思います」

曽根英理菜|ERINA SONE
(ビオトープ バイヤー)
大手セレクトショップでプレス兼バイヤーを経て、2018年にビオトープのバイヤーに就任。昨春ローンチしたヨー ビオトープ ランジェリーのディレクターも務める。

 

*「フィガロジャポン」2022年6月号より抜粋

photography: Yuki Kumagai editing: Kenichiro Tatewaki

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