パリの中心、世界のジュエリーが大集合。
ポディオムで新しいブランドとの出会い。

　大村真理子の今週のPARIS

　パリでジュエリーの買い物といったら、コレット！　そのセレクションは先鋭的で、扱うクリエイターの数も限られている。ここで気に入るジュエリーがみつけられなかったら、20ブランド以上を扱うブティック、ポディオムをのぞいてみよう。場所は、コレットの斜め向かいだ。

パリのブティック。フランスの第一号店は冬のおしゃれなリゾート地クルシュヴェルにある。スキーの季節、客の集まるクルシュヴェル店にパリのブティックから移動する高級ジュエリーも少なくないとか。

　黒い外観。そしてハイジュエラーのように、入店するにはドアのブザーを押す必要があるせいか、華やかなサントノーレ通りにあって、このブティックはどことなく閉鎖的な印象を与えているのがいささか残念である。大勢の女性たち（そして男性も）がこれ！　というジュエリーをみつけられるようにと、世界各地から幅広い品揃えをしているのだから。ポディオムはパリより早く、2007年にフランスの冬の社交場であるクルシュヴェルにブティックをオープンしている。もともとは高級プレタのセレクトショップとしてモスクワから始まったブティックなのだ。ロシア発のブティックなので、パリにあってもフランス語より英語のほうが通じやすい、という独特な存在である。

上段／左：M.C.L. by Matthew Campbell Laurenza のシルバーにサファイアを嵌めたブレスレット1,500ユーロ。中：Paracolorのネックレス。ルビーとサファイア、そして30カラットのパールをあしらった蛇のネックレス。8,000ユーロ。右：Garrardのルベリットとダイヤモンドのリング。
下段／インドの Jaipour Jem がPodiumのために制作する1点ものも販売している。ルビーやエメラルドなどカラフルな色とダイヤモンドを組み合わせたイヤリングに、ジャイプールのジュエラーならではの高度なテクニックが生かされている。

　ブティックの一番人気は、ローリー・ロドキン。フランスではポディオムだけが販売できるそうだ。このブランドなら日本でも売ってるわ、と思うかもしれないが、このブティックが扱うのは、日本ではおめにかかれそうもない、買いやすいとは言いがたいセレクション。ブティックが扱う最高価格のジュエリーは、中央に10カラットのダイヤをあしらったローリー・ロドキンの指輪である。中世からタイムカプセルにのってきたか、というようなデザインで、161,000ユーロ。ロドキン・ファン必見の指輪だろうが、あいにくとこれは金庫にしまってあるそうだ。

左／ファンシーダイヤモンドをレーシーにあしらったローリー・ロドキンの指輪。20,000ユーロ。中／Le Sibille Moulinのブラウンダイヤモンドをあしらったモザイクの指輪。右／アメジストが印象的なJean Boggio の指輪。

　この指輪はいささか特別な品だが、ブティックでは150ユーロくらいのジュエリーも扱っている。価格の幅だけでなく、バロックタッチ、古代調、ロマンティック、お守り風などタイプもいろいろ。扱うのはScala, Cazzaniga、daniela de marchim、Stephen Websterといった日本ではまだ知られてない名前も少なくないが、ジェイド・ジャガーによるガラードの定番となったウイング・コレクションもあれば、デルフィナ・デレトレーズも。デルフィナのジュエリーは、彼女がパリで発表を始めてからのはコレットが扱っているので、ポディオムではそれ以前のクリエイションを販売している。これは珍しい。新しいコレクションについてもカタログでオーダーが可能だというので、とりわけ彼女のジュエリーのファンにはこのブティック、気になるはず。その証に、最近もデルフィナのジュエリーをまとめ買いをした客がいたそうだ。

上段／Garrardの人気ジュエリーThe Wingsコレクションより。ブラックダイヤモンドをあしらった指輪（左）4,620ユーロ、イヤリング（右）6,000ユーロ。下段／Delfina Delettrezの初期の作品。イヤリングBorn Skulls（左）1,080ユーロ、ブラックダイヤモンドとルビーをあしらった指輪"Funeral Party" 11,550ユーロ。