服好きの「哲学」をインタビュー 音楽とファッション──スタイリスト飯田珠緒が愛する14の密接な関係。

Fashion 2023.05.15

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スタイリスト飯田珠緒にとってのヒーローであり、“モードと音楽”を繋ぐキーパーソンであるラフ・シモンズ。ラフにとって重要な存在であるミュージックバンド、ジョイ・ディヴィジョンやニュー・オーダーの楽曲からヒントを得て、飯田が“音楽”をビジュアライズした。ファッションと切っても切り離せない“音楽”はファッションスピリットをどう動かすのか? それぞれの写真からイメージを膨らませた楽曲もSpotifyからピックアップ。さあ、ファッションと音楽がつなぐ世界にいますぐ浸ろう。

 

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コート¥511,500(予定価格)/ミュウミュウ(ミュウミュウ クライアントサービス) ブラトップ¥45,100、シースルートップ¥327,800、ショーツ¥35,200/以上ドルチェ&ガッバーナ(ドルチェ&ガッバーナ ジャパン) タイツ¥4,950/ウォルフォード(サザビーリーグ) スカート¥39,600/トーガ(トーガ原宿店) セプタム/モデル私物

画像右は「WARSZAWA」by David Bowieを、左は「HERE TO STAY」by New Orderをイメージ。

今回、人間ならではの危うい葛藤と、それでも希望を見出しては生き続けていく力強いヒューマニティをファッションに落とし込み、“mondays”というテーマのもと14のクリエイティブと14の楽曲を提案した飯田。

「ジョイ・ディヴィジョンが影響を受けたとされるデヴィッド・ボウイ、クラフトワーク、 イギー・ポップ、ノーザン・ソウルなど。ジョイ・ディヴィジョンやニュー・オーダーを聴いていたラフ・シモンズもまた、デヴィット・ボウイというミュージシャンを特別視していると思います。時代を超えて引き継がれ、愛され、過去と現在を繋げるデヴィット・ボウイは私にとっても欠かすことのできないアーティスト。そのボウイの『WARSZAWA』を今回の特集でレコードジャケットに見立てた2枚の写真のうちの1枚に選曲しました。もうひとつ、ニュー・オーダーの『HERE TO STAY』は、映画『24 hours Party People』のエンドロール曲でジョイ・ディヴィジョンのファクトリーレコードに関わり、亡くなった人達への追悼歌。終わってはまた始まるうらはらで刹那的な日々を讃える存在としてリストアップしました」

WARSZAWA
David Bowie

HERE TO STAY
New Order

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ロゴチャームピアス¥52,900/ラフ シモンズ(ファーフェッチ カスタマーサービス) セプタム/モデル私物

DREAMS NEVER END
New Order

「『DREAM NEVER END』はイアン・カーティスが亡くなったあと、初めてニュー・オーダーがセッションを行なった日にベースのピーター・フックがこの曲のイントロを作って持っていったそう。“No looking back now, we’re pushing through”という歌詞があり、前進しようとするもがきを感じたのがこの曲を選んだ理由のひとつ。私の中では、音楽とファッションが共存しているのがラフ・シモンズらしさ。ファッションと始まりを表現するなら、憂鬱で美しいギターのイントロのこの曲でストーリーをスタートさせたかったんです」

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セプタム/モデル私物

TWENTY FOUR HOUR PARTY PEOPLE 
Happy Mondays

「ときには『わたし』だってバカ騒ぎも必要。この曲は、何もかも忘れて大口あけて大いに踊れ!という気持ちを込めて」

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セプタム/モデル私物 

REGRET
New Order

「後悔。ニュー・オーダーの『REGRET』は、恋人との破局、そして一部ではバンドが有名になって周囲との関係が途絶える孤独を歌ったものとの見方もあるそう。歌詞の中に“I would like a place I could call my own”とあり、居場所を模索しているところに触れているのがいいなと思いました」

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シャツ¥11,000/ビバ ストレンジ ブティック タートルトップ¥23,100/ノワール ケイ ニノミヤ(コム デ ギャルソン) セプタム/モデル私物

DISORDER
Joy Division

「曲中にある“I’ve got the spirit, lose the feeling”という一節は、“僕は生き返ったけど感じなくなった”や“僕にはスピリットがあるが感情を失ってしまった”など、さまざまな和訳が存在していて理解するのが難しい詩です。イアン・カーティスが精神的に追い詰められていたのがわかる内容。その苦悩を讃えて」

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トップ¥297,000(予定価格)/セリーヌ バイ エディ・スリマン(セリーヌ ジャパン) レギンスの中にはいたショーツ、上から¥127,600、¥111,100(ともに予定価格)/ともにミュウミュウ(ミュウミュウ クライアントサービス) レギンス¥20,900/ウォルフォード(サザビーリーグ) シューズ¥111,100/ジミー チュウ ソックス/スタイリスト私物 セプタム/モデル私物

