LEINWÄNDE ふたつの都市をキャンバスに、世界を描く東京ブランド。

Fashion 2019.09.09

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ドイツ語で”キャンバス”を意味する「ラインヴァンド(LEINWÄNDE)」は、ニュートラルなデザインと絶大なインパクトで瞬く間に東京の女性を虜にした。だが非公開で活動する注目の女性デザイナーの素顔は、一向に見えてこない。彼女は、一体何者なのか。謎めいた素顔に迫るべく、その半生を紐解いてみた。

すべては、ここから始まった。

幾重にも折り重なるミステリアスなベールを1枚ずつ取り除いていくと、このデザイナーの繊細で美しいクリエイティビティの背景が徐々に垣間見えてくる。人気ブランドを率いる彼女の原点は、どうやらたくさんの伝統芸能に触れた幼少期にあるようだ。

190909-leinwande09.jpg日本家屋で行われた2019年秋冬コレクションの撮影。

和の文化を大切にする家庭で育った彼女は、母の影響、そして「和菓子が好きだった」という理由で、幼い頃から茶道教室へ通った。そこでは生け花や詩吟も嗜みながらお茶をたて、先生は毎週掛け軸や茶器、そして着物も替えさせることで、四季が織りなす日本文化を楽しく伝えてくれたそうだ。

まるでメディテーションのような静粛な時間の中、彼女は幼いながらもごく自然にひとつの空間をトータルコーディネートする術を覚えていった。だからこそ彼女のものづくりは、日本特有の素朴で奥ゆかしい季節の植物や色、そしてそこに宿る深い意味合いを愛でる習慣が原点になっているのだろう。

ファッションデザイナーへの夢。

彼女は、「小さい頃、ずっと女の子とドレスを描いていた」と話す。一時はその影響から絵を習ってみたものの、やはり自分は服を描きたいのだと確信した。やがて編みものや裁縫好きだった母からミシンの使い方を習った彼女は、ごく自然に服を制作し始めたのだった。

190909-leinwande08.jpgデザイナーのアトリエの様子。

人生において最大の事件は、小学校高学年の頃に起こった。ある日偶然目にしたテレビ番組「ファッション通信」に、まるで稲妻に打たれたような衝撃を受け、その瞬間から彼女はランウェイに釘付けになってしまったのだ。「モデルのフェラガモの靴が欲しくて、母にねだったこともある」と彼女は笑う。

やがて憧れは熱意へと変わり、わずか小学6年生で「デザイナーになりたい」と心に決めた。そして服飾大学在学中、当時カリスマ的な存在感を放っていたブランドで販売員として現場に立ちつつ売れ筋商品を分析したところ、その鋭い即戦力が買われ、いつしか彼女はヒット商品を打ち出すデザイナーとして、約10年活躍し続けることとなったのだ。

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ロンドンでの再挑戦、そして運命的な出会い。

東京でデザイナーとしての地位を確立した頃、彼女には新たな志が生まれていた。それは一旦キャリアをゼロにして、畑違いのジャンルで自分を試すこと。

「まだクリエイティブな自分が存在するか確かめたかった」と言う彼女が選択したのは、ファインアートの世界。過去に絵に没頭した経験があるからこそ、今度はアートを学ぼうと心に決めたのだ。そしてヨーロッパのパッケージデザインやデザインプロセス、教育に感銘を受けた彼女は、ロンドンの美大へ未知なる可能性を探求すべく旅に出た。

190909-leinwande07.jpgロンドンのデザイナーの自宅には、自身の絵が飾られている。

190909-leinwande06.jpg過去のアイディアをまとめたスケッチブック 、アトリエにて。

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ただ、大学の授業は驚きの連続だった。「あなたはデッサンが上手だけど、おもしろくない」。苦労したのは「自分のアイデンティティをどこまで表現できるか」だった。日本では”きちんと描く”ことを要求されるが、イギリスではそれが通用しない。

