ヴェネツィアの魅惑が瞬くシャネルの新作ハイジュエリー。

Jewelry 2021.02.05

東西の文化の交差が生み出す独特の美しさとエネルギーにあふれるヴェネツィア。恋人を亡くしたガブリエル・シャネルの心の痛みを癒やした水の都だ。この地で彼女はバロック芸術に触れ、ビザンツ文化に包まれ、セルゲイ・ディアギレフに出会い、海辺の時間にリラックスし……ヴェネツィアは彼女が愛する街のひとつに数えられる。

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新作発表の会場にはサン・マルコ広場で得る感動が再現された。photo:Mariko Omura

彼女のこの街での発見を現代的に解釈したハイジュエリーコレクション「エスカル ア ヴニーズ」が1月末にパリで発表された。水面の揺れが宝石の輝きを倍増させる幻想的な展示会場に並んだのは、4つのテーマで構成されたジュエリー70点。シャネル ファイン ジュエリー クリエイション スタジオのディレクターであるパトリス・ルゲローがヴェネツィアというプリズムを通して映し出したメゾンのアイコンには、新しい美が宿っている。彼女が初めて訪問してから、約1世紀が経過。彼女の心を捉えた魔力をいまも秘めた街へオマージュを捧げる、新作コレクションの誕生だ。クリエイティビティあふれる4つのテーマのハイジュエリーで、ヴァネツィアを旅してみよう。

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ジュエリーの輝きが揺らめく水面に映り込むような幻想を演出した展示会場。photo:Mariko Omura

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Spirito di Venezia  

ヴェネツィアを象徴する獅子。サンマルコ大聖堂の前に立つ円柱の頂上に君臨する翼を持つライオン像は、街を守護する存在である。ガブリエル・シャネルは8月19日生まれの獅子座の女だ。ほかの海外の街では感じなかった結びつきを、この地に見いだしたのだろうか。

4つのテーマのひとつ、「Spirito di Venezia(ヴェネツィアの精神の意)」はライオンの魅力によってヴェネツィアのスピリットを表現するジュエリーだ。ホワイトゴールドとダイヤモンドが織りなす「Lion Secret(リオン スクレ)」は、獅子の横顔が浅浮き彫りされたような立体的なジュエリーのセット。カメリアの花、葉がディテールとして輝きを添えるデザインである。

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カメリアの左右に2頭の獅子。ホワイトゴールドとダイヤモンドが描くリオン スクレのネックレス。獅子の威光にふさわしい、15.55カラットのペアカットのダイヤモンドが燦然と輝く。

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左:リオン スクレより。獅子の翼がカメリアの花に姿を変えたダイヤモンドとホワイトゴールドのイヤリング。 右:2頭の獅子の横顔が30.92カラットのクッションカットのブルーサファイアをしっかりと捉えたリング。

それに対して「Lion Emblématique(リオン アンブレマティック)」のセットは、ライオンの顔を正面から捉えたデザイン。イエローサファイア、イエローダイヤモンドが黄金の毛並を輝かせ、その顔の周囲を囲むダイヤモンドのサークルが百獣の王の力強さをより強調している。

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左:リオン アンブレマティックのリング。イエローゴールド、プラチナ、ダイヤモンド、イエローサファイア。 右:エスカル ア ヴニーズに新しく登場した3つの輪を繋げたチェーンが揺れるイヤリング。

ビザンティン建築の聖マルコ大聖堂のファサードを見上げると目に入るのは、ゴールドの有翼の獅子を際立たせる、星がちりばめられたブルーの背景。これにインスパイアされたのが、「Constellation Astrale(コンステラシオン アストラル)」である。ラピスラズリのモザイクの夜空に、イエローダイヤモンドとイエローサファイアの星が煌めくジュエリーは見る者に強い印象を残す。

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上:コンステラシオン アストラルはブルーのラピスラズリがハードストーンとは思えぬほど、しなやかなジュエリーのセット。ホワイトゴールド、イエローゴールド、ダイヤモンド、イエローサファイア、ラピスラズリのネックレスとリング。 下左:同素材のイヤリング。 下右:同素材のブレスレット。

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Isole della Laguna

テーマ「Isole della Laguna(ラグーン島の意)」はラグーン(潟)に浮かぶ島々にインスパイアされたテーマである。メティエダールへのオマージュとして、ガブリエル・シャネルの愛したカメリアの花に宝石が永遠の命を授ける素晴らしいジュエリー。3つのセットの異なる表情はどれも魅力にあふれている。

広場のある本島から約1時間かけて北西に進むと到着できるトルチェッロ島。この島には創立を7世紀に遡るサンタ・マリア・アッスンタ聖堂があり、聖母を包むゴールドの壁、「最後の審判」や床の古いモザイクで知られている。そうしたモザイク細工を宝石で表現したのが「Camélia Byzantin(カメリア ビザンタン)」のセット。ネックレスはイエローゴールドに囲まれた小さなカットのイエローダイヤモンドがイレギュラーに並び、モザイクのようにプラストロンのベースを作り上げている。そして、その中央にカメリアが色鮮やかに開花する逸品だ。カメリアの花弁を作り上げるのはカーネリアンとファイアオパールのモザイク。完璧なカラーハーモニーを求めて花芯に用いられたのは、色がソフトな10.07カラットのラディアントカットのイエローダイヤモンドである。

