輝きのハイジュエリー。メゾンのレガシーを継承し、未来へと 15代目が総指揮をとる、歴史×コンテンポラリーのメレリオ。
Jewelry 2022.08.23
14代目のロール=イザベル・メレリオが社長兼アーティスティックディレクターとしてメゾンを担い、若きコーム・メレリオが15代目として総指揮をとる。これが1613年に創業し、フランスおよびヨーロッパの王侯貴族たちにこよなく愛されたフランス最古の宝石商とうたわれるメレリオの現在だ。
1868年頃にナポレオン3世皇妃ユージェニーがメレリオにオーダーした孔雀の羽根ブローチ。中央の楕円のフォルムに注目を。
彼らが7月に発表した新しいコレクションのひとつはリヴィエラ・コレクション。これは1515年にフランスに移住する前にメレリオ家が通過した土地のひとつであるリヴィエラの、戦後の洗練されたアール・ドゥ・ヴィーヴルにインスパイアされたコレクションだ。ダイヤモンド、エメラルドと組み合わせたイエローゴールドのフォルムは、卵型をしている。これはアンリ4世妃マリー・ドゥ・メディシスがつけていた34.98カラットのダイヤモンド“ボー・サンシー”のフォルムにオマージュを捧げるもの。イタリア移民のメレリオに1613年、フランス国内で商売を特別許可したのが彼女で、それはメレリオのお陰で彼女の息子で若きルイ13世の暗殺計画を未然に防ぐことができたからなのだ。なお、2005年にメゾンはこの卵型の楕円シェイプをメレリオ・カットとして特許を得ている。
メゾンのサヴォワールフェールを生かした2タイプのゴールドの楕円が絡み合うデザイン。まばゆい太陽を感じさせるすべすべのゴールドと、山を作り上げる素晴らしい自然とまたリヴィエラの山腹に道をつくった人間の仕事を想起させるような無数の細かい溝が彫られたゴールドである。
リヴィエラ・コレクション。その名にふさわしく、夏の南フランスのハイソな暮らしに似合いそうだ。
リヴィエラの海岸と海沿いの絶壁路を感じさせる2タイプのゴールドが特徴。ネックレスはダイヤモンドと、リングはエメラルドとの組み合わせだ。
同時に発表されたハイジュエリーは、宝石をめぐる物語。ロール=イザベルのクリエイティビティをかき立てたのは、メゾンで1820年、30年代に創られたカラフルでロマンティックなジュエリーが放つ歓喜、その美しさである。メゾンの歴史といまの時代のバイタリティが見事に組み合わさったユニークピースのネックレス4点。「19世紀前半にクリエイトされたにもかからわず、いまの時代にも似合うアリュールを持つ古いこれらのジュエリーに、オマージュを捧げたいと思ったのです」と語るロール=イザベルは、ゴールドの小さな花のレースを散らすことでメレリオが自然主義のジュエラーであることを改めてここで表現した。
クラシックでもありモダンでもあるハイジュエリーPierreriesのネックレス。カラークオーツとアメジスト(左上)、シトリン(右上)、クオーツ(左下)、カラークオーツ(右下)。
editing: Mariko Omura