エルメスのハイジュエリー、色彩が形になった新コレクション。

Jewelry 2024.07.17

ピエール・アルディがクリエイティブディレクションを務めるエルメスのハイジュエリー。新作発表は2年に1度というサイクルで、6月末、パリで第8回コレクション「les formes de la couleur レ・フォルム・ドゥ・ラ・クールール(色の形)」がお披露目された。これまでの彼のジュエリーがモノクロ映画だとするなら、発表会場で待っていた新作はカラー映画! という驚きのコレクションだ。

展示された60点近いジュエリーに用いられている色彩豊かな大小の石は、数え切れないほど。エメラルド、ルビー、サファイア、ダイヤモンドの4貴石、そしてバラエティに富んだカラフルなファインストーンがイエロー、ホワイト、ピンクのゴールドをベースに輝いている。「このコレクションは色を形にしたものです。エルメスにおける色という基本的な現象を表現する方法を見つけ出し、そして独立した強いアイデンティティを作り上げたいと思ったことからです」と語る彼。原色や二次色、補色、温度といった学生時代に彼が学んだ色のセオリーを掘り下げることからコレクションをスタートしたそうだ。

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パリ装飾美術館で発表されたハイジュエリーの新しいコレクション。インスタレーションはラピスラズリ・ブルーを背景にしてイマーシブに。中央から左は「カラーフラッシュ」、右の3点は「エルメス・ディアプレ」。photography Brano Gilan

非物質である色に形を見出した彼による新コレクションは、Arc en couleur(アルカン・クールール),  Color flash(カラー・フラッシュ), Color vibes(カラー・ヴァイブズ), Color trip(カラー・トリップ)、Supra color(スプラカラー), Portraits de la couleur(ポートレイト・ドゥ・ラ・クールール), Fresh paint(フレッシュ・ペイント) , Hermès diaprés(エルメス・ディアプレ), Color icons(カラー・アイコンズ)の9つのテーマから成る。さまざまなセオリーから見た色彩が形を成したジュエリーが放つのは、パワフルなエネルギーと感動。9つの素晴らしい色の旅に出発しよう。

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「portraits de la couleur」

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指輪。ピンクゴールド、スクエアカットのロードライトガーネット(3.25ct)、バゲットカットのガーネット、ブリリアントカットのルビー、バゲットカットのルビー、赤のラッカー。ⓒHermès

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指輪。ホワイトゴールド、ブリリアントカットのブルーサファイア(1.11ct)、カボションカットのブルーカルセドニーとブルーサファイア、ブルーのラッカー。ⓒHermès

色をじっと見つめていると見えてくる形。黄色は三角、青は丸、赤は四角......「色の肖像画」は色と幾何学的フォルムの共鳴をテーマにしている。写真の上はルビーの指輪、下はサファイアの指輪。

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「Fresh Paint」

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モノイヤカフ。イエローゴールド、ツァボライトガーネットのグラデーション。ⓒHermès

「フレッシュ・ペイント」は色石を絵の具代わりに、筆でひとはけ! といったイメージ。緑色のツァボライトガーネットがグラデーションを描くイヤカフがとてもモダンだ。色のグラデーションと石のサイズの違いで筆の勢いが表現されている。

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「Arc en couleurs」

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ネックレス。ピンクゴールド、ブルーサファイア、イエローサファイア、ピンクサファイア、ツァボライトガーネット、スペサルタイトガーネット、タンザナイト、アメシスト、ブリリアントカットのダイヤモンド、バゲットカットのダイヤモンド。ⓒHermès

ゴールドのうねりに1400粒の色石が波打つネックレスは、テーマ「色のアーチ」から。ピンク、ブルー、黄色のサファイアをはじめとする優しい色のグラデーション。色彩に目を奪われると同時に、しなやかに身体に沿う見事なゴールドの曲線に驚かされる。ダンサーのキャリアも持ち、身体の動きに対する意識が高いピエール・アルディが描いたライン。ジュエリーでそれを実現したメゾンが誇る卓越の職人技に脱帽だ。

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「Supracolor」

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ネックレス。ホワイトゴールド、プラチナ、トライアングルカットのレティルクオーツ(18.41ct)、トライアングルカットのダイヤモンド(1.10ct)、バゲットカットのダイヤモンド。ビーズはムーンストーン(白、オレンジ、グレー)、スピネル(ホワイト、ブラック)、カルセドニー、クリソプレーズ、ピンククオーツ、ピンクトルマリン。ⓒHermès

「スプラカラー」のネックレスを見てみよう。中央には三角のダイヤモンド(1.80ct)が三角形のルティルクオーツ(18.41ct)の上に重ねられ、その周囲をバゲットカットのダイヤモンドが囲んでいる。三辺から放射されるパール状の石の連なりの豊かな色彩のゆらめきに眩惑されそう。ほかのテーマでは見られない無彩色の黒と白が印象的だ。

