二階堂ふみがKAPOK KNOTとコラボ、アニマルフリーでドレッシーなコートが誕生。
Fashion 2022.11.12
ファッションに造詣が深く環境保全へのアンテナも高い女優の二階堂ふみが、KAPOK KNOT(カポックノット)とコートをコラボレート。植物性の素材として注目を集めるカポックは、東南アジアに自生するカポックの実から採取し、綿の1/8という軽さで保温性に優れている。カポックノットは、その素材を使いデザイン性に優れたウエアを提案するサステイナブルな日本生まれのブランドだ。今回は、素材の魅力を存分に味わえるロングコート3型を共に制作。トレンチコートとフレアスカートがミックスしたデザインの「TRENCH」(ベージュ、ブラック)、チャイナドレスとキルティングコートを合わせた「CHINA DRESS」(オリーブ、ネイビー)、コートにマフラーをミックスした変形デザインの「SCARF」(ブラック、オリーブ)の全3型。各アイテムの中綿には「Ethical Down Kapok」を採用した。コラボアイテムの収益の10%は、アニマルライツを追求する団体に寄付される。アニマルフリーの服作りに共鳴する二階堂ふみに、ファッションへの想いやコラボコートへの想いをインタビュー。
――KAPOK KNOTとの出会いについて教えてください。
以前番組収録でスタイリストの方が用意してくださったアウターがKAPOK KNOTのものでした。羽毛の代わりになるカポックという素材をその時に初めて知り、すごく興味を持ちました。それがきっかけでカポックノットのみなさんからお話を聞く機会もいただきました。アニマルフリーでデザイン性の高いコートが欲しいと思っていた時に、今回のコラボレーションが実現しました。
――アニマルフリーの洋服について考えるきっかけとなった出来事は?
8年ぐらい前からフェレットと暮らしはじめました。イタチ(フェレットはイタチ科)の毛皮はファッションで使われてきた長い歴史がありますが、こんなにも感情のある動物からファッションのために搾取してきたことを知り、考え方が変化していきました。一時は、罪悪感から動物性のものはすべて身に付けたくないと思ったこともありました。羽毛の場合も、実は生きたまま毛をむしっている場合もあり見過ごせないと思うように。アニマルライツに反した製造工程の深刻さに気付かされました。
――アニマルフリーの服は選択肢もあまり多くありませんが、どのようにファッションを楽しんでいますか?
製造過程が透明化されているか、一生使える覚悟を持てるか、次世代にバトンタッチできるかを考えてから購入しています。羽毛素材は100年使えるといわれていて、リペアで新しい製品になった革製品などもあるので、作りすぎていないか、アニマルライツを遵守しているかも消費者として意識する必要があると思います。羽毛なら、100%リサイクルされたものもありますし、古着の革製品を使うなど選択肢は広げていきたいですよね。
---fadeinpager---
――コラボレーションした3型のコートはどんな点を工夫されましたか?
子供の頃から好きだったチャイナカラーは、ぜひ作りたいと考えたもの。タイトなシルエットでチャイナドレスらしさもあり、カポックの薄さが細身のデザインを可能にしてくれました。見た目よりも可動域は広く窮屈さもありません。ボタンだけ留めると中に合わせたものの素材が見え、着こなしの楽しさも広がります。
――トレンチコートは、ウエストから大きく広がりとてもドラマチックですね。
機能性とデザイン性がマッチしたトレンチコートをなかなか見つけられずにいたことと、ピンヒールに合わせられる温かいコートがあるといいなと思って作りました。ウエストを絞ると50年代を想起させるシルエットで、カポックが軽いため歩くと風に揺れる姿がすごく綺麗です。ドレスやパニエを合わせても可愛いですし、パンツやスーツを着てもフェミニンな印象があります。


――ユニセックスのコートもあるとお伺いしました。
最初は全く違うデザインでしたが、案を出していく中で出来上がったデザインです。目の前でパタンナーさんが私のイメージに合うようザクザク切って提案してくださりました。男性でも着られるオーバーサイズで、ショールの巻き方も自由度があります。草木を使った染色剤で自然な色を出しました。




---fadeinpager---
――ご自身がファッションで大切にしていることを教えてください。
着た時に心地いい自分でいられるかどうかは大切です。「これが好きだから着る」という感性は大事にしたいし、前向きになれるものであってほしい。そして自立心を掻き立ててくれるものでもあると思います。軽いコートは、女性がエスコートされるばかりでなく、自ら積極的に外へ出て軽快に歩き、人生を楽しむことに通じると思うんです。ファッションには生き方が反映されるもの。動物も地球も自分も大切にできるファッションでありたいと思います。
――最後に、この冬楽しみにしている着こなしを教えてください。
海外の冬の装いに、厚いコートの下はスリップドレスというスタイルがありますが、カポックノットのコートはとても温かいので、下には本気度の高いドレスを合わせたい。よそゆきのコートを作ることができたので、これを着てお洒落な場所に出掛けたいですね。
1994年、沖縄生まれ。2007年にデビュー後、2009年役所広司監督作「ガマの油」でヒロインを務め一躍注目を集める。以後映画やテレビドラマなど数々の作品に参加し、2020年にはNHK朝の連続テレビ小説「エール」でヒロイン役やその年の紅白歌合戦で紅組司会を担当。人気と実力を兼ね備えた女優として広く活躍している。プライベートではフェレットのほか保護犬とも暮らし、アニマルライツへの知識も深い。
木の実由来の素材「カポック」を使用したものづくりを行うファッションブランド。 “Blur the line”をコンセプトに、都市と自然、生産者と消費者、旧さと新しさなど、さまざまな境界線を曖昧にし、両者の良さに学ぶこころよい暮らしを提供する。
interview & text: AYA SASAKI