「あなたはファッションの人だから、作品に生地や紙を使ってコラージュにしたら?」。教授のアドバイスを基に、「自分が好きなものは何だろう?」を自問自答する日々。東京では常にトレンド重視の量産型デザインが求められたが、逆にイギリスでは個性を真っ先に問われた。

そして試行錯誤を続けながら、彼女が再発見した個性とは、「結局カントリー娘(笑)」だった。「自然やモチーフ、色が好き。ほっこりするのはクールじゃないと思って出さなかった”野暮ったい”個性が、実は自分の強みだった」

190909-leinwande05.jpg自然のモチーフから得た着想を陶芸に落とし込む。

東京にいた時にはわからなかった、日本の簡潔な輝きが身に染みた。その繊細さを出すことが正解だと気が付いたのは、ロンドンでの学びの集大成とも言えるだろう。

また、この街は小さいからこそ業界内の出会いが豊富にある。クリエイティブ魂は意地っ張りでプライドこそ高いが、世界を股にかける大御所の仕事が間近で見れるのはロンドンならでは。そして彼らと話してみると、みんな意外と気さくだったりする。

190909-leinwande04.jpg上:ロンドン・クラフト・ウィーク中の展示『Peckham Craft show』。 下:ロンドンの友人とよく食事をするレストランWestern Laundryの店内。

さまざまな出会いの中でも、同デザイナーにとって最大の財産は、ロンドンファッション業界の第一線で切磋琢磨する日本人クリエイターたちとの出会いだろう。「ファッション業界人なのに、みんなニュートラルで泥臭い。でも表現することには貪欲」。仲間たちは、真っ先に彼女を受け入れた。互いに刺激し合いながらも笑い合える彼らとは、いまなお仕事上でも深い付き合いが続いている。

そんな肩の力が抜けた仲間に、東京では打ち明けられなかったコンプレックスをさらけ出すと、答えは一律して同じだった。「それだけのキャリアがあれば、もっと自信を持てばいい。これからはやりたいことを思い切りやりな」

ロンドンで、生まれて初めて褒められた。自信は、一夜にして人を変える魔力がある。誰も知らない街で、彼女はスポンジのごとく素直にすべてを吸収したからこそ、ここで新たな自分に出会えたのかもしれない。

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東京生まれ、ロンドン育ちのブランド「ラインヴァンド」。

帰国後、2017年にラインヴァンドのデザイナーに就任した彼女は、かつてロンドンの美大で習得したコラージュのような強いコントラストを放つディテールを武器に、個性あふれるコレクションを発表。デビュー以来、オンラインでは完売が続いている。

現在は活動の場を再びロンドンに移し、東京&ロンドンの「ハーフブランド」としてより進化した制作活動を続ける日々。そのかたわら、ガーデニングやヨガ、そしてクラフト教室へ参加することでマインドを自由にし、アイデアソースをまとめている。

190909-leinwande03.jpg左:草木や花びらから染色の技術を学ぶ。 右:庭で育てたハーブを料理やデザインソースに用いることも。

「好きなものが変わらないから、スタイルはこの先も一緒」。ただ、ゆったり時間が流れるロンドンではものごとを丁寧に考えることができるそうで、「今後はメゾンで通用する作品も作りたい」と意気込む。イギリスでは季節を自然そのものから感じ、感謝する余裕ができる。それはかつて習った茶道も同様で、彼女は原点に戻ってものづくりができるのだ。

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Saiko Otakeとのコラボレーション。

2019年秋冬は、セントラル・セント・マーチンズ出身のアーティスト、Saiko Otakeを迎えたコラボレートコレクションを発表する。色鮮やかな写真やモノトーンのドローイングのコラージュで独特な世界観を表現するOtakeは、東京、台中、シンガポール、ロンドンなどで個展を開く売れっ子だ。彼女との出会いもまた、ロンドンだった。

