錦に染まる京都・下鴨神社でヴァン クリーフ&アーペルのエキシビション。

Fashion 2022.11.11

ヴァン クリーフ&アーペルが、京都・下鴨神社にて、華道家の片桐功敦とのコラボレーションによるエキシビション「LIGHT OF FLOWERS 花と光」を2022年12月12日まで開催中。2021年春に東京・代官山で開催された「LIGHT OF FLOWERS ハナの光」に続くコラボレーションで、今回のテーマは「秋」。永遠の美を留めるジュエリーと、枯れゆく命という相反するふたつの要素で、儚く移ろう季節の花を表現する。

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特設会場の内部。今回3つの展示会場のクリエイティブディレクションはKYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭の共同ディレクター仲西祐介、空間デザインはKYOTOGRAPHIEのセノグラフィーなどを手がける小西啓睦が担当。

作品が展示されるのは下鴨神社内の3つの会場。まず、ひとつめは参道に広がる糺の森につくられた落ち葉の社。糺の森は太古の原生林が残る、静寂と神聖な気に満ちた自然豊かな森で、そこに溶け込むように落ち葉で覆われたトンネルが佇んでいる。中に入るとガラスの天窓があり、切り取られた景色からは幹の美しさや葉っぱの色づきにフォーカスできるような仕掛け。その先の小川の中には、秋の草花が上流に視線を促すように生けられ、これからの展示に期待を抱かせるようなインスタレーションとなっている。

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自然豊かな糺の森は市民の憩いの場。約1kmの参道の中ほどに落ち葉の社が設けられた。

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内部は左官職人の久住有生が手がけ、土肌をくり抜いたような仕上げで、森の土の中にいるような感覚を狙ったもの。

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トンネルの先には小川が流れ、流れに溶け込むように片桐の花が生けられている。

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桜門を抜け、御手洗池のそばまで行くと、落ち葉の社とは対象的なソリッドな建物が現れる。ここがふたつめの特設会場。中に入ってみると、目に飛び込んでくるのは、壁一面のガラス窓に貼られた落ち葉の拡大プリント。その下には水盤が設けられ、桔梗やホトトギス、菊といった可憐な草花や、紅葉した葉っぱが生けられている。黒い空間に色鮮やかな世界が響き合う幻想的な美しさに、引き込まれるように見入ってしまう。黒い水面に写り込んだ落ち葉の虫食いの穴や、落ち葉を敷き詰めた天井から漏れる光は、落ち葉に埋もれて空を見上げたときの風景にも通じるような世界観。秋はもの悲しい、終わりへ向かう季節ではなく、命が循環するなかの1フェイズであることを表現している。天井から滴る水もまた、水の音や波紋、水面の揺れといったさまざまな効果をもたらし、命の循環について思いを巡らすひとときに。

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御手洗川の側のオープンエリアに登場した特設会場。

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水盤に生けられている花材は、秋によく見られる日本の自生種の花が多い。

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近づいて見てみると、落ち葉が水面に映り、落ち葉から花が映えているように見える。落ち葉の下で翌年花を咲かせようと力を蓄えている植物の存在を感じさせる設計。

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御手洗川では、土用になると池の周辺や川の底から清水が湧き出て、無病息災を祈ってお祓いを受ける足付け神事(御手洗祭)が行われる。その川を渡って、ジュエリーの展示場へ。

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そして、御手洗川を渡ったところにあるのが、最後の会場となる細殿。天皇などの休憩所として使われている重要文化財指定の建物で、ここにヴァン クリーフ&アーペルのジュエリー72点を展示。自然に寄り添うヴァン クリーフ&アーペルにとって、とりわけ重要な花モチーフのコレクションから、メゾンの花のジュエリーの歴史を伝え、片桐の花の世界、日本の秋の風情と共鳴するようなものをセレクト。ミュージアムピースとコンテンポラリージュエリーがほぼ半分ずつくらいで、ミックスして展示されるのはとても珍しいこと。自然の花を純粋に慈しむように、年代やコレクションにとらわれず、永遠の輝きに閉じ込めた花の美しさをただ愛でてほしいという思いによるものだ。展示台は木枠に銀箔を貼ったショーケースで、内部は川のせせらぎを思わせるようなやわらかなラインを土で造作。水面に色とりどりの花々がたゆたうような軽やかな展示となっている。

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細殿のやわらかなラインを描く折り上げ天井と呼応させるように、丸い柱に和紙を貼ったパーツをジョイントして、リズミカルでやさしい表情の空間を作り出した。ショーケースの中は左官職人の久住有生が、水が流れるような造形を土でつくったもの。

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中央「フルール ドゥ ソレイユ クリップ」イエローゴールド、ホワイトゴールド、ダイヤモンド、サファイア、スペサタイト ガーネット。上と下「ドゥ パピヨン イヤリング」イエローゴールド、ホワイトゴールド、サファイア、ダイヤモンド。

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左「グラップ リング」1965年、イエローゴールド、プラチナ、ダイヤモンド。中「ブーケ ブークレット クリップ」1958年、イエローゴールド、プラチナ、エメラルド、ダイヤモンド。右「バタフライ ブローチ」1975年、イエローゴールド、タイガーズアイ、イエローダイヤモンド、ホワイトダイヤモンド。

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「ヴァン クリーフ&アーペルとのコラボレーションは、心斎橋店、代官山に続いて今回が3回目。いつも新しいことにチャレンジできて、やりがいを感じています。大切にしていることは、繊細できらびやかなジュエリーも最初は石であったということ。自分が花に手を入れて、切って、持ち込んで、生けて、見せるという過程と、メゾンの職人やデザイナーたちが石をどうカットしてどう収めるかという過程は近いものがあるように感じています。枯れていく花の命と、長く形を留めるジュエリーの花が共演する場所として、アミニズムをベースにして信仰の対象となっている下鴨神社はすごくふさわしいと思いました。落ち葉の社は御手洗場のような存在で、そこで身を清め、限りある命の世界を見ていただいた後に、川を渡って、変わらない普遍の花の姿を楽しんでいただくというストーリーになっています。生け花の展覧会は始まってからが本番。11月末までは花と紅葉の取り合わせ、それ以降は水仙や椿、そして最後はなにもなくなるかもしれない。季節の移り変わりとともに、刻々と姿を変えていく様子も楽しんでいただければと思います」と片桐は語る。

秋色に染まっていく下鴨神社でのスペシャルなエキシビション。日本の生け花と、フランスのジュエリーというふたつの伝統が奏でる美の共演をお見逃しなく!

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片桐功敦(かたぎりあつのぶ)。花道みささぎ流家元。1973年大阪生まれ。人類が原始的にもつ、植物や自然への憧憬や畏敬の念を具現化するために、民俗学を手がかりに、生け花の技術を用いた表現方法を模索。写真集『Sacrifice‐未来に捧ぐ、再生のいけばな』(青幻舎 2015)など、近年の展覧会にヴァン クリーフ&アーペルとコラボレーションした「Light of Flowers ハナの光」(代官山T-SITE GARDENING GALLERY 2021)、KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭(二条城 2021)ほか。

 

「LIGHT OF FLOWERS 花と光」
会期: 開催中~2022年12 月12 日(月)
10 時~17 時
会場:下鴨神社(賀茂御祖神社)境内
京都市左京区下鴨泉川町59
*予約不要、入場無料
www.vancleefarpels.com/jp/ja/events/light-of-flowers--exhibition-2.html
●問い合わせ先:
ヴァン クリーフ&アーペル ル デスク
tel:0120-10-1906

 

ヴァン クリーフ&アーペル公式サイト

text:Natsuko Konagaya

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