BLUE MONDAY
New Order

「イアン・カーティスが亡くなった月曜日のことを残されたメンバーが綴った楽曲『BLUE MONDAY』。そしてマッドチェスターを代表するバンドのひとつハッピー・マンデーズ。今回表現したファッションストーリーのタイトル、“mondays”は、人の中にある憂鬱さとそこから見出す希望、そして再生を私なりに表現したもの。私の中には、大人になりきれない、ユースな心を忘れたくない自分が常にいて、エディ・スリマンの世界観に共通するものを感じます。くるくるの白いソックスを合わせつつ、2枚を重ねばきしたショーツをチラ見せして、ほんの少しやんちゃな感じをプラスしました」

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ピアス¥78,000(予定価格)/アクネ ストゥディオズ(アクネ ストゥディオズ アオヤマ)

LEAVE ME ALONE
Thurston Moore/New Order Cover

「このクリエイティブは、ニュー・オーダーのセカンドアルバム、『権力の美学』のアートワークへのオマージュです。ギターの音色が美しいメロディを奏でる曲『LEAVE ME ALONE』。ひとりにしてくれ、棘を持つ薔薇がそう言っているかのようです。
きれいな花には棘があり、人には光と影がある。ひりつくような孤独感と、快楽への欲求。あるインタビューで、10代を定義する曲としてソニック・ユースの『TEENAGE RIOT』を挙げたラフ・シモンズ。というわけで、元ソニック・ユースのサーストン・ムーアの美しいカバーバージョンを選曲しました」

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パーティガールの顔と裏に抱える孤独。
その両面を描きたかった。

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ニット¥696,300/バレンシアガ(バレンシアガ クライアントサービス) ソックス¥5,489/タカヒロミヤシタザソロイスト(タカヒロミヤシタザソロイスト.アオヤマ) シューズ¥154,000/ロジェ ヴィヴィエ(ロジェ・ヴィヴィエ・ジャパン) セプタム/モデル私物

LOVE WILL TEAR US APART
Joy Division

「ずっしりと重量感のあるボリュームニットをワンピースのように着用。白いソックスとワンストラップシューズは、私の中に存在する“少女性”の象徴。タフなニットと、どこか無防備な足元でコントラストをつけたスタイリングです。イメージした曲は『LOVE WILL TEAR US APART』。歌詞の解釈はいろいろありますが、ボーカルのイアンが離婚の話をしていた妻デボラに宛てた内容とも言われています。“Why is bedroom so cold?”という歌詞もあり、写真のベッドマットともリンクしています」

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ドレス¥546,700/ロエベ(ロエベ ジャパン クライアントサービス) トップ¥15,400/アンダーカバー 中に着たメッシュトップ¥16,500/ジュンヤ ワタナベ(コム デ ギャルソン) ヴィンテージピンバッジ、右上から¥3,740、¥3,740、¥1,650/以上ビバ ストレンジ ブティック ソックス¥1,980/ブルーフォレ(伊勢丹新宿店 本館3 階 マ・ランジェリー) シューズ¥236,000/ロジェ ヴィヴィエ(ロジェ・ヴィヴィエ・ジャパン) タイツ/スタイリスト私物 セプタム/モデル私物

SHOWROOM DUMMIES
Kraftwerk

「上質なレザーで仕立てられたドレスは、ラグジュアリーだからこそ反骨精神たっぷりに着たい。メッシュのトップに切り込み入りのTシャツを重ねて、私物のタイツはいい感じに破りました(笑)。細いストラップシューズに、ソックスを合わせることは忘れません。こんなスタイルで聴きたいのはクラフトワークの『SHOWROOM DUMMIES』。ナイトクラブに遊びに行くような享楽的なこのスタイルに表裏一体で存在する、孤独や虚しさを感じられると思います」

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シューズ¥427,900/ロジェ ヴィヴィエ(ロジェ・ヴィヴィエ・ジャパン) ソックス¥1,980/ブルーフォレ(伊勢丹新宿店 本館3階 マ・ランジェリー) タイツ¥4,950/ウォルフォード(サザビーリーグ)

TRANSMISSION
Joy Division

「キラキラ輝くバックストラップのシューズは、薄いストッキングと白いソックスのレイヤードで、あえてエレガントにならないようにコーディネート。大音響に身を委ねて、朝まで遊んだ時の高揚感と、心地いい倦怠感を表現したビジュアルにしました。
“踊ろう ダンスを 踊ろう ラジオに合わせて”……ジョイ・ディヴィジョンの『TRANSMISSIN』とともに、ダンスシューズのような煌めくシルバーの靴を履いて、音に身を委ねてただただ踊ってほしい。何もかも忘れて」

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トップ¥101,200(予定価格)/アクネ ストゥディオズ(アクネ ストゥディオズ アオヤマ) スカート¥594,000(予定価格)/プラダ(プラダ クライアントサービス) タイツ¥4,950/ウォルフォード(サザビーリーグ) シューズ¥168,300/ロジェ ヴィヴィエ(ロジェ・ヴィヴィエ・ジャパン)セプタム/モデル私物

