原点から未来へ、サラ・バートンによる新生ジバンシィの展示会が上海で開催。

Fashion 2025.07.28

サラ・バートンが手がける、ジバンシィ新章の幕開け_2025年秋冬コレクション展示会 at上海
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上海の石庫門建築群「張園(ジャンユエン)」内にあるヴィラ「W2」

サラ・バートンによるジバンシィのデビューコレクションは、偶然の発見から始まった。ブランドの原点であるアルフレッド・ド・ヴィニー通り8番地の邸宅を改装中、隠し戸棚から創業者ユベール・ド・ジバンシィが使用した1952年のデビューコレクションの織物パターンが茶封筒に包まれた状態で見つかったという。

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茶封筒に包まれていたデビューコレクションのパターン。

この発見にインスピレーションを受けたサラは、「前へ進むためには、原点に立ち戻る必要がある。私にとってはアトリエがすべて。アトリエは、ジバンシィの心臓であり魂なのです」と語る。歴史的なクチュール技術をモダンに甦らせ、シルエットや刺繍にオートクチュールの精神を宿した、気品あふれる美しいコレクションへと昇華させた。

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こんな偶然から始まった今回の秋冬コレクションの発売を前に、中国・上海で展示会が開催。会場となったのは、150年以上もの歴史を誇る石庫門建築群「張園(ジャンユエン)」。28種もの多様な石庫門建築洋式が集うこの地は、上海の伝統とインターナショナルなファッションが融合した優美な空間。プレビューはそのなかでも一際荘厳な趣を放つヴィラ「W12」で発表された。入り口まわりにはパリのジャルダンのような木々があふれ、その先に中国の伝統的な回廊が続く。まさにフランスの伝統とグローバルな感覚がミックスした空間は、サラ・バートンが描く新たなジバンシィの世界にふさわしい場所だった。展示会では、冒頭で触れた茶封筒に包まれたパターンの実物も展示され、ブランドの歴史と未来が交差する瞬間を体感。

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1stルックには、創業当初のロゴがオン。

コレクションは、創業当初の"GIVENCHY PARIS 1952"ロゴが刻印された象徴的なメッシュニットのオールインワンを皮切りに、サラが得意とするテーラリング技術と50年代のアワーグラスシルエットが融合した構築的なジャケット、ジバンシィレースを用いたドレスなど、職人技が光るラインナップに。

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ユベール・ド・ジバンシィ直筆のスケッチと今回の最新コレクション。

また、ユベール・ド・ジバンシィの過去のクリエイションにオマージュを捧げるルックも多数登場。50年代当時デザイン画に描かれたショールは、サラの手により形状記憶レザーで再現され、動物や農業が好きだったというユベールの思いは、コートやスカートのアニマルプリントや花刺繍として表現された。その細かな刺繍や立体的な裁断は、クチュールハウスならではの技術をふんだんに感じることができる。

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アンティークのコンパクトやミラー、パフなどが刺繍されたドレス。

1950年代のトップモデル、ベッティーナ・グラツィアーニが、フィッティングに来た際にバッグの中のコンパクトやミラーを床にばらまいてしまった、という逸話から着想を得たドレスも登場。アトリエの職人の中には、ユベール本人とともに働いたことのある、さまざまな逸話を知る職人がいまもなお活躍しているというから驚きだ。

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アワーグラスシルエットのジャケットや140メートルものチュールを使用したドレス。

「私は、現代の女性のすべてを表現したい。強さ、繊細さ、感情的知性、パワフルであるこそ、そしてセクシーであること_そのすべてを」と語るサラの言葉通り、Vネックジャケットはあえて前後を逆転させたデザインで、ラペルを背面に配し、ウエストシェイプが際立つシルエットに。360度どこから見ても美しいフォルムが特徴だ。

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写真内、左が「ピンチ」、右が「ファセット」。
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スカルプチュアルな大ぶりのクリスタルが特徴のアクセサリー。

アクセサリーにも女性がもつ多様な魅力が息づいている。なかでも注目は、ロゴとスクエアトウが印象的なバレリーナシューズ。バッグはレディ・トゥ・ウエアの制作過程とリンクする、縫い針のような留め具がモダンな印象の「ピンチ」と、構築的なフォルムが際立つ「ファセット」の2種類。クラッシュされたシャンデリアを思わせるジュエリーやガラス細工のようなアクセサリーには、サラが大切にする「受け継がれるオブジェ」という哲学が宿っている。

上海の歴史的な地で、創業者ユベール・ド・ジバンシィとサラ・バートンが70年以上もの時を超えて対話するような展示会。クチュールメゾンであることを改めて認識し、ファッションを通して女性の在り方を提案するジバンシィのいまを存分に感じる展示会となった。

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