ジョナサン・アンダーソンのディオールに、 スタンディングオベーション。
Fashion 2025.10.08
新アーティスティックディレクターによるビッグメゾンのコレクション発表が続く今シーズンのファッションウィーク。中でも最大級の話題となるジョナサン・アンダーソンのディオール、初めてのウィメンズコレクションが、10月1日、恒例となったチュイルリー庭園の特設会場で開催された。
ルカ・グァダニーノとステファノ・バイジが手掛けたショースペース。手前のレースのドレスは、1952年のシガール ドレスをジョナサン・アンダーソンが現代に甦らせたもの。
毎回たくさんのセレブリティがショーに足を運ぶディオール。今回もディオールをまとったセレブリティを一目見ようと、ショー開始の1時間以上も前から多くのファンが詰めかけた。BTSのジミン、BLACKPINKのジスをはじめ、ジョニー・デップ、ディーヴァ・カッセル、ジェニファー・ローレンス、アンナ・サワイ、中谷美紀、新木優子、と華やかな顔ぶれが次々に姿を見せ、会場の周囲から歓声があがる。
会場に足を踏み入れると、ディオール グレーの壁に囲まれた正方形の空間に、グレーのクッションを乗せた木製スツールが並んでいる。大理石の床、中央にそっと置かれたシューズボックスの上には、真っ白な逆さピラミッド。ルカ・グァダニーノとステファノ・バイジが手掛けたショースペースは、ディオールのエスプリをシャープに体現している。
やがて照明が落ちると、ムッシュ ディオールとこれまでのアーティスティック・ディレクターたちが紡いできたディオールの物語が、逆さピラミッド形のスクリーンに映し出された。過去を消し去ることなくメゾンの歩んだ歴史に共感し、作り上げた人々が織りなした言語を解読し保管する――そのことを象徴するように、過去の映像が真下に置かれたシューズボックスに吸い込まれると、いよいよ26年春夏コレクションが幕を開けた。
ニュールックのシルエットはそのままに、ドレープと大きなリボンをあしらった真っ白なドレスが、ディオールの新しいチャプターの幕開けを告げる。
ファーストルックは大きなリボン結びをあしらった真っ白なビュスチエドレス。足元はウサギの耳のような形が印象的なパンプスで。
アンダーソンらしいチェックのセットアップ。持ち手が1本の新作バッグにも注目。
タキシードシャツのディテールにジャージーのサイクルパンツ。
フラワープリントのセットアップ。デルフト ドレスからのインスピレーションで、バックにボリュームのあるスカート。
ウエストに捻りのディテールを加えたジャージーのワイドパンツ。
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大きなボウを襟元に結んだブラウスとミニスカートのセットアップ。デルフト ドレスから生まれたバックのシルエットにポイントのあるミニスカート。ミニ丈に縮小された「バー」ジャケット。シガール ドレスのシルエットはトランスペアレントなレースで表現され、シュゴン ドレスは膝丈のモダンな表情に。ミス・ディオールを想起させる小花を散りばめたドレス、花モチーフやプリント、メダリオンをあしらったビュスチエドレスなど、メゾンのアイコンへのオマージュがあちこちに散りばめられている。
ジャージー素材のゆったりしたパンツやサイクルパンツとタキシードシャツ、デニムのミニスカートに刺繍を施したベストとロングケープの組み合わせなど、コントラストのあるルックが目をひく。メゾンの歴史的なシルエットやディテールは、どれもが素材づかいやバランスの変化によって、現代的に再解釈されている。
フランス革命の時代を思わせるケープや刺繍のベストにデニムのミニスカート。
バランスを変化させたAラインのコート。足元は花モチーフのミュール。
アイコニックな「バー」ジャケットバックにボリュームのあるミニ丈に。
1949年のシュゴン ドレスは、膝丈のドレスに。大きな帽子にも注目を。
ディオールのエスプリを新しいフィルターで再構築したジョナサン・アンダーソンらしいコレクションは、6月に発表されたメンズとも一貫性を感じさせるもの。フィナーレはスタンディングオベーションに包まれた。
text:Masae Takata