ディオール 2023-2024秋冬オートクチュールコレクション ディオール、古代の女神たちのシンプルで崇高なクチュール世界。

Fashion 2023.07.06

7月3日、夏の青空が広がるパリで、オートクチュール・ファッションウィークが幕を開けた。
初日最大のイベントはディオールのショー。いつもの通り、7区のロダン美術館の庭園に特設会場が出現し、エレガントなルックに身を包んだたくさんのゲストを迎えた。

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ロダン美術館の庭園に設置された会場は、毎回、シノグラフィーも楽しみ。© Adrien Dirand 

ディオールのショーでは、毎回、女性アーティストが手がける会場装飾がコレクションの世界観を表現する。今回は、ローマ在住のアーティスト、マルタ・ロベルティが、ショーの会場をアート空間に変えてしまった。

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壁をぐるりと彩る、動物や女神たち。近づいてみると、刺繍で描かれていることがわかる。© Adrien Dirand 

動物や人物を題材に神話的な幻想世界を描くマルタ・ロベルティは、「絵画史の中で、女神たちは常に動物と結びついています。最初は彼女たちのポーズや動きを自分の体で模倣し、女神の特徴を具現化し、自分自身の女神像を完成させました」と語っている。ショー会場のために、彼女は雄牛や蛇、ヒョウ、孔雀などの大小の動物を従えた女神たちを描いた。そのドローイングは布地に移しとられ、ひと針ひと針、インドのチャーナキヤ工芸学校の女性たちの手で刺繍されている。アートと手仕事を讃えるエスプリは、会場のデザインにも貫かれているのだ。

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2023−24年秋冬オートクチュールで、マリア・グラツィア・キウリは古代の女神たちにテーマをとった。
ショーの始まりを告げるファーストルックは、白いウールクレープのロングドレスとケープの、まさに女神のようなたたずまいのアンサンブル。装飾のない、シンプルなシルエットだが、オートクチュールならではダブルフェイス仕上げが、まるで薄布をさらりとまとったような印象を与えている。続くのは、白いロングシルエットのルックに、フラットシューズを履いたモデルたち。その歩みはひっそりとして、どこか神聖な雰囲気さえたたえている。

ケープ、ジャケット、コート、チュニックなど、服装の基本的要素を完璧に仕上げ、女性の体と布地の融合が生み出すシルエットの美しさそのものを表現したコレクション。白をメインカラーに、パール刺繍、プリーツやレースのはめ込みなどのオートクチュールらしい手仕事がさりげなく加えられている。

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ファーストルックを筆頭に、16体の白いルックがショーの幕開けを飾った。
左:ウールクレープのロングドレスとケープ。
右:ギピュールレースとパール刺繍をあしらったシルクシャンタンのドレス。

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ベージュのトレンチ風コートもフルレングス。

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左:ゴールドやブロンズ色に輝くメタル糸でレース風の刺繍を施したドレス。
右:ゴールド色のネットに、フリンジあしらいのケープ。

やがて色調はベージュへ、シルバーやゴールドへと輝きを増し、レースやマクラメ、パスマントリーなどの装飾も神々しさをプラスする。
だが、コレクション全体を通して心に残るのは、ドレスの布が身体に沿って作り出す、流れるようなラインや、カシミアやウールで仕立てられたコートやジャケットの、構築的ながらも柔らかみのあるシルエット、すっぽりと体を包んでしまうロングケープの優しい表情。シンプルに見えるワードローブを支えるのは、上質素材と布地への知識、カッティングのセンスと縫製のテクニックーーそんな、オートクチュール本来のサヴォワールフェールの存在なのだ。

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ショーの様子を動画にてチェック。

 

会場には、ナタリー・ポートマン、エリザベス・デビッキ、そして日本からは中谷美紀さんといった美しくも知的な魅力あふれるセレブリティが揃った。

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全ルックはこちら!

text: Masae Takata(Paris Office)

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