屋上、森......メゾンがショー会場に選んだ場所とは？

Fashion 2020.10.13

新型コロナウイルスの影響でファッション界がショーの形式の見直しに取り組むなか、意外な場所でショーを行うブランドが増えている。

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去る7月、ジャクムスはパリを離れ、麦畑でコレクションを発表した。photo : Imaxtree

ニューヨークではデザイナーの自邸の庭、ロンドンは近郊の森、ミラノでは水を抜いたプール、パリはモンパルナスタワーの屋上……斬新な会場が目白押しの今シーズンのファッションウィーク。どの会場も負けず劣らずユニークだ。コロナ禍の影響で、招待客を招くにしろ、無観客にしろ、リアルなショーを行うブランドは激減したが、厳しい規制の中でショーの実施にこだわったメゾンは、会場選びでも独創性を競い合った。

森の奥

各メゾンが来年春夏のコレクションを発表する秋のファッションウィーク。コロナ以前とはがらりと趣が変わった。衛生規制が強化されるなか、どのメゾンも感染対策の順守や招待客の人数制限など、慎重な対応策を取っている。またショーを屋外で開催するメゾンも多かった。

一番手のニューヨークでは、ジェイソンウーがトライベッカ地区にあるスプリング・スタジオの屋上にジャングルを再現し、NYファッションウィークの幕開けを飾った。クリスチャンシリアノは、ニューヨークに近いコネチカット州にあるデザイナー自邸の花の咲き誇る庭が会場に。ロンドンでやはり牧歌的な場所を選んだのは、森の小径でショーを行ったバーバリーとアーデム。一方、ミラノで最も独創的な屋外会場といえば、ショーのために水を抜いたというリドの巨大プールをランウェイに仕立てたスンネイだろう。

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ビュット・ショーモン公園で

パリのファッションウィークは9月28日月曜日にスタートした。リアルなショーを開催した20ブランドの中には、屋外で開催したブランドもある。モンパルナスタワーの屋上という、パリ・ファッションウィーク史上最も標高の高い場所でコレクションを発表したのはコペルニ。コシェはビュット・ショーモン公園に会場を設置。ブランドによると、ショーは「感染症対策を遵守しつつ、一般に開かれたショー」となった。アミもシュリー橋に近いアンリ4世河岸を会場に、屋外ショーを行った。

屋内を会場に選んだメゾンもある。ルイ・ヴィトンは、ニコラ・ジェスキエールによるショーの舞台としておなじみのルーヴル美術館のクール・カレを去って、今回はラ・サマリテーヌに会場を移した。LVMHグループが所有する老舗百貨店は、2005年以来、全面的な改修工事のために閉店中。2020年4月に予定されていた再オープンはコロナ禍で延期を余儀なくされたものの、同グループは2021年初頭の開店を見込んでいる。ショーの招待客にとっては、新しく生まれ変わったサマリテーヌを誰よりも早く目撃するまたとない機会となった。ディオールはチュイルリー公園に会場を設置した。

シャンゼリゼ通りのマクドナルド

ファッションウィークで、通常の枠に収まらない場所でコレクションを発表するブランドはこれまでにもあった。なかには一風変わった会場を選ぶことで有名なデザイナーもいる。ヴェトモンを離れ、現在はバレンシアガのアーティスティックディレクターを務めるデムナ・ヴァザリアは、ヴェトモンのデザイナー時代、ベルヴィルの大きな中華料理店プレジデントや、マレ地区のゲイクラブでショーを開催。昨年もシャンゼリゼのマクドナルドでショーを行っている。

独創的という点では、シモン・ポルト・ジャクムスも負けていない。これまでに2度、田園を舞台にショーを行っている。2019年6月にはブランド創設10周年を記念するショーをラベンダー畑で行い、今年7月には麦畑でショーを開催した。出身地である南仏へのオマージュとして、マルセイユのカランクのビーチや、欧州・地中海文明博物館の屋上が会場になったこともある。

海外で発表されるクルーズコレクションでも、夢のような場所がショー会場に選ばれてきた。ファッションウィークの公式日程とは別に、毎年世界各地で行われてきたクルーズのショーでは、会場もコレクションと同じくらい重要な要素。シャネル、ディオール、ルイヴィトンは、これまでにそれぞれキューバ、マラケシュ、リオデジャネイロでショーを開催している。

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