30年後も愛せる時計と出合う タンキストを生み出すほど愛される理由。

Watches 2023.01.13

1917年に誕生し、カルティエの名品として受け継がれてきた「タンク」。比類なきデザインが歴代のセレブリティを魅了してきた、その秘密とは?


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Charlotte Rampling
© AGIP/Bridgeman Images

 

時計「タンク」をこよなく愛する“タンキスト”と呼ばれる人々がいる。ここに紹介する写真のシャーロット・ランプリングやカトリーヌ・ドヌーヴ、アンディ・ウォーホルらもそのひとりとして知られている。「タンク」はいったいなぜ彼らを惹きつけたのか。 

「タンク」が誕生したのは1917年のこと。生みの親は、いまに伝わるカルティエの基礎を築いた人物とされるメゾンの3代目当主ルイ・カルティエである。第一次世界大戦時、戦車のフォルムから発想したデザインは、極めて正方形に近いシルエット、縦に並列した2本の直線、ストラップとケースを繋ぐ一体型のアタッチメントなどを特徴とする。当時は斬新と称されたデザインコードは後継のモデルにも着実に受け継がれてきた。

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Catherine Deneuve
© J.J. Lapeyronnie

 

その後「タンク」は、中国の寺院から発想した「タンク シノワーズ」、初代の角形に忠実ながらも見事なブレスレットウォッチへと仕立てた「タンク フランセーズ」、ビッグウォッチの需要拡大の中に生まれた長方形の「タンク アメリカン」など……膨大なコレクションを構築していくが、数多ある派生モデルを体系づける根幹となるのが、オリジナルから続く簡潔な造形美である。時の流れの中でその様相を変えながらも、「タンク」が守り続けてきたDNAが、この時計にいつまでも色褪せることのない魅力を与えてきたのだ。

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Andy Warhol
© Arnold Newman Properties/Getty Images. Used with permission from The Andy Warhol Foundation for the Visual Arts, Inc.

タンキストと呼ばれる先の女優やアーティストのほかにも、初期からの愛好家に名を連ねるのは、サロンの文人や王族、マハラジャなど。みな優れた美的感覚と、先見の明を持つ人々である。社会的地位を象徴するステイタスとして尊ばれてきた「タンク」は、いつしかクリエイターたちの心をも惹きつけるようになった。誕生当時人々を驚かせた時計が、長い時を経てもなお不変の美と呼ばれる。時代を読み解き、そのエッセンスを創作物の中に巧みに取り入れてきたカルティエの手腕が、確固たるスタイルを生み、人々を魅了し続けるのである。

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1920

Tank Normale

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Vincent Wulveryck, Collection Cartier © Cartier

タンク ノルマル:タンク草創期の1920年製。タンクの基本的なデザインコードに、初期の特徴であるアップルハンドの針が施されている。

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1925

Tank Louis Cartier

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N. Welsh, Collection Cartier © Cartier

タンク ルイ カルティエ:1922年に登場、写真は25年製。縦枠がさらに丸みを帯びたデザインに。

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1930

Tank Chinoise

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N. Welsh, Collection Cartier © Cartier

タンク シノワ-ズ:1922年に誕生。写真は30年製。この時期のカルティエのクリエイションには東洋志向のデザインが多く見られる。

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1993

Tank Américaine

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N. Welsh, Collection Cartier © Cartier

タンク アメリカン:1989年登場。1921年のレクタンギュラーモデル「タンク サントレ」をデザインベースとする。より膨らんだ縦のラインが特徴的。写真は1993年製。

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1996

Tank Française

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© Cartier 2019

タンク フランセーズ:1996年以来、定番として愛されてきた。(YG、25×20mm、クオーツ)¥2,983,200

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2021

Tank Must

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© Cartier

タンク マスト:2021年発表。「タンク ルイ カルティエ」の古典的なデザインを踏襲し、光発電で動くムーブメントやノンレザーストラップなど、現代的な仕様が施された。(SS×ブラックストラップ(動物由来の素材不使用)、29.5×22mm、ソーラービート™ムーブメント)¥396,000/以上カルティエ(カルティエ カスタマー サービスセンター)

●問い合わせ先:
カルティエ カスタマー サービスセンター
0120-301-757(フリーダイヤル)

*「フィガロジャポン」2023年1月号より抜粋

text: Aki Nogami editing: Kenichiro Tatewaki

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