纏うアート、ハイジュエリーの物語 ツイードをハイジュエリーへと仕立てたシャネルの物語。
Jewelry 2022.01.29
6つのフレンチメゾンが仕立てた、ドラマティックなマスターピース。話題作からとびきりの逸品を選び抜き、職人技やモチーフの秘密を解説。
Chanel
輝くツイードという、新たな挑戦。

「ツイード ドゥ シャネル」コレクションより、ネックレス「ツイード デテ」18KWG×YG×イエローダイヤモンド× ダイヤモンド)¥224,290,000(予定価格)/シャネル(シャネル カスタマーケア)
イミテーションのパールネックレスを幾重にも巻いたマドモアゼル シャネルの写真は、あまりにも有名。でも、彼女は本物のジェムストーンを見極める目を持ち、質の高いジュエリーをとても愛していたという。そんなマドモアゼルのエスプリを香らせながら、メゾンのデザインコードを巧みに織り込んだのが、現代のシャネルのハイジュエリーだ。
毎年さまざまにテーマを凝らして発表されるコレクションの中でも、特にジュエリーシーンを騒がせたのは「ツイード ドゥ シャネル」。誰もが知っているシャネルのツイードを輝くハイジュエリーにしたという、チャレンジングなものだったからだ。
このネックレス「ツイード デテ」は、カラットを超える最高級のイエローダイヤモンドをひと粒あしらった壮麗なデザイン。その下のディテールにも注目すると、手織りのツイードを思わせるパターンが、ゴールドとダイヤモンドで表現されている。縦糸と横糸で織られているかのように立体的な表現の細やかさには、目を見張る。ツイードのパターンはやがてほぐれていき、ロープのモチーフに変化していく。それはマドモアゼルが楽しんだ帆船でのクルージングを象徴するモチーフだ。
ダイヤモンドを留めた小さなパーツをいくつも繋ぎ、女性のデコルテに自然に沿うように仕立てるのは至難の業。美しいデザインを実現するには、職人たちの忍耐強い手作業が必要なのだ。
パーツを複雑に組んでツイードの風合いを表現。
ハイジュエリーの工房はヴァンドーム広場にある。
「フィガロジャポン」2022年1月号より抜粋
photography: Shinmei (Sept / objects) text: Keiko Homma