アイコンバッグに宿る、ものづくりのものがたり。 四半世紀の歴史を誇る、フェンディの「バゲット」。
Fashion 2023.02.27
1925年にエドアルド&アデーレ・フェンディ夫妻がローマにファー工房併設の皮革小物店を開いたのがフェンディの始まり。上質なレザーと職人技を生かしたmade in Italyのバッグやリュクスなファーのコートが瞬く間に評判となる。1965年にカール・ラガーフェルドが参画し、以来50年以上に渡ってファーとレザーを使った革新的なアイテムを次々と発表。ブランドの頭文字を組み合わせた「FF」ロゴも若き日のカール・ラガーフェルドが考案したものだ。
1992年にカール・ラガーフェルドのアシスタントにつき、次々とアイコンバッグを生み出したのがフェンディ家3代目のシルヴィア・フェンディ。昨年25周年を迎えた名作「バゲット」は、シルヴィアが「気軽に持つことができる機能的なバッグがほしい」というリクエストを受けて1997年に発表したバッグ。短いストラップと横長の形が特徴で、フランスパン(バゲット)のように小脇に抱えて持つことができるため「バゲット」と名付けたという。
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社会現象を巻き起こした画期的なバッグ、「バゲット」。
1997年の“初代”「バゲット」。インド風のミラーワークや刺繍入り、総ビーズなど当初から豊富なバリエーションを展開していた。
こちらも1997年の「バゲット」。ベルベットで「FF」ロゴを表現しており、フェレンツェを拠点とする伝統的な織物の財団「Fondazione Arte della Seta Lisio」とのコラボレーションによって生まれた。
デビュー当時に画期的だった点は、短めながら肩に掛けることができる絶妙な長さのストラップ。そして、肩に掛けた際の使用感や収納力を考慮したソフトな素材と形。必需品+αの持ち物が難なく収まるうえ、両手が空いて動きやすいという非常に実用的なバッグだったのだ。
さまざまな素材や色、技法を使った存在感たっぷりのデザインも絶大な支持を受けた理由のひとつ。時代の気分にもマッチしており、1990年代に台頭したシンプルでクリーンなミニマリズムを打ち破る存在として、社会現象とまで呼ばれるようになる。
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Celebrity
今年1月、TVドラマ『セックス・アンド・ザ・シティ 新章』シーズン2の撮影に「バゲット」とともに登場したサラ・ジェシカ・パーカー。フェンディとサラが共同でデザインを手がけたスペシャルバージョンで、同作品のシーズン1にも登場し大きな話題に。
発売から25年以上、数多くのセレブリティに愛されてきた「バゲット」だが、なかでも爆発的ヒットの立役者となったのがサラ・ジェシカ・パーカーだ。人気TVドラマ『セックス・アンド・ザ・シティ』でサラ・ジェシカ・パーカーが演じる主人公のキャリーが「バゲット」を愛用。劇中には「This is not a bag, it’s a Baguette!(これはバッグじゃないの、バゲットよ!)」というキャリーの名セリフも飛び出し、「バゲット」は世界的な知名度を誇るバッグとなった。
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2014年、カトリーヌ・ドヌーヴが総ビーズのバゲットを持ってレッドカーペットに登場。
昨年マイアミでキャッチされたリアーナ。ブラックの着こなしにエキゾチックなパイソンレザーの「バゲット」が映える。
これまでに登場したデザインは1500を超えるという「バゲット」。種類が豊富なだけあって、愛用するセレブリティのシーンや着こなしもさまざま。クラッチとしてレッドカーペットのおともにする大女優からカジュアルなデニムにラフに合わせる若手モデルまで、これほど振り幅の広いアイコンバッグもそうそうないだろう。
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Craftsmanship
バッグ「ティファニー バゲット バッグ」 参考商品(日本展開未定)/フェンディ(フェンディ ジャパン)
クラフツマンシップなくして語れない「バゲット」だが、イタリアの職人技に改めて敬意を表すべく2020年にスタートしたのが「ハンド・イン・ハンド」プロジェクト。イタリアの各州からひとりずつ選ばれた職人とパートナーシップを組み、シチリアの銀細工&珊瑚細工やピエモンテの刺繍、モリーゼのレースなど、それぞれの地域に伝わる伝統技術を駆使した限定版の「バゲット」や、プロジェクトをまとめた限定書籍をリリースしている。
