70周年を迎えるヘルノの歴史を辿るエキシビション。

Fashion 2018.06.22

ヘルノのブランド誕生70周年かつ、日本での事業展開50周年を記念して、イタリアのフィレンツェにあるレオポルダ駅で3日間限定のインスタレーション「L.I.B.R.A.R.Y.」が開催された。

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”Let Imagination Break Rules And Reveal Yourself(イマジネーションをもって常識を破り、本当の自分を曝け出せ)”を意味する本展示では、ヘルノの本拠地であるイタリア・レーザの工房で保管していた、1900年代後期からのアーカイブを用いてヘルノのこれまでの軌跡を表現。ファッション専門学校ポリモーダと、大阪文化服装学院の学生たちが解釈する「ヘルノ」を、デザイン事務所のスタジオ アズーロが作品に落とし込んだ。ヘルノの歴史が順を追って明らかにされる構成だ。

水の世界へと連れ出す「ウォーター・エコーズ」

レオポルダ駅に入って最初に目に入るのは、”水”に着想を得たインスタレーション「ウォーター・エコーズ」。雫のアニメーションが映し出された8枚のスクリーンに囲まれるように、中央には天井からぶら下った逆さまのシルク製パラシュートと、その直下にコンテナが配置されている。

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パラシュートの先からは雫がランダムに滴り、コンテナに落ちる度に水が波紋する音が鳴り響く。実際には10m四方の空間だが、音の広がりに耳を傾けると、より広大な場所に立っているかのような感覚を覚える。鑑賞者は、コンテナに落ちてゆく雫を手で遮ることが許されており、このような人の動きに応じて変化するスクリーンの反応にも注目が集まった。

レインコートから始まるヘルノの歴史

駅構内のアーチには、主力の人気を誇るレインコートやカシミアのコートを展示。1950年代以降になるとクチュールやファーのディテールが加わり、現在のヘルノが誇る美しいテーラリングへと結び付いていく過程を目にすることができる。
壁にはシチリアのサンターガタ・ディ・ミリテッロと、本拠地レーザの風景がプロジェクションマッピングで映し出され、ブランドの基盤はイタリアに在ることを改めて強調する。

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50年間の歴史をともに歩んだ日本へのオマージュ

次のセクションは、ライニングにシルクスカーフ地をあしらったコートをテーマに置き、1968年より密な関係を築き上げてきた日本に捧ぐ空間に。
イタリアまでの長時間の飛行に耐える人々や、東京で開催したファッションショーの様子、東京にオープンした初めてのブティックや、日本にヘルノを広めた存在である奥田家との2代にわたるファミリービジネスの軌跡をとらえた写真で飾られている。

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ヘルノの社長兼CEOを務めるクラウディオ・マレンツィ。

エコ・サスティナブルなヘルノの取り組み

最後に、「グリーン」と「水」をコンセプトに掲げるインスタレーションでは、環境保護を支持するヘルノ独自の取り組みを発表。最新鋭の機械への投資や、実際にテクノロジーを駆使して作り出した究極のスポーツウエア「ラミナーバイク」コレクションを展示した。エコ・サスティナブルであり続けるための研究を惜しまないブランドの強固な意志が伺える。

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70年間にわたって世界中の人々に愛される理由が、フィレンツェのレオポルダ駅に明示された3日間。期間中、実際に会場へ訪れたフィガロジャポン編集長より、本インスタレーションに向けたコメントを記載する。

ヘルノといえばダウン。ゴアテックス素材などダウンじゃないコートを出すようになったのは近年なのかと思っていたら実は逆で、そもそもはレインコートからスタートしたのだという。そのことがよくわかるエキシビションでした。
トレンチやウールのドレスライクなコートはこれがヘルノ?という新鮮さ、そして美しさ。古きよき時代のクチュールのように、顧客がテーブルについて見るショーのビデオも残っていたりして。
一方で、最新コレクションや若い職人さんたちが縫製する様子、ダウンとネオプレン素材を圧縮する最新機器など、新しいヘルノも見せてもらって大充実。ピッティ期間中だけでなく1カ月くらい展示して一般の人にも見せるべき、もったいない! と素直に思ったエキシビションでした。

 

●問い合わせ先:
ヘルノ・ジャパン
tel:03-6427-3424
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