things to do 2019 マルジェラにヴィヴィアン、モードな映画が目白押し。

Fashion 2019.01.21

2019年はファッションのドキュメンタリー映画が目白押し。これを機に、大好きなモードをもっと知りたい!

マーク ジェイコブスやシャネルの映画を皮切りにしてここ10年、ファッションのドキュメンタリーや伝記映画が急増している。
近年ではディオール、サンローランやドリス ヴァン ノッテンが記憶に新しい。そして今春は、90年代にパリコレで異彩を放っていた個性派デザイナーたちのドキュメンタリー映画が3作続く。

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マルタン・マルジェラとアレキサンダー・マックイーンといえば、当時を代表するスターデザイナー。パリコレとロンドンコレクションの二大巨頭だった両者のドキュメンタリー映画となれば、これは見逃せない。
マルタン本人がブランドを興した時のエピソードやアトリエの雰囲気、2009年以降忽然と業界から姿を消したことによる彼の謎めいた存在感。あるいは労働者階級、イーストエンド出身のアレキサンダー・マックイーンに秘められた生育歴とダークな美意識の関連性。90年代半ばといえば、老舗メゾンに若手デザイナーが抜擢され始めた頃。メゾンとデザイナーの契約報道はいまでは日常茶飯事だが、当時はグローバルブランドビジネスの過渡期。かつクリエイティブなモードが熱気を帯びた時代だったから、エルメス×マルジェラ、ジバンシィ×マックイーンに始まる契約劇は、新聞にも大きく報道された。

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いっぽう、92年にロンドンからパリに発表の場を移し、ビジネス規模を拡大させたヴィヴィアン・ウエストウッド。こちらは昨年公開されたドリス・ヴァン・ノッテン同様、ラグジュアリーメゾンと契約を結ばず独立を保つメゾンの舞台裏。両者の個性はまさに静と動の対極だが、華やかなショーの裏にある、ビジネスを成長維持させていくための努力と苦悩には共通項がある。またドリスにとってのガーデニング、ヴィヴィアンの環境運動のように、他分野に精力を傾けながらファッションビジネスへの情熱を保ち続ける姿勢も似ている。

インタビューでも語られない生育歴や思想背景を掘り下げることができるのは、映画ならでは。いずれも関係者を丁寧に取材し、資料を繋いで考察を深める記録映画だからこそ、デザイナーの人間性を知る貴重な体験を可能にするのだ。つくり手を人間として深く知ることで、私たちは服の背後に拡がっていた美意識の海に浸り、エキサイティングなモードの世界を俯瞰する地図を知ることができる。

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『イヴ・サンローラン』
監督/ジャレル・レスペール
2014年、フランス映画 106分
 DVD¥5,076
発売・販売:KADOKAWA

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『ドリス・ヴァン・ノッテンファブリックと花を愛する男』
監督/ライナー・ホルツェマー
2016 年、ドイツ・ベルギー映画 93分
DVD ¥4,104
発売:ニューセレクト
販売:アルバトロス

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『We Margiela マルジェラと私たち』

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マルタン・マルジェラ本人は登場せず、数多くの証言により構成。ブランド黎明期にはじまりファッション界から姿を消すまでを追い、古着や古い建物に美を見いだしたり地下鉄でゲリラ的にショーを行うなど、マルタンの意表をついたアーティスティックな発想を辿る。“タビ”ブーツに象徴される独特な美意識は「ベルギー人らしいシュールリアリスティックな感性」という分析も。

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『We Margiela マルジェラと私たち』
監督/メンナ・ラウラ・メイール
2017年、オランダ映画 103分
配給/エスパース・サロウ
2月8日より、Bunkamuraル・シネマほか全国にて公開
http://wemargiela.espace-sarou.com/

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『ヴィヴィアン・ウエストウッド 最強のエレガンス』

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77歳を迎えた現役デザイナー兼経営者の力強いドキュメンタリー。ロンドンのパンクファッション生みの親の顔から、近年の地球環境を守る活動家としての側面まで多彩な顔を知ることができる。90年代にパリコレに進出、ビジネスを拡大した頃はたったふたりで服を縫っていた逸話や、ショーの直前にダメ出しをする裏側も赤裸々に描かれる。

『ヴィヴィアン・ウエストウッド 最強のエレガンス』
監督/ローナ・タッカー
2018年、イギリス映画 84分
配給/KADOKAWA 
角川シネマ有楽町ほか全国にて公開中
http://westwood-movie.jp/

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『McQueen』(原題)

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1996年ロンドンコレクションに初参加、同年ジバンシィに抜擢され、一躍時の人に。グローバルビジネスの最前線で闘う激しいプレッシャーにより、2010年に自死を選んだマックイーンの壮絶で激しい伝記映画。遺族の協力により、幼少期の体験から滲み出たダークサイドも果敢に描き、肖像画のような深みのあるポートレートを成立させている。

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『McQueen』(原題)
監督/イアン・ボノート、ピーター・エデッドギー
2018年、イギリス映画 111分
配給/キノフィルムズ
4月より、TOHOシネマズ日比谷ほか全国にて公開予定
 
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『フィガロジャポン』2019年3月号
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※『フィガロジャポン』3月号より抜粋

texte:NAKAKO HAYASHI

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