装飾美術館でヴァン クリーフ& アーペル展。
ヴァカンス明けが待ち遠しい!

Fashion 2012.08.15

icon_paris.jpg 大村真理子の今週のPARIS

 バカンス明けのパリの話題の1つとして、9月14日から23日までの第26回アンティーク・ビエンナーレがある。世界有数の美術商、骨董商が出品するフェアで、2年に一度開催されるものだ。会場はグランパレ(入場料30ユーロ)。アンティークに加え、最近は有名宝石商たちの参加も目立ち、文字通り輝きをプラスしている。今回パリからは、ショーメ、ディオール,シャネル、ブシュロン、ヴァン クリフ&アーペルなどのジュエラーが参加。各メゾンが粋をこらした新作を発表する場となっているので、ジュエリー・コレクターたちは今からこのビエンナーレを楽しみにしている。

 ジュエリーといえば、もう1つ大きな話題がある。装飾美術館でのヴァン クリーフ&アーペルのジュエリー展だ。こちらは9月20日から来年の2月10日までと長く開催される。パトリック・ジュアンとザンジ・マンクによる会場構成の中、1906年の創業から現在にいたるまでのクリエーションから、メゾンの威光を物語る400点を越えるジュエリーが年代順に展示される。


oomura1.jpg
(上左から)
ルビー、エメラルド、サファイア、オニキスがエジプト模様を描く。1922年に発掘されたツタンカーメンの墓に掘られた模様がインスピレーション源の1924年に制作されたブレスレット。 © Patrick Gries/Van Cleef & Arpels
1928年に制作された、ペアシェイプのエメラルドが揺れるアールデコ・スタイルのクリップ。 
(下左から)
ゴールドとダイヤモンドの房飾りつきブレスレットは、ニューヨークで1946年に制作。フィフス・アヴェニューにブティックを1942年にオープンするなど、第二次大戦をきっかけにヴァン クリフ&アープルのニューヨークでの活動が盛んになった。© Patrick Gries/Van Cleef & Arpels
トルコ石の魅力をダイヤモンドがひきたてるネックレスとイヤリングのセットは1974年の作品。


 一堂に会する1世紀以上のハイジュエリー創造。そこに、素晴らしい職人による驚くべき宝飾品の歴史をみることができるだろう。技術革新を推進するのは美への限りない追求ゆえなので、展示されているジュエリーはどれもゴージャスな夢にあふれている。例えばヴァン クリーフ&アーペルという名前に誰もが思う宝飾技術のミステリー・セッティング。支えが全く見えず、どのように宝石がセッティングされているのかが謎の技術だ。石の美しさを余すところなく生かしたブレスレットやクリップのデザインを可能にするメゾンが特許をもつ技術である。


oomura2.jpg (左から)
ルビーをミステリーセッティングした芍薬(シャクヤク)のブローチは1937年のクリエーション。 © Patrick Gries/ Van Cleef & Arpels
星形と角形のルビーをミステリーセッティングしたブレスレットは、1939年のクリエーション。 © Patrick Gries/Van Cleef & Arpels


  花をはじめ自然界にインスピレーションを得た、優美なデザインのでも、知られるジュエラーである。パリの若いファッショニスタたちが1つは欲しいと夢見る幸運のモチーフの"アルハンブラ"の誕生は、1968年に遡る。この展覧会では、花、歯、蝶、昆虫などが、創業から現在まで時代によって姿をかえて登場するのを見ることができる。


oomura3.jpg (左から)
アルハンブラのネックレスをつけた若きフランソワーズ・アルディ。この時代からアルハンブラがセレブに人気だったことを証明する写真だ。© Catherine Rotulo pour le Figaro
ブレスレットにもなるスネークチェーン・ネックレスに、ルビーとサファイアの花のブローチ"Passe-Partout"2つをあしらって。1939年のクリエーション。
モデルがかぶった帽子に飾られているのは、雪の結晶をモチーフにしたダイヤモンドのブローチとイヤリング。1946年のクリエーション。photo D.R.


 有名なファースナー型のネックレス、バレリーナのブローチ、パーティバッグにとってかわるシガレットケースのようなミノディエールといったヴァン クリーフ&アーペルで知られたクリエーションを始め、鮮やかなカラーコンビネーション、信じられないほど美しい石など、見逃せないジュエリーの数々。ダイヤモンド研磨師の息子アルフレッド・ヴァン クリーフと、宝石卸商の娘エステル・アーペルとの結婚から生まれたファミリー・ハイジュエラーの輝きにみちたクリエーションの歴史に、この機会に触れてみよう。


oomura4.jpg(左から)
1938年に制作されたエジプトのナズリ王女が所有したミノディエール。創業後間もなく世界の王侯貴族たちが、メゾンのハイジュエリーの顧客となった。
ファースナーにインスパイアされたジップネックレス。実際に開閉でき、一部はブレスレットとしても使用できる。映画「英国王のスピーチ」でもウィンザー公爵夫人がつけているが、1951年に彼女がオーダーしたのが最初のジップネックレス。なお特許申請は1939年に行われている。© Patrick Gies/ Van Cleef & Arpels
繊細でしなやかなシャンティイ・レースのリボンをジュエリーで再現。ゴールドの透かし細工が見事だ。1949年のクリエーション。

VAN CLEEF & ARPELS, l'art de la haute joaillerie
Musée des arts décoratifs
107,rue de Rivoli
75001 Paris

tel 01 44 55 57 50
開 11時〜18時(木〜21時)
休 月曜
入場料 9ユーロ

Share:
  • Twitter
  • Facebook
  • Pinterest

Business with Attitude
コスチュームジュエリー
35th特設サイト
パリシティガイド
フィガロワインクラブ
BRAND SPECIAL
Ranking
Find More Stories

Magazine

FIGARO Japon

About Us

  • Twitter
  • instagram
  • facebook
  • LINE
  • Youtube
  • Pinterest
  • madameFIGARO
  • Newsweek
  • Pen
  • CONTENT STUDIO
  • 書籍
  • 大人の名古屋
  • CE MEDIA HOUSE

掲載商品の価格は、標準税率10%もしくは軽減税率8%の消費税を含んだ総額です。

COPYRIGHT SOCIETE DU FIGARO COPYRIGHT CE Media House Inc., Ltd. NO REPRODUCTION OR REPUBLICATION WITHOUT WRITTEN PERMISSION.