新たなアトリエから始まる、ルイ・ヴィトンのヘリテージ。
Fashion 2022.08.09
旅行用トランクから発祥したメゾンの、伝統と革新の象徴とも言えるレザーアイテム。そのストーリーに次なる章を刻む拠点が始動した。
この2月、フランスのロワール地方にふたつの新たなアトリエを開設したルイ・ヴィトン。ひとつは、史跡指定建造物にも指定されているヴァンドーム修道院アトリエ。もうひとつは、独自のバイオクライマティックデザインによるフランス初のサステイナブルな建築としても注目されるロラトワール・アトリエだ。今回の新設により、フランス国内に構えるアトリエ数は計18カ所となり、年内にはさらにふたつの工房も加わることが発表された。
ヴァンドーム修道院アトリエの2階。長い年月を経たハチミツ色の石壁と、先進技術を結集させた製作現場がごく自然に共存する。
最新のふたつのアトリエのうち、特にヴァンドーム修道院アトリエはエキゾティックレザーなど貴重な皮革を専門に扱うレザー製品の拠点として、メゾンの重要なセクションを担っている。その名称から、ルイ・ヴィトンが最初の店舗を構えたパリの広場も連想させるヴァンドーム修道院は11世紀に建てられ、2032年には1000周年を迎えるという歴史ある建物。ロワール川が街を縫うように流れ、風光明媚な自然と中世の石造りの建物が彩る中、ひときわ存在感を放つこの建物が、4フロアにわたるアトリエとして生まれ変わったのだ。
フランス文科省歴史的記念物局の監督のもと、2年間の改修期間も含め完成までに3年を要した大掛かりな修復と改装を経たいま、壮大な歴史を宿すこの建物も、文化の継承とさらなる革新を目指すメゾンのサヴォワールフェールも、未来へと向けて力強く動き始めた
ロワール地方ブロワ市、ロシャンボー地区の中心地にたたずむヴァンドーム修道院アトリエ。
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アイコンバッグ、「カプシーヌ」が生まれるまで。
ヴァンドーム修道院アトリエでは、顧客がオーダーした定番アイテムやスペシャルオーダーアイテムの製作も行なっている。ことに、専門知識や技術だけにとどまらず豊かな感性も重要となるエキゾティックレザーの扱いにおいては、熟練した職人の存在が欠かせない。
「カプシーヌ」を作るのに必要となるのは、クロコダイルレザーの場合で3枚。レザーを触り、目視をして丹念に素材を点検することから始まる。
あらゆる箇所の厚みを正確にチェック。
バッグのフラップにあしらわれるパターンの位置を、型紙を当てながら吟味。
「カプシーヌ」のシグネチャーとなる、メタルパーツをレザーで覆ったLVイニシャルをセッティング。
全体のバランスを見極めつつ、ハンドルを取り付ける。
ハンドルやストラップにいたるまで、すべてにサハラナチュラルゴールド仕上げを施したホワイトクロコダイルレザーを贅沢に使いこなした「カプシーヌBB」
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(ニコラス・ファルクス著 アスリーヌ社刊)
クラシック版(上)は¥18,700にて英語版、仏語版に加えて日本語版が登場。また、ポプラ材ボックスに収蔵したシリアル番号入りのラージ・フォーマット・コレクターズ版は仏語版のみとなり、¥228,800にてルイ・ヴィトン ストアおよび公式サイトで500部限定販売。


*「フィガロジャポン」2022年7月号より抜粋
photography: © Louis Vuitton editing: Mami Aiko