>> 「ハンド・イン・ハンド」の詳細はこちら
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今年は「ハンド・イン・ハンド」の一環として、イタリアを飛び出しアメリカ・ティファニーの銀細工職人たちと協業。イタリアの国花・ユリと、ニューヨークの州花・バラを彫り込んだスターリングシルバーの限定版「ティファニー バゲット バッグ」をつくりあげた。
制作期間4ヶ月、計250時間をかけてつくられた「ティファニー バゲット バッグ」。
もちろん、これは「ハンド・イン・ハンド」プロジェクト初となる国外の職人とのパートナーシップ。「フェンディ」が国境を超えて優れた職人技そのものに深い敬意を抱いていることが感じられる取り組みだ。
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New Item
バッグ「バゲット」(H15×W27×D6cm)¥511,500/フェンディ(フェンディ ジャパン)
2019年に仕様を刷新してリローンチした「バゲット」。もっとも大きな変更点はハンドルとストラップ。備え付けだったハンドルが取り外し可能になり、同じく取り外し可能なストラップも付属。クラッチ、ハンドバッグ、クロスボディバッグとさまざまな使い方が楽しめるように進化した。サイズやディテールのバリエーションがさらに増えたのも特徴だ。
こちらは2023年春夏コレクションを象徴する色のひとつ、鮮やかなピンクをまとった「バゲット」。同色系の糸を使って幅が太めのステッチを施している。同じくシルヴィアが手がけたアイコンバッグ「ピーカブー」によく見られる太めのステッチだが、意外に「バゲット」では初登場。シンプルななかに手仕事が生きるディテールだ。
ウォレット「バゲット」(H9×W10.5×D4.5cm)¥115,500/フェンディ(フェンディ ジャパン)
こちらも今季のキーカラー、鮮やかなピンクが目を引く「バゲット」ファミリーのウォレット。コンパクトながら収納力があり、そのままでも便利な三つ折りウォレットに取り外し可能なショルダーストラップを付けてより機能性を高めた一品。ちょっとしたお出かけやイベントなど、何かと重宝する優れもの。
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バッグ「バゲット」(H15×W27×D6cm)¥511,500(3月中旬以降発売予定)/フェンディ(フェンディ ジャパン)
先に紹介した鮮やかなピンクと並ぶ今季のキーカラー、明るいグリーンをフィーチャー。ピンクバージョンと同様、「バゲット」初の太めのステッチがポイント。新鮮な色味が着こなしをフレッシュに仕上げてくれる。
スマートフォンポーチ「バゲット」(H14×W19×D4cm)¥203,500/フェンディ(フェンディ ジャパン)
2019年のリローンチ以降、サイズのバリエーションが広がった「バゲット」ファミリー。1997年の誕生時には存在しえなかったスマートフォンポーチは、そのなかでも特に“今”を感じさせるアイテム。先シーズンまでバックルにパラジウム仕上げの金具が使用されていたが、今季は本体と同色系のバックルが登場。大きなサイズの「バゲット」と2個持ちするのもおすすめ。
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バッグ「バゲット」(H14.5×W24×D7cm)¥412,500/フェンディ(フェンディ ジャパン)
鮮やかなピンクとグリーンに加えて、深みのあるコーンフラワーブルーも今季のキーカラー。「FF」ロゴを全面に施したナッパレザーはリローンチ当時から展開がある定番的な素材。手持ちと肩掛けにさっとチェンジできる便利なスライド式チェーンストラップを採用。
バッグ「バゲット」(H15×W27×D6cm)¥473,000(3月中旬以降発売予定)/フェンディ(フェンディ ジャパン)
フェンディのアーカイブから発掘したフローラルプリントと、「バゲット」初のディテールとなる大きなリボンが特徴。リボンを編み込んだハンドルや本体に施された幾何学的なステッチなど、細かな部分にまでこだわりが感じられる。
フェンディ ジャパン
tel : 03-6478-6233
editing: Naoko Monzen