若い世代にレザージャケット人気が復活している理由とは?

Fashion 2024.12.27

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レザージャケットへの注目度が若い世代の間で急速に高まっている。セレブやビッグブランドの影響なのか、このアイテムが持つ特性ゆえなのか、流行の裏側に迫る。

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チェルシー・ホテルでおこなわれた映画『名もなき者/A COMPLETE UNKOWN』の完成記念パーティーにて、プロデューサーのマシュー・グリーンフィールドと俳優ティモシー・シャラメ。(ニューヨーク、2024年12月13日) photography: Rolling Stone / Rolling Stone via Getty Images

俳優ティモシー・シャラメがレザージャケットをひんぱんに着るようになってから、真似をする若い男性がどっと増えた。彼がロック界のレジェンド、ボブ・ディランを演じた新作映画『名もなき者/A COMPLETE UNKOWN』のプロモーション活動を始めてから、もっぱらレザージャケットを愛用している。最初の登場は12月6日、テネシー州ナッシュビルの劇場の前だった。その晩、劇場の外で待っていたファンの前にティモシー・シャラメはオーバーサイズの茶色いレザージャケットを羽織って現れた。3日後、ロサンゼルスのレッドカーペットで、彼はたくさんのピンバッジをつけた黒の革ジャンを披露した。

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BFIサウスバンクの映画館でのイベントのレッドカーペットに、シアーシャ・ローナンと登場したレザージャケット姿のティモシー・シャラメ。(ロンドン、2024年12月18日、ロンドン)photography: Jeff Spicer/ Getty Images

彼のレザージャケット愛はまだまだ続く。12月13日、『名もなき者/A COMPLETE UNKOWN』のニューヨークプレミアでは、黒のグレインレザーロングジャケットを着てフォトコールにやってきた。5日後、アメリカ系アイルランド人女優のシアーシャ・ローナンと一緒にレッドカーペットに登場した際は、チョコレートカラーの大きなユーズドジャケットでシック&カジュアルなスタイルにまとめていた。この俳優は多くの人から、ひょろひょろした細身の男性の総称である「ヌードルボーイズ」のなかでも別格の存在とみなされている。どうやら28歳にしてこの冬のお気に入りアイテムを見つけたようだ。そして、おそらく知らず知らずのうちに、SNSでファッションブームを起こした。

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シックなレザー

というのも、ティモシー・シャラメが着るものを真似するコアなファン層が存在するからだ。インフルエンサーカルチャーに育まれたTikTokのターゲット層の間では、もう数週間前からレザージャケットがZ世代の若い男性のマストアイテムとなりつつある。長年ティーンエイジャーの心を捉えてきたノースフェイスのもこもこダウンジャケットは過去のものとなった。今や、たっぷりしたバイカージャケットや、より「成熟した」アイテム、たとえばボマージャケットやジップ付き革ジャンが人気だ。再生回数がうなぎのぼりの動画の数々には、「欲しいのは完璧なカッティングのジャケット」、「服のセンスいいね」、「このジャケットに惚れた」などのコメントが付く。

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レザージャケット人気の急速な復活において見逃せないのは、このアイテムの特徴として、多様なインスピレーション源を貫く分母のような存在であるという点だ。「ニューヨーク・タイムズ」紙のファッションジャーナリスト、ジェイコブ・ギャラハーは、「男性にレザーの話をすればするほど、インスピレーション源が人によってどれだけ異なるかがわかる」と言う。「人々がお手本に挙げるのは、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』のレオナルド・ディカプリオのシガーブラウンのレザージャケット。それから『マトリックス』シリーズの俳優を挙げる人もいる。同シリーズの写真は今日、2000年代専門のインスタグラムのアカウントに大量にアップされている」とのこと。『華麗なる大泥棒』でジャン=ポール・ベルモンドが着ていたムートン付きのジャケットや、『グリース』でジョン・トラヴォルタが着ていたセクシーなジャケットを思い浮かべる人もいるだろう。要するに、映画からサブカルチャーシーンに至るまで、フェチ的側面も含めてレザージャケットに誰でも無関心ではいられないのだ。日々ピンタレストやインスタグラムなどの画像プラットフォームで常にイメージからインスピレーションを得ている若い世代ならなおさらだ。

ビッグ・ブランドもこの流行にひと役買っている。最新ファッション・ウィークではその傾向がとりわけ強かった。9月24日、サンローランのショーではマスキュリンにもフェミニンにも見える、カッティングのゆったりしたスーツにレザージャケットが組みあわされていた。バレンシアガのアーティスティック・ディレクター、デムナは、2025年春夏コレクションで丸々とふくらませたレザージャケットを登場させた。ランウェイでレザージャケットは絶えず進化をしている。鍛えあげられたボディの持ち主でなくとも、万人が着られるアイテムとなったことをあたかも毎シーズン、証明するかのように。

時代背景も忘れてはならないだろう。レザージャケットはファッションが変化する時代に復活した。コロナ禍が終わってから、くつろげる服志向は新たな局面を迎え、Z世代が崇拝するキャロライン・ベセット・ケネディ風のミニマリスト・トレンドの数々が生まれた。この世代が欲しいのはただの服ではない。一生物の服だ。そしてレザージャケットは明らかにそのひとつなのだ。

※この記事は、madameFIGARO.frで掲載されたものの翻訳版です。データや研究結果はすべてオリジナル記事によるものです。

From madameFIGARO.fr

text: Augustin Bougro (madame.lefigaro.fr)

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