「家でできることは、全部家でやりきる!」という雰囲気の時期です。あるいは「居場所を新たに造る!」という人もいるかもしれません。コロナ禍で、いわゆる「テレワーク」がかなり浸透してきていますが、ここでの「家」「居場所」は、「自分の世界」「バックヤード」のような意味合いをはらんでいます。他者に開かれたオープンな場所ではない、自分だけのプライベートな世界だからこそ、「できることがある」ようなのです。
たとえば、著名な俳優が「外では絶対に食事をしなかった」「現場では台本を手にしなかった」などというエピソードを耳にします。つまりこれは、家でご飯を食べていたのであり、家でセリフをおぼえていた、ということを意味します。これほどストイックなことでなくとも、誰にも「これは、家でしかやらない」「誰も見ていないところでしかやらない」と決めていることがあるのではないかという気がします。今週「やりきる」のは、そういったことなのだろうと思います。
なぜ「見せない」のか。そこには色々な理由があると思います。誰にでも「見せたいもの」と「見せないこと」の区別があるのは、きっと、自分自身の心の世界を守るためなのかもしれません。私たちは社会に生きる存在ですが、「自分自身」と外界・他者との境界線をも、決定的に必要としています。「他者」は、時に、家族であっても「他者」となり得ます。「自分が自分である」ということを確かめられる時空が、今週はとても重要な意味をもつはずです。