【フィガロジャポン35周年企画】 シシド・カフカのファッション観を紐解くトークイベントを開催。
Fashion 2026.02.06
2025年3月、創刊35周年を迎えたフィガロジャポンでは、「アールドゥヴィーヴルへの招待」をテーマに読者の皆様にさまざまな体験の場を提供しています。
1月18日にはシシド・カフカをゲストに迎え、「My Style, My Story」というテーマのもと、50名の読者を招待し、彼女のファッションやライフスタイルを紐解くトークイベントを開催。

「My Style, My Story」は、自分の軸や美学を大切にアールドゥヴィーヴル的な生き方を実践するゲストを招き、その装いや人生哲学を深掘りするトークシリーズ。今回のゲスト、シシド・カフカはドラムボーカルというスタイルでデビュー後、アーティスト活動のみにとどまらず、モデル、俳優としての活躍、さらにはハンドサインを使って即興演奏でセッションしていくリズムプロジェクト「el tempo(エル・テンポ)」主宰や、折れたドラムスティックやシンバルをアクセサリーにアップサイクルするブランド「LAZZUL(ラズル)」を立ち上げるなど、多彩な顔を見せている。
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トークではフィガロジャポン オンライン編集長の五十嵐あきが聞き手となり、シシドの過去・現在・未来の3つの時間軸でのファッションに焦点を当て、その価値観を映し出していく。

冒頭、「これまでの自身のファッションをひと言で表すと?」という問いに対して「好き勝手です」とキッパリ答えたシシド。その時々の自分の心に素直に服を選んでいるが、若い頃から好みは変わらず一貫しているそう。「『上質なものを大切に長く使う』という母の影響が大きくて。高校生の時に買ってもらった服をいまだに着ていたりします」
トークはそんな彼女の「過去のファッション」を紐解くパートへ。アルゼンチン生まれ、メキシコ育ちで、ラテンアメリカのリズムや文化に自然と調和してきたシシドだが、私服に選んでいたのはブラック一択。華やかな音楽業界にデビューした当時、「しまった! 自分がこんなに平凡に映る世界に来てしまったとは!!」と焦りを感じたこともあるそう。そんな中で、自身のルーツとも通じるアルゼンチン発のファッションブランド「トラマンド」に出合う。「自分を色濃く見せたいと思った時、トラマンドの個性的でカラフルなアイテムに惹かれて。個が強いアルゼンチンの風景や人々を映し出しているようでもあり、黒い服にも意外と合うんですよ」

「服を手に取った時、心が躍るかどうかっていうのは、大切なポイントだと思います」と語るシシド。自身のスタイルを確立するまでには迷いも生じたが、「私は歌詞を書いたり、表現するという仕事を通して言語化するチャンスがあったので、自分の芯がだんだん見えてきた。それはありがたいことだな、と思います。みなさんも自分の好きなこと、考えを言葉にするだけでも、見えてくるものはあるはず。『こういう自分になりたい』と誰かに話すのは良いことだと思います」とアドバイス。
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続いてのパートでは「現在のファッション」をテーマに、いまの自分を象徴するふたつの要素について話してくれた。ひとつは、祖母と母から譲り受けたアクセサリー。「決して値段が高いものではないと思うんですが、自分のスタイルに合っている特別なアイテム。私もいつか次の誰かに受け継ぎたいですね」
もうひとつは自身で展開するブランド、ラズルのアクセサリーだ。折れたドラムスティックや割れたシンバルをアップサイクルし、売上は全額寄付。「ものを大事にするというか、もったいない病が著しくて(笑)。音を奏でて楽しんだものを、今度は音を身につけるような感じで再び楽しんでいただけたらいいなと」。当日は会場に展示ブースも設け、来場者が実際に手に取ったり購入することもできた。

折れたドラムスティックをランダムに切り出し、職人がひとつずつ漆を塗って仕上げたキーチャーム。

アクリルとドラムスティックを融合させたアクセサリーも人気。

素材となるシンバルやドラムスティックも展示。
トークは最後のテーマ「未来のファッション」へ。モデルや俳優の仕事でさまざまな衣装にチャレンジする機会もあるシシドに、「これから挑戦したいスタイルは?」と質問を投げかけると、「夏服の制服化です」というユニークな回答が。「冬は重ね着するのが大好きなんですが、夏のファッションがよくわからなくて。特に最近は室内の冷房が効きすぎているから調節が難しかったり......。それで、夏は制服のように同じものを3着ずつ買って、毎日同じ格好でいようかなと思います」と話すシシドに、「それ、企画化してみたらおもしろそう。『夏の制服、私の場合』っていうタイトルで、いろんなスタイリストさんにも考えてもらって。そうしたら、シシドさんも登場してもらえますか?」と五十嵐が応じ、ステージ上はさながら編集会議の様相で盛り上がる。

「こうしてファッションに特化して話す機会はあまりなかったので、あらためて発見があり、いい時間でした。今後はこれまで以上にファッションを楽しめたらいいなと思います」と、トークイベントを締めくくったシシド。来場者からも「ファッションの話を通じてカフカさんの考えに触れられ、うれしかった」「自分に素直に、好きと思えるものを選択したい」と、シシドのファッションを通じて刺激を受ける体験となったようだ。
photography: Makoto Takeuchi styling: Chie Gondo(Kavka Shishido) Hair&Makeup: Sumire Ono(Kavka Shishido)