NIGHTCLUBBING
Iggy Pop

「ここぞ!と気合を入れておしゃれをする時は、誰よりも可愛くなりたい。レザーのペンシルスカートを主役に、装うことの楽しさを伝えたいと思いました。フェティッシュなアイテムに、リボンやストラップシューズを合わせて、私らしくバランスを取っています。このスタイルが彷彿とさせたのはイギー・ポップのアルバム『THE IDIOT』に入っている『NIGHTCLUBBING』。イアンが自ら命を絶ったとき、その部屋のターンテーブルで回っていたレコードはこの『THE IDIOT』だったそう。ナイトクラブでの享楽的な時間とその裏にある孤独をイメージして」

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ジャケット¥429,000、ネックレス¥90,200(予定価格)/ともにジバンシィ(ジバンシィ ジャパン) タンクトップ¥47,000、中に着たドレス¥61,500/ともにラフ・シモンズ(エッセンス) セプタム/モデル私物

CEREMONY
Joy Division

「23年春夏が最後のコレクションとなったラフ・シモンズへのオマージュスタイルです。ファスナーを開閉することで表情が変わるジバンシィのジャケットに、タンクドレスでカジュアルさを加えて、型にはまらない自由な着こなしを提案しました。このスタイルから想起した曲は『CEREMONY』。袖を通さないで着たジャケット、ラフ・シモンズのワンピースとタンクトップ、凛と胸を張り力強く服を着て、力強い眼差しでカメラを向くモデルの表情と合うのではないかと感じています」

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混沌とした時代の先に輝く、
新しい光を信じたい

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60年代USアーミーレインコート¥12,800/オルゴー パーカ¥20,900/カーハート WIP(カーハート WIP ストア トーキョー) シャツ¥144,100、シューズ¥156,200(ともに予定価格)/ともにミュウミュウ(ミュウミュウ クライアントサービス) パンツ¥118,250/ラフ シモンズ(ドーバー ストリート マーケット ギンザ) コートに付けたヴィンテージピンバッジ(参考商品)/ビバ ストレンジ ブティック タイツ¥1,760/ミュージック レッグス(ぽこ・あ・ぽこ) セプタム/モデル私物

KEEP ON KEEPIN’ ON
Nolan Porter

「イアンが生前着ていたUSアーミーのコートを、当時の彼らのようなスタイルをアイデアソースにしつつ、モダンに落とし込みました。シャツは裾を開けて編みタイツをのぞかせ、ジップパーカは一足早く秋冬のムードも意識して。ノーザン・ソウルの『KEEP ON KEEPIN’ON』の歌詞にある、どんなに辛くても続けなきゃいけないというメッセージをイアンへの花向けに。是非聞いてください」

Tamao Iida
宮城県生まれ。モード誌から広告まで幅広く活躍。再開し始めた来日アーティストの公演に足繁く通い、今企画のために新たにレコードを買い込んだ筋金入りの音楽ラバー。
●問い合わせ先:
ミュウミュウ クライアントサービス 0120-45-1993(フリーダイヤル)
ドルチェ&ガッバーナ ジャパン tel:03-6833-6099
サザビーリーグ tel:03-5412-1937
トーガ原宿店 tel:03-6419-8136
ファーフェッチ カスタマーサービス tel:050-3205-0864
ビバ ストレンジ ブティック tel:03-6877-0176
コム デ ギャルソン tel:03-3486-7611
セリーヌ ジャパン tel:03-5414-1401
ジミー チュウ 0120-013-700(フリーダイヤル)
アクネ ストゥディオズ tel:03-6418-9923
バレンシアガ クライアントサービス 0120-992-136(フリーダイヤル)
タカヒロミヤシタザソロイスト.アオヤマ tel:03-6805-1989
ロジェ・ヴィヴィエ・ジャパン 0120-957-940(フリーダイヤル)
ロエベ ジャパン クライアントサービス tel:03-6215-6116
アンダーカバー tel:03-3407-1232
伊勢丹新宿店 本館3階 マ・ランジェリー tel:03-3352-1111
プラダ クライアントサービス 0120-45-1913(フリーダイヤル)
ジバンシィ ジャパン 0120-218-025(フリーダイヤル)
エッセンス www.ssense.com
オルゴー tel:03-3463-0509
カーハート WIP ストア トーキョー tel:03-3402-9810
ドーバー ストリート マーケット ギンザ tel:03-6228-5080
ぽこ・あ・ぽこ tel:03-3477-5006

*「フィガロジャポン」2023年6月号より抜粋

photography: Mitsuo Okamoto styling: Tamao Iida  hair: Yusuke Morioka (eight peace) makeup: Uda (mekashi project) editing: Kayori Morita

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