10月1日まで開催されていた2025年春夏パリコレクション。ショーや展示会に足を運んでいた編集長KIMによる、パリ日記をお届けします。
朝はヴァンセンヌの森近くに立つ城でロエベ のショー、夜はブーローニュの森の隣にあるオテル・モリトールで #クリスチャンルブタン のパフォーマンスショーを観るという、パリの森訪問の9月27日。
ロエベは前回のレディスプレタポルテと同じ会場のヴァンセンヌの森の城で行われた。訪れたセレブにみな大興奮! SEVENTEENリーダーのエクスプスの来場で城が轟き、ハリウッドセレブにいたっては、メグ・ライアン、ジェフ・ゴールドブルム、そしてダニエル・クレイグ! 会場の中央に立てられたポールの上に小さな鳥が飾られているのだが、それにジェフ・ゴールドブルムが反応してパフォーマンスのサービス。素敵。ダニエル・グレイグと『君の名前で僕を呼んで』や『チャレンジャーズ』の監督ルカ・グアダニーノが会話していたり。映画好きにとっても興奮の場面だった。「鳥」の羽で仕立てたTシャツ、カーゴパンツなど、ユーティリティ×繊細な素材、そしてトラペーズラインのジャケットやミニドレスはメッセージ性も強くて美しかった。儚く淡いボタニカルプリントのクリノリンドレスの足元はローファーやスニーカーだったり、こういうハズシ方の美学を感じられた。
続くイッセイミヤケは、来場者たちに「森の散歩時間」をプレセント。ヴァンセンヌ城から歩いて7~8分のところにある会場にてショーが開催された。日本の伝統に敬意を込めて、和紙を用いて創られている。布ってどういうふうに製作されているのかな?ということに観る人の関心を引き込む、自然へのオマージュ。穏やかな気持ちになれた。そして、淡いパープルのコートがほしくなった。
ヨウジヤマモトはパリ市庁舎の瀟洒なホールで行われた。布を集める、たわませる、絡ませる。基本的なことだけれど、そこから生まれるシルエットにメッセージがたくさん詰め込まれていて、世界観に引き込まれる。また、冒頭からほぼ最後のほうまで、1台のピアノだけでBGMが流れていた。生演奏で弾かれたなかに、イルカの「なごり雪」や石川さゆりの「津軽海峡冬景色」があって、ゆったりとジャジーに奏でられるものだから、とても不思議な心地よさを感じた。ヨウジさんの愛する曲なのだろうか?
展示会で訪れたのは、ドリス ヴァン ノッテン、ロジェ ヴィヴィエ、クロエ。ドリスへの敬意あふれるデザインチームは、プリントへのパッションが半端ないなあ、としみじみ。近くで見るとアニマルプリントをすべてスパンコールで表現していたり、そうとうこだわりのある内容だった。そしてシューズ&バッグにも力をもう少し入れていこう、という意気込みが。ロジェ ヴィヴィエの展示会は大好き。華やかでロマンティックで色彩にあふれている。今回のテーマはガーデン。ガーデンに実る野菜やフルーツモチーフや、太陽を感じさせるヴァカンス風のラフィア素材などハッピーなコレクション。クロエはシューズにロックオン! そして、海からのモチーフのアクセサリーは煌びやか。見ているだけで楽しくなる魚や貝モチーフのオンパレード。また、モラビトのショップオープンに訪れ、古い屋敷の梁が残る天井や設えに感激した。その中に佇む新任デザイナーが提案するモダンに進化したクラシックバッグの数々。こういう上質さを纏えるのが理想。
そして9月27日のフィナーレはクリスチャン ルブタンのパファーマンスショー! 商品を見せるためのショーではなく、来場者を楽しませることに徹底したパフォーマンスに注力している点が素晴らしい。デイヴィッド・ラシャペルの演出で行われたアーティスティックスイミング、ヒールを履きながら演じるって......どんだけすごいの! 場所は中心から少し離れたブーローニュの森近くのホテルだったが、遅い時間でも、たとえ疲れていても、「来てよかった!」と心から思えるエナジーをくれるショーでした。