190909-leinwande02.jpgSaiko Otakeのドローイング。モノクロだがどこかサイケデリックなムードを感じる。©︎SAIKO OTAKE

Otakeのドローイングにはふくよかな女性像が目立つが、それは彼女の”フェチ”とも共通する。「女性の豊かな曲線美や、まあるい柔らかい感じが好き」

今回は、彼女がデザインの過程で重視するコンセプトやディテール、そして数々のキーワードを紙に書き、Otakeはそれをベースにラインヴァンドのアーカイブを使用した作品を作った。「Saikoちゃんだったら、この言葉を彼女なりの解釈で、上手にひとつの形にまとめてくれるような気がした」。両者ともに大切にする”コラージュ”が、ふたりを引き合わせたのかもしれない。

190909-leinwande01.jpgラインヴァンドのアーカイブに着想を得て描かれたドローイング。©︎SAIKO OTAKE

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9月11日より、期間限定ショップがオープン。

ラインヴァンドは今秋、伊勢丹新宿店と阪急うめだ本店にて、待望のポップアップを開催する。店内にはSaiko Otakeとのコラボレートコレクションの展示をはじめ、手編みのパッチワークニットや、いまではすっかりブランドのアイコンとなった、キャンバスベルトを使用した人気アイテムなどが並ぶ予定だ。

190909-leinwande11.jpg日本文化を背景に持つ、デザイナーらしいシチュエーションでのルック撮影。

コントラストのあるフェミニンなシルエットに、メンズライクな素材をミックスしたアイテムは、リアルクローズでありながら高いデザイン性が光るのが特徴だ。また、毎シーズン創意あふれる広告が話題になるが、19年秋冬は彼女の生まれ故郷に近い平屋の古民家で撮影され、ロンドンで再発見した「日本の古きよきカントリー(田舎)」を最新コレクションとともに切り取っている。

「一時帰国中、最後の撮影だったこともあり、日本の温かい背景にこだわった」。彼女の”個性”が細部まで反映されているビジュアルにも注目だ。

ところで、なぜ彼女は非公開で活動を続けるのだろう。それは「デザイナーの顔が見えるとイメージが崩れるから」。

たとえばステラ マッカートニーの服は、ステラのような人が似合う。人は無意識に作り手と自分を照らし合わせ、共通点やクリエイターへの憧れから購入を決めることがある。

だが、彼女はその境界線を取り除き、ボーダーレスな存在になりたいのだ。ファッションに正解などなく、ただ好きだと思えば手に取ってほしい。「女の子が喜んで着てくれるとうれしい。どんな体形でも似合う服を作りたい」

190909-leinwande10.jpg

日本のファッションは丁寧で、常に完璧で隙がないが、ロンドンでは自分のムードを把握し、トレンドなど関係なしに好き嫌いがはっきりしている。彼女はその中間のリアルクローズとして、女性のクローゼットに花を咲かせたいと切に願う。ロンドンから発信する東京ブランドのワールドワイドな活躍が目にできるのは、そう遠くない未来かもしれない。

190904-leainwande10.jpgSaiko Otakeが解釈したラインヴァンドのエスプリを表現した、ポップアップのために作られたコラージュポスター。©SAIKO OTAKE

ラインヴァンド 2019年秋冬コレクション ポップアップ
期間:2019年9月11日(水)~17日(火)
伊勢丹新宿店
東京都新宿区新宿3-14-1
tel:03-3352-1111(大代表)
営)10時~20時
不定休

2019年9月25日(水)~10月1日(火)
阪急うめだ本店3階 D-LAB内
大阪府大阪市北区角田町8-7
tel:06-6361-1381
営)10時~20時(月~木、日) 10時~21時(金、土)
無休
●問い合わせ先:
ラインヴァンド
tel:03-6809-0080
customer@leinwande.com
オンラインストア:https://leinwande.com
インスタグラム:@leinwande_official

texte : KYOKO YANO

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