輝きのハイジュエリー。メゾンのレガシーを継承し、未来へと ヴァン クリーフ&アーペル、910カラットの原石から生まれた25点のダイヤモンドジュエリー。
Jewelry 2022.08.25
ヴァン クリーフ&アーペルの25 ミステリーセット ジュエルズ コレクションをつけた女性たち。
上の写真は広告や雑誌でよく見かける集合写真……のようだけど、単なる集合写真ではない。女性たちが着けているのは、ヴァン クリーフ&アーペルの新しいハイジュエリーコレクション「レジェンド オブ ダイヤモンド」の第1章となる25 ミステリーセット ジュエルズ コレクション……といっても、単にコレクションの全25点すべてお見せしますというだけでない。この25点のジュエリーに使われているダイヤモンドは、910カラットのひとつのダイヤモンド原石からすべてカットされたものという驚きがこの写真には込められているのだ。
左: ダイヤモンドの原石「レソト レジェンド」。 右: ダイヤモンドを望みどおりに切り出すために、最初のカットはレーザー技術を用いず、原石に切り込みを入れて、劈開によりカットするという古い技法が用いられた。
25 ミステリーセット ジュエルズのコレクションは、2018年にアフリカの国レソトの鉱山で採掘された「レソト レジェンド」と呼ばれるダイヤモンドの原石にメゾンが出合ったことから始まった物語である。910カラット。それは鶏の卵くらいの大きさの原石で、最高級のDカラー、美しい結晶、さらに入手困難なタイプ2Aの化学組成という要素を兼ね備えていた。メゾンの宝石部門のディレクターは、「あまりの美しさに、そのままにしておきたいという気持ちになります」と、まだ人間の手が加わっていない状態のダイヤモンドを見た時の感動を語っている。
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この類い稀なホワイトダイヤモンドの原石から取り出したダイヤモンドを、ルビー、サファイア、エメラルドと組み合わせた25 ミステリーセット ジュエルズ コレクションには4年の歳月がかけられた。留め具の見えないミステリーセットだけで構成するコレクションはメゾンとしても初めてのことだという。1933年にヴァン クリーフ&アーペルが特許を取得し、メゾンの名前にしっかりと結びついているミステリーセットだけでなく、1937年に生まれたインディビジュアルミステリーセット、さらに1990年以降に考案された3つのミステリーセットを含め、ダイヤモンドの輝きを際立たせるために5つのセットがこのコレクションに用いられた。
ルビーをトラディショナル ミステリーセットの技法であしらったブレスレット「シュマン ミステリユー」と6石のトリプルEXのラウンド ダイヤモンド。
コレクションの発表会場をカラフルに包み込んだ、アーティスト、ジェレミー・フィッシャーが描いたレソトへの道。photo:Mariko Omura
色彩が美しいルビー、サファイア、エメラルドのミステリーセットがホワイトダイヤモンドの輝きをより際立たせる。25 ミステリーセット ジュエルズ コレクション発表会場より。photos:Mariko Omura
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これまで私たちが目にしてきたヴァン クリーフ&アーペルのジュエリーはどれも、デザイン性の高さが魅力である。しかしそれだけではなく創業一族は石を見極める審美眼もあり、石に情熱を傾けていたという。この「レジェンド オブ ダイヤモンド」は2つの章を介して、メゾンの創設時にいま一度目を向けさせる物語なのだ。
ヴァン クリーフ&アーペルのアーカイブスより。左: 1922年頃のカタログ。 中: ブルー・ハートのデッサン、1953年。 右: ピエール・アーペルとバローダのマハラニ、その息子のジャガッド・シン王子。1960年。
その第2章「ホワイトダイヤモンド バリエーション」は、1906年にメゾンが初めて販売したブリリアントカットのダイヤモンドがハート型にセットされたジュエリーに始まり、アールヌーヴォー、アールデコ、エリザベス・テイラーやジャクリーン・オナシスといったセレブリティがつけていたジュエリー……いまにいたるまでの創造の歴史を再訪した87点からなるコレクションだ。その一点一点がメゾンの創造性と革新を語るダイヤモンドジュエリーは、いつの時代にも女性たちに感嘆と夢を与えてくれる。
第2章「ホワイトダイヤモンド バリエーション」の展示。photo:Mariko Omura
ヴァン クリーフ&アーペルが創業以来、情熱を傾けて続けているダイヤモンドの探求。その豊かな遺産が「レジェンド オブ ダイヤモンド」の第2章となるホワイトダイヤモンド バリエーションに反映された。photos:Mariko Omura
editing: Mariko Omura