聴いたことのないバンドTシャツを着るのはあり?なし?

Fashion 2021.09.02

ロックバンドのイラストやアルバムのロゴが描かれたTシャツ、その中でもビンテージものの人気が急上昇! 当の音楽を全く知らない場合もあるのに、プレタポルテブランドの広告に登場するほどの現象となっている。

 

 

ジョイ・ディヴィジョンの歌なんて聞いたことないのに『アンノウン・プレジャーズ』のTシャツを着てもいい? 少なくとも音楽愛好者にとっては、答えは明確。ノーだ。彼らが言うには、バンドのTシャツを身につけるなら彼らの曲を最低10曲知っているべき。Kポップ、ジャズ、フォークミュージックのファンだと13曲に増える。

これはネット通販会社Rush Order Teesが行ったアンケートの結果だ。このアンケートはミュージシャンのTシャツを持っている1,017人を対象に行われ、彼らの習慣や消費行動に関して尋ねたものだ。音楽的忠誠心を服で表現する際、どのような暗黙のルールがあるのか探ることがこの調査の目的だった。

アンケートに答えた半分近く(43.3%)の人は、特定のミュージシャンのコンサートに行く前にそのグループのTシャツを買い、それを着ていくことが大事だと答えた。一方20.6%の人はバンドのTシャツは着ていかないと答えた。なぜなら新参者しかそんなことをしないから。

40.6%の人はコピーではなく純正品を買うのが重要だと答えた。純正品の場合、売り上げの一部がアーティストに還元されるから、忠実なファンにとってはなおざりにできない。

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人気はAC/DC、エアロスミス、クイーン

もう一つ明らかになったのは、ヘビーメタルのファンが最も多くTシャツをコレクションしていること(平均17枚)。AC/DC、エアロスミス、クイーン、ピンクフロイド、グリーン・デイなどのグッズの人気が高かった。それに比べてポップスのスターたちの結果は劣り、テイラー・スウィフトにおいては最下位の1人だった。

ポップスターの多くはまだ存命であることと関係があるのだろうか。実際、アンケートに応じた半分の人はアーティストが亡くなった後にTシャツを買ったと答えている。

また、Tシャツがロック愛好者の間で社会的な意味を持つことも調査で分かった。コンサートは一つの場所にミュージシャンと聴衆が集い、波長を合わせながら一体感を味わう場なので、帰属意識がとても高くなる。Tシャツはコンサートで得た感動や思い出をよみがえらせ、音楽によって結ばれたコミュニティの証でもある。

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メタリカを着たキム・カーダシアン、それホント?

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メタリカのロゴがプリントされたTシャツを着たキム・カーダシアン。(ロサンゼルス、2015年5月28日)photo:Getty Images

2015年にメタリカのTシャツを着て登場したリアリティショーのスターであるキム・カーダシアン。彼女は暗黙の掟を承知していたのだろうか?

少なくともヘビーメタルの愛好者は納得しなかった。キムはメタリカのファンじゃない、だからこの Tシャツを着る権利はない、と強烈な非難を浴びせた。横柄な行為だという意見もあった。例えばオーストラリアのファッション・音楽ジャーナリストのジェーン・ロッカは2016年にシドニー・モーニング・ヘラルド誌のコラムでこのように書いた。「このようなことをやるインスタのスターたちは慇懃(いんぎん)無礼。これらのTシャツはロックシーンが好きな人が着るものであって、ファッションとして着るものではない」と。

だから少なくとも歌は知っておくべき。メタリカが歌うように、「ナッシング・エルス・マターズ(それ以外はどうでもいい)」なのだから。

text:Narjiss ESSAFI (madame.lefigaro.fr)

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