スニーカーとバレリーナの中間のようなトレンドシューズ「スニーカリーナ」とは?

Fashion 2025.09.26

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"スニーカリーナ"
スニーカーとバレリーナを融合したトレンドシューズ

インフルエンサーに愛され、モデルたちが誇らしげに身に着け、女優までもが魅了されている、今年大ブレイク中の超フェミニンなスニーカー×バレリーナ、「スニーカリーナ」に注目してみよう。

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エミリー・ラタコウスキー(ニューヨーク、2024年6月14日) photography: Bauer-Griffin/INSTARImages/ABACA

ロマンチックな心を忘れない人のために作られた、躍動感あふれる靴。それが「スニーカリーナ」だ。スニーカーとバレリーナシューズの中間のデザインで、大都市の街角にあふれている。

スニーカリーナは、スニーカーの快適さとダンスシューズのシックさを兼ね備えている。「スニーカリーナ」(「スニーカー」と「バレリーナ」を合わせた造語)は誰にでも受けるとは思えないが、今シーズン最もトレンドの靴は間違いなくこれである。スポーツ用スニーカーでもなく、完全なバレリーナシューズでもないこのファッション界の異色作は、躍動感と可愛らしさを兼ね備えたデザインで強い存在感を放っている。厚みが異なるラバーソールやスニーカーの世界観を取り入れたデザインがある一方で、バレエシューズ風の繊細なレースアップや、パステルやマットカラー、サテンや光沢のある素材も取り入れられている。

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アメリア・グレイ(パリ、2025年3月7日) photography: Aissaoui Nacer/Splash News/ABACA

では、なぜ「スニーカリーナ」が2025年になってこれほどの人気を博しているのだろうか。スニーカリーナは、2000年代初頭に米カリフォルニア発のブランド、スケッチャーズが発売してから、すでに20年以上が経っている。その答えはシモーン・ロシャのアーカイブにある。アイルランド出身デザイナーの彼女は、2024年1月にパリ・オートクチュール・ファッションウィークで、ジャン=ポール・ゴルチエのスタイルを彼女の視点で再解釈するよう依頼を受けた。それ以来、彼女は「クリスクロス トラッカー」を自身のシグネチャーとして展開している。このアイテムはブランドを代表するスニーカーであり、アイコニックなデザインとして知られている。漆黒のバレリーナシューズには大胆なオーバーサイズの艶やかなソールにあしらわれ、つま先はラウンド、クロスストラップにはバックル付き、かかとには履きやすさを助ける引き手が付いている。

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ルイ・ヴィトンのスニーカリーナ(ベルリン、2025年4月9日) photography: Jeremy Moeller / Getty Images

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クロエ・セヴィニー(ニューヨーク、2024年9月13日) photography: Dylan Travis/ABACA

アクセサリーがひとつのトレンドとなり、そのトレンド自体が社会現象となっている。そのため、各ブランドはこぞって独自のデザインを展開している。例えばガニーでは、レザー素材の「スニーカリーナ」がサッカー選手のスパイクを思わせるデザインながら、長めのレースアップデコルテをあしらい、最大限のフェミニンさを演出している。一方、レペットの「テニス シルク」(直訳すると「サテンのテニスシューズ」)は、柔らかさ、二重のサテンレース、チュチュのプリーツを思わせるギャザーカラー、そして極薄ソールといった点が特徴で、年初の発売から大ヒットしている。

とはいえ、誰もが気に入るわけではない。しかし、そこがこの靴の面白いところ。ちょっと意外で目を引く一方で、その見た目の可愛さに惹かれてしまう。では、どうやって取り入れればいいのか? スタイリングのポイントはふたつある。

スポーツミックスな着こなしに

最近では、アディダスやパトゥ(オニツカタイガーとのコラボ)、サロモンなどが、「スニーカリーナ」を動きやすさとデザイン性を両立させたい人向けに再解釈している。これらのモデルは、厚みがあり、ギザギザで滑りにくいソールや、クラシックなスニーカーを思わせるレース、あるいは都会的な印象を与えるマジックテープのストラップなどが特徴だ。この絶妙な組み合わせにより、どんな着こなしにもマッチする靴となっている。エミリー・ラタコウスキーのように、黒のマジックテープ付きスニーカーをフリンジ加工のデニムショートパンツとアメリカンスリーブのクロップドトップスに合わせることで、完璧にバランスの取れたシルエットを作れる。一方、インフルエンサーのマリー=ヴィクトワール・ティアンゲは、バレエシューズのフェミニンさとアディダスのスポーティーなデザインとのコントラストを楽しむスタイルを見せている。ゼンデイヤは、自分らしいスタイルを貫き、デンマーク発ブランド、エコーのより丈夫でトレンド感のあるスニーカリーナを取り入れている。

ロマンティックな装いに

2020年代に再び注目を集めた「バレエコア」(バレエの世界観から着想を得たスタイル)は、今やダンススタジオの枠を超えて日常に広がっている。レオタード、チュール、リボン、サテン...そして今ではバレリーナ風スニーカーもクローゼットに加わった。この優雅な世界観は、最近のラグジュアリーブランドのコレクションにも浸透している。サテンバレエシューズで知られるプラダや、ミュウミュウ、フリルや繊細なディテールが豊富なシモーン・ロシャのコレクションなどがその例だ。そして今日、この現象は「スニーカリーナ」によって新たな広がりを見せている。ハイブリッドスタイルの象徴であるアメリア・グレイは、VIVAIAのサテンバレエシューズ「クリスティーナ」にピーチカラーのリボンを結び、レースのソックスと合わせることで、華やかでありながら日常に馴染むスタイルの完成度を高めている。スポーティでもなく、完全にロマンティックでもないこの靴は、これまでの女性像にとらわれない新しい女性らしさを表現している。強さと軽やかさの両方を兼ね備えた新しい女性像だ。

From madameFIGARO.fr

text: Augustin Bougro and Lou Revel (madame.lefigaro.fr) translation: Hanae Yamaguchi

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