マメ クロゴウチ、初の旗艦店が青山に誕生。
Fashion 2023.01.21
デザイナー、黒河内真衣子によるマメ クロゴウチにとって初のフラッグシップストアとなる「Mame Kurogouchi Aoyama(マメ クロゴウチ 青山)」が、1月19日に北青山にオープン。
訪れる人を包み込む空間全体を左官職人が塗った印象的な黄色みを帯びた白で表現。珊瑚などが蓄積した沖縄県産の石灰石をベースに、大分県で採取した竹を粉砕し混ぜ込むことで生まれる独特な質感と立体感が、空間にやわらかさと温かみをもたらす。この静謐さは、黒河内が育った、雪で覆われた長野の山々といった原風景を想う記憶と重なり合う。Photography : ICHIRO MISHIMA
このストアは、「受け継がれるものの記憶」がテーマに、マメ クロゴウチ 羽根木を手がけたデザイナー、柳原照弘が手がけた。過去・現在・未来という長い時間軸の中で継承される文化やクラフトへの礼賛を体現しながら、フルラインナップのコレクションからアクセサリー、バッグ、マメ クロゴウチ ベーシックスまでを取り揃えるブランド初の空間となる。周辺環境との共生を核となるアイデアとしてコンセプトに据えた空間は、まるでこの場所に昔から存在していたかのように、もともと住宅だった場所の面影を感じさせながらも、都市の一片として新たに共有されていく記憶の一部となり、次なる歴史を歩み始める。
柳原により設計された非日常への招待は、エントランスからわずかに覗く箱庭から始まる。マメ クロゴウチの世界観を凝縮させたこの小宇宙もまた、生まれ育った長野で黒河内を包み込んでいた風景を想起させながら、幾つもの季節のサイクルを経ていまも残る普遍的な風景として、その一瞬の交差の中でゲストに自身の記憶への無意識の再訪を投げかける。階段を登った先で展開されるのは、壁により曖昧に仕切られたフロア。まるで貝殻の中を進むかのように空間を回遊する体験は、次々と現れる洋服を「発見」していく感覚を促す。青山の街から始まるユニークな空間体験は、こうして日常と非日常の往還を示唆しながら、静寂と騒然、自然と都市、文化と歴史といった多様な要素を優しく包み込むことで、来場者それぞれの個人的な記憶の一部へと昇華されながら、ブランドの世界をより広く、多様に、雄弁に物語るものとなるのだ。
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マメ クロゴウチの世界観は、エントランスわずかに覗く箱庭から広がる。Photography : ICHIRO MISHIMA
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服はもちろん、アクセサリー類も充実。Photography : ICHIRO MISHIMA
text: Natsuko Kadokura