パンツは極端なシルエットがいまの気分!【2025年春夏トレンド解説|栗山愛以編】
Fashion 2025.02.17
Q1. 2025年春夏を振り返り、全体的にどのようなコレクションでしたか?
Q2. 気になるトレンド(スタイル・アイテム・カラー・素材など)は何ですか?
Q3. 特に印象に残ったブランドはありますか?
Q4. 実際に取り入れてみたいスタイリング方法、または欲しいアイテムを教えてください。
Q5. 特に印象に残ったショー(会場セットや音楽、ムードなど)はありますか?
Itoi Kuriyama
栗山愛以
ライター&エディター
@itoikuriyama
A1. 春夏らしい軽やかな素材使いやシルエット、スポーティなムードやランジェリーの要素などが、複数のブランドで見受けられました。相変わらず不穏な世界情勢ですが、それを日常としてやり過ごすようになった人々の心を反映するかのように、モードの世界も平常運転になってきたのでしょうか。そんな中、コム デ ギャルソンがブランドには珍しく難民キャンプや環境問題に対するスローガン、山積するゴミの写真を服にプリントする、という直接的な表現で警笛を鳴らしていたのが印象的でした。デザイナー退任後、チームでデザインを手がけているブランドもあれば、今季を最後にデザイナーが去るブランドも多く、モード界はいま過渡期なのかもしれません。
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A2. 全体を牽引する一大トレンドというよりは、さまざまなムード、要素のまとまりがありました。なかでも割合多くのブランドで見られたランジェリーのモチーフは個人的にも好きなので、さまざまなタイプが揃っていたのはうれしかったです。また、アートは常になんらかの形で取り上げられていますが、今季はロエベがあえて"ベタ"な名画や音楽家の肖像画を用いていたのが新鮮でした。
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それから、ここ数年注目されているバレエコアが、シーズンテーマに掲げていたフェラガモを筆頭に、アン ドゥムルメステールやロクの足元にも見られ、まだまだ継続するのだな、と感じています。
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A3. バレンシアガの冒頭のランジェリーのモチーフのシリーズは珍しくセンシュアルな表現で驚きました。ひとつのコレクションにさまざまなアイデアが詰め込まれていて、服そのものに集中しようとする姿勢を感じます。
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いつも招待状や会場のセット、コレクションの構成が織りなす関係性に興味津々のロエベは、やはりフェザーに描かれた名画に目を奪われてしまいました。ミュウミュウはスタイリングの発想がいつもおもしろくて、今季は特に足元のソックスとシューズの組み合わせの妙に見入ってしまいました。
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A4. パンツは極端なシルエットが気分なのか、プラダのタイツのようなパンツ?パンツのようなタイツ?や、ロエベのワイドパンツにトライしたいです。それから、ミュウミュウのグレーの長いソックスと、カラフルな短いタイプのソックスが欲しい。バレンシアガのランジェリートロンプルイユパンタシューズも気になります。
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A5. モデルのウォーキングがノリノリで見ていて楽しかったフランス発の若手ブランド、オールインのほか、リック・オウエンスのショーも印象深かったです。建物の屋上から巫女のような女性たちが花びらをまく中、宗教信者のようにも見える大勢のモデルたちが長い時間をかけて行進し、最後に登場したリックはまさに"神"。かつてはアンダーグラウンドなイメージが強かったですが、いまや尊敬を集める存在になったと思います。
*「フィガロジャポン」2025年2月号より抜粋
photography: Spotlight, amanaimages