現代のアマゾーヌを描いた、ディオール2025年春夏コレクション。

Fashion 2024.09.30

毎シーズン、オートクチュールのコレクションを行ってきたロダン美術館の庭園に、今回はプレタポルテの会場を設えたディオール。ジャパン アンバサダーの横浜流星、八木莉可子をはじめ、ジス、ナタリー・ポートマン、アニャ・テイラー=ジョイ、エリザベス・デビッキといったセレブリティが続々と訪れ、華やかな雰囲気に包まれた。

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黒と白のコントラストが貫かれたコレクション。イメージは現代のアマゾーヌ。

大理石の模様を思わせるブルーの会場では、全長70メートルに及ぶ細長いガラスのストラクチャーがゲストを迎えた。壁やガラスのストラクチャーには、「I don't know if I've ever shines, but I have resisted」「Calm, Courageous, Consistent」などの言葉が記されている。

毎シーズン、マリア・グラツィア・キウリが女性アーティストに依頼する会場インスタレーションはショーの楽しみのひとつでもあり、コレクションのエスプリを語る手段のひとつでもある。今回の会場インスタレーションを手掛けたのは、ナポリ生まれのサグ・ナポリ。映像、立体、インスタレーションとパフォーマンスを組み合わせたアート表現を行う彼女は、アーチェリーのアスリートでもある。

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ランウェイの中央にガラスのストラクチャーが設えられた、ブルーの会場。

音楽とともに登場したサグ・ナポリは、ワンショルダーの黒いミニドレスに身を包み、現代のアマゾーヌそのもの。彼女がランウェイの中央を貫くガラスのストラクチャーの中に立ち、1本目の矢を放ったのを合図に、ショーが始まった。

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今回のコレクションを象徴するアマゾーヌを思わせるルックを纏ったアーティストのザグ・ナポリ。彼女が放った第一矢を合図に、ショーが開始。

夏のパリ・オリンピック・パラリンピックでアーティストやアスリートのための衣装をさまざまにクリエイトしたマリア・グラツィア・キウリ。彼女は今シーズン、メゾンのアーカイブから、1951-52秋冬オートクチュールでムッシュ・ディオールがデザインした「アマゾーヌ」ドレスに着目。自立した勇敢なフェミニニティを象徴する伝説的な女性像アマゾーヌをイメージし、アーカイブを再解釈して今に甦らせた。

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アシメトリーなボディスーツ、腰にはあえてChristian Diorのロゴが。
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今シーズンのバー・ジャケットは、アシメトリーな表情。ウエストをベルトでマーク。
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真っ白なアシメトリーのシャツと黒いスカートの組み合わせ。
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チェッカー柄、ライダー風のセットアップ。
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スポーツテイストのワイドなパンツとかっちりしたジャケットの組み合わせ。

「Miss Dior」のロゴを細く引き伸ばしてグラフィックにアレンジしたサイドラインや、モーターレースを想起させるチェッカー柄、ボンバージャケット、ジャージーのワイドなパンツ、ライダーウェア風のセットアップなど、スポーツのエスプリがふんだんに盛り込まれている。その一方で、襟元を大きく開けたシャツドレスやジャケット、ボディスーツやブラックドレスはいずれもアシメトリーなシルエットで、エレガントな表情だ。

小物使いでは、ダブルのカチューシャのヘアアクセサリーや、肩まで届く長いレザーのグローブが印象的。足元はサイドに「Miss Dior」を引き延ばした白いラインのニーハイ丈ブーツやグラディエーターを合わせ、フェミニンと強さが共存するイメージを演出した。

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「Miss Dior」のロゴを引き延ばしたグラフィックなモチーフのコート。ブーツのサイドのラインも同様。
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一点だけ登場した赤いボンバージャケットが目をひいた。

黒と白のコントラストで貫かれたコレクションには、スポーツのエスプリとキリリとしたエレガンスが同居する。常にフェミニズムのエスプリを伝えてきたマリア・グラツィア・キウリによるディオールだが、今シーズンはこれまで以上に、女性の強さを印象づけ、讃えるコレクションとなった。

今回のコレクションのなかでも特徴的な「オプティックプリント169」のサヴォワールフェールを伝える動画もお届け!

text: Masae Takata (Paris Office)

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