【ヴィヴィアーノ 2026年春夏コレクション】クチュールやヴィンテージの記憶を着想源にした、ネオロマンティシズム。
Fashion 2025.10.01
去る9月5日にヴィヴィアーノは、東京・渋谷で2026年春夏コレクションを発表。
ファーストルックのドレス。かすかな光沢を放つクラシックなシルエットのドレスは、背面に繊細なレースがあしらわれ、フェミニンなムードを加速させる。
本コレクションは「ネオロマンティシズム」がテーマ。ロマンティックとは甘美な装飾や感傷にとどまるものではなく、服の構造や手仕事の痕跡が、人の存在と結びついたときに立ち現れる静かな強さを指している。その"静かな強さ"を象徴するかのように、カラーパレットはあえて色を削ぎ落としているのがひとつの特徴。会場も黒で満たされ、ファーストルックから前半はブラックワントーンのルックが続く。それによって、クチュールライクな構築や刺繍のひと針、ラッフルの揺らぎといったブランド独自のディテールがより鮮明に浮かび上がるのだ。
センシュアルで親密さを秘めたブドワール風のドレス。
インスピレーションは、1920〜60年代のクチュールやヴィンテージの記憶。ショーの中盤から登場するアンティークホワイトの室内着には静謐さと親密さが宿り、70年代のレトロスポーツがノスタルジックな軽やかさをまとう。異なる時代の気配を重ね合わせ、服は新しいフォルムとバランスを獲得する。
スポーティな雰囲気とロマンティシズムが交差する。
レトロなユニフォームにツイストを加えて。
過去と未来、クラシックとモダン、静謐と躍動。相反する要素が交差する中で、曖昧な余白を抱きながら、2026年春夏シーズンは「新しいロマンティックの形」を提示する。
マニッシュなタキシードジャケットとランジェリーといった相反する組み合わせがネオロマンティシズムを表現。
1920年代のペチコートを思わせるルック。
手仕事の美しさを刺繍に込めて。
text: Natsuko Kadokura