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宝石が繊細なモザイクを描くカメリア ビザンタンのネックレス。イエローゴールド、イエローダイヤモンド、ダイヤモンド、イエローサファイア、カーネリアン、オパール、ツァボライト、ネフライト、そしてオニキス。

色鮮やかなカメリア ビザンタンと対照的なのは、「Camélia Baroque(カメリア バロック)」のセットだ。ホワイトゴールド、ダイヤモンド、ブラックラッカーによるモノクロームのジュエリー。入り組んだ装飾性の高いデザインの力強さを強調するように、立体的なカメリアの花弁の輪郭を黒いラッカーが縁取っている。

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カメリアバロックのリング(左)と時計。ホワイトゴールド、ダイヤモンド、ブラックラッカー。

セットの3つ目は「Camélia Vénitien(カメリア ヴェニシアン)」。13世紀頃からガラスの製造所が集められ、世界で唯一鏡の製造法を隠し持っていた歴史をもつムラノ島。そのガラス技術がロッククリスタルのカメリアの花に施された。立体的なカメリアモチーフに魅力を添えるガーランドは、カンボン通りのマドモアゼルのアパルトマンに置かれたヴェネツィアン・スタイルの鏡の装飾を想起させる。

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カメリア ヴェニシアンより。上:ネックレス 下左:アシンメトリーイヤリング 下右:リング。すべてイエローゴールド、ダイヤモンド、ロッククリスタル

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Gran Canale

ヴェネツィアを特徴づけることのひとつは、ゴンドラやヴァポレットが往来する運河の光景だろう。テーマ「Gran Canale(大運河の意)」では、4つのセットで街を取り囲む水の世界のエレガンスを表現。

ゴンドラの漕ぎ手が被るカンカン帽のリボンにインスパイアされたセットは「Ruban Canotier(リュバン カノティエ)」。ダイヤモンドのカンカン帽の輪郭を黒のラッカーがとり、赤いラッカーのリボンが風にたなびくリングやペンダントはコレクションに陽気なタッチをプラスしている。

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リュバン カノティエのリング(左)とネックレス。ホワイトゴールド、ピンクゴールド、ダイヤモンド、レッド&ブラックラッカー。

「Volute Marine(ヴォリュート マリーヌ)」のセットは、ゴンドラを係留するポールの青と白の螺旋がインスピレーション源だ。ラピスラズリとダイヤモンドのゴージャスなポール。イヤリングではポールの下部が水の中に消えてゆくようなデザインで、水の輝きがダイヤモンドで表現されている。

青と白のカラーハーモニーは「Volute Vénitienne(ヴォリュート ヴェニシエンヌ)」も同様だが、こちらはパールが組み合わされているのが特徴だ。 

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ヴォリュート マリーヌより。イヤリング(左)、ブレスレットともに、ホワイトゴールド、イエローゴールド、ダイヤモンド、ラピスラズリ。

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ヴォリュート ヴェニシエンヌの3連ネックレスとリング。ホワイトゴールド、イエローゴールド、ダイヤモンド、ラピスラズリ、パール。 

セットの「Volute Croisière(ヴォリュート クロワジエール)」では宝石のバラエティが饗宴する。ゴンドラを係留するポールの赤と白が、ダイヤモンドとルビー、スピネルといった赤い石との組み合わせで螺旋を描く。

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左:ヴォリュート クロワジエールより。ルビーの赤とダイヤモンドの白が作り上げるストライプの上にエメラルドをあしらったリング。
右:運河の水面の揺れの中に立つ赤と白の2本の係留ポールが目に浮かぶようなネックレス。イエローゴールドと黒のオニキスがジュエリーにほどよいアクセントを与えている。

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La Sérénissime

ヴェネツィアの運河を船で移動する楽しみ。それは美しい建築群の眺めである。カ・ドーロ、カ・ダーリオといったパラッツォが、運河に面して壮麗さを競い合っているからだ。「La Sérénissime(ヴェネツィアの愛称“セレニッシマ”の意)」は、そうした邸宅のファサードをはじめ、教会の大理石の床などの優れた建築を讃えるテーマである。セットの「Éblouissante(エブルイサント)」は 白とピンクの柔らかな色調を基調にした幾何学的なデザイン。ダイヤモンドやピンクスピネルが大理石を組み立てたかのように規則的なリズムを刻む。

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エブルイサントより。バゲットダイヤモンドのジグザグがシャネルのキルティングを思わせるネックレス(右)。トランスフォームタイプで、左の写真のようにネックレスとイヤリングとしても着けられる。

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左:ピンクスピネルの繊細な色が美しいブレスレット。ピンクゴールド、プラチナ、ダイヤモンド、ピンクスピネル、パール。 右:建築物から装飾の一部を取り外して指を装うようなリング。ピンクゴールド、プラチナ、ダイヤモンド、ピンクスピネル。

●問い合わせ先:
シャネル カスタマーケア(シャネル)
0120−525−519(フリーダイヤル) 『ガブリエル・シャネル』展、ジュエリーをクローズアップ!
www.chanel.com/ja_JP/watches-jewelry

 

réalisation : MARIKO OMURA

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