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「Color Icons」

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ブレスレット。ホワイトゴールド、アメシスト、サファイア(ライラック、ブルー、グリーン、イエロー、ピンク)、アクアマリン、ツァボライトガーネット、スペサルタイトガーネット、ブリリアントカットとバゲットカットとスクエアカットのダイヤモンド。ⓒHermès

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ジュエリーバッグ。ホワイトゴールド、ダイヤモンド、サファイア(イエロー、ブルー、ピンク)、スペサルタイトガーネット、アクアマリン、アメシスト。ⓒHermès

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イシャム・ベラダによる映像インスタレーション。photography Brano Gilan

「カラーアイコンズ」はその名の通り、ケリーブレスレット、ケリーバッグ、シェーヌダンクル、馬(ギャロップ)といった我々が形として記憶するエルメスのアイコンを色で表現するというのがテーマ。バッグは過去にジュエリーとしてペンダントがクリエイトされたが、なんと今回は腕を通せるサイズのジュエリーバッグだ。サファイア、ガーネット、アメシスト、アクアマリンなど淡い色の石が規則正しく並び、ポリッシュされたゴールドがクロコダイルの革を見事に表している。馬は色石をちりばめたブレスレットだけでなく、きれいなグリーンの40.56ctのクリソプレーズをグリプティシャンが彫刻した馬をいただくリングも。発表会場の入り口で来場者を迎えた''化学絵画 ''を製作するイシャム・ベラダの映像作品は、この馬が海底で浮遊し、クリソプレーズ独特の緑色が揺れるポエティックな映像だった。

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「Hermès diaprés」

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指輪。ピンクゴールド、エメラルドカットのダイヤモンド(2.50ct)、マザー・オブ・パール、サファイア(ブルー、イエロー、ピンク)、ツァボライトガーネット、スペサルタイトガーネット、アメシスト、バゲットカットのダイヤモンド。ⓒHermès

建築的で立体的なのはマザー・オブ・パールを素材にした「エルメス・ディアプレ」。8角形の指輪は中央に配されたエメラルドカットのダイヤモンドからピンクゴールドの細いラインが延び、マザー・オブ・パールの上がグラフィカルにセッティングされている。指輪の外周はバゲットカットのダイヤモンド、その内側はブルー、イエロー、ピンクのサファイア、そしてツァボライトガーネット、アメシストがぐるりと。

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「Color Vibes」

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指輪。ピンクゴールド、エメラルドカットのダイヤモンド(4.01ct)、バゲットカットのダイヤモンド、ウンバサファイア(オレンジブラウン、グリーン、ライトブルー)、スペサルタイトガーネット。 ⓒHermès

とても大胆な色の組み合わせが見られる「カラー・ヴァイブ」。大きなセンターストーン、それに施されたクラシックなカットはハイジュエリーの世界で見慣れたものとはいえ、驚くほど鮮やかな色彩、アシメトリーなフォルムや丸みあるフォルムが斬新さをもたらしている。フォルムに合わせて石が大から小へとサイズを変えて動きを生み、エネルギッシュなバイブレーションを放っている。

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「Color Flash」

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ブローチ。ピンクゴールド、サファイア(イエロー、ブルー、グリーン)、ツァボライトガーネット、スペサルタイトガーネット、ブラックスピネル、クリソプレーズ、アメシスト、ダイヤモンド。ⓒHermès

「カラー・フラッシュ」はとても幾何学的。タンザナイトやブラックスピネルなど縦に敷き詰められた鮮やかなカラーストーンは、カットの遊びに目を奪われる。写真はブローチ。このテーマのネックレスは長さを変えて複数の着け方ができ、新作の中で唯一のトランスフォーマブルピースだ。

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「Color Trip」

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イヤリングはホワイトゴールド、ブリリアントカットのダイヤモンド2個(0.5ct)、ダイヤモンド、サファイア(ブルー、グリーン、イエロー、ピンク)、ツァボライトガーネット、スペサルタイトガーネット、アメシスト。ブローチはホワイトゴールド、ブリリアントカットのダイヤモンド(1.0ct)、ダイヤモンド、サファイア(ブルー、グリーン、イエロー、ピンク)、ブラックスピネル、ツァボライトガーネット、スペサルタイトガーネット、アメシスト。ⓒHermès

サークルにバー。その組み合わせのプロポーションはそのまま、シェーヌ・ダンクルの留め具がこれでもか、というほどに拡大されて......まっすぐなラインと円のラインを色石が埋める「カラートリップ」。おなじみのシェーヌ・ダンクルの留め具という機能のための存在が新たなサイズと色彩をもたらされて、イヤリングとブローチという装飾的存在に。

問い合わせ先:
エルメスジャポン
03-3569-3300
https://www.hermes.com/

editing: Mariko Omura

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