言わなければわからないことが、たくさんあります。でも、この時期の貴方は決して雄弁ではなく、その語りは流暢でないようです。たどたどしかったり、少し論理がゆるかったり、情報が足りなかったりするかもしれません。何となく雰囲気で話してしまったり、聞き手の好意に甘えたりすることもあるでしょう。また、話す環境や条件がちょっと不十分な可能性もあります。話しやすい空気ではなかったり、時間的な制限があったりするのかもしれません。たとえば「コロナ禍」ではさまざまな場所にアクリルの衝立が立てられましたが、どんなに透明でもやはり「カベ」があると、なんとなく話しづらくなります。この時期の貴方のコミュニケーションの環境にも、そうした条件があるのかもしれません。

でも、それでも、話さなければならないことがあるのだと思います。用件を伝えたり事情を説明したりする以上に、「気持ち」を伝えなければならない時なのだろうと思います。愛情や、好意や、積極的な思いを一生懸命伝えなければ、未来への道が閉ざされたり、隠れた問題を解決できなかったりするのです。先週も「伝えることが大事」という趣旨のことを書きましたが、今週はその重要性がさらに重みを増しています。どうでもいいようなこと、伝えても伝えなくても現状はたいして変わらないと思えるようなことほど、伝える意義があるのが、今という時間であるようです。たとえタイミングを少し逸したとしても、それでも、言わないよりは言ったほうがいい、ということがあるのかもしれません。