「先を急がない、ゆっくりたっぷり時間を使う」季節の中にあります。特に、自分からガンガン話す前に、相手の話を「全部聞く」ようなスタンスが功を奏します。「次に何を話そうか」と考えながら相手の話を聞いていると、相手の話が半分くらいしか理解できないのです。「自分が次に何をするか」を棚に上げて、目の前にあるものをひたすら受け取り、できるだけ詳細に理解することに「全力を振り向ける」と、意外にも、自分が語るべきこと、なすべきことが自然に、すらすらと出てきたりします。この時期は言わば「積極的受動性」とでもいうようなスタンスが、功を奏します。前傾姿勢で、前のめりで、向こうから来るものを「受け取る」のです。
一度受け取ったら、よく噛み砕くように考えることも大事です。メモを取ったり、後で文章にまとめてみたりするのも一案です。一度文字に「落とす」ことで、心に新しい考えが生まれる可能性があります。自分から誰かに伝えたいことも、文章にしてみるといいかもしれません。自分が最初の読者となることで内容が深まります。こういう作業には時間がかかるものですが、今はそうした時間こそがとても大事なのだと思うのです。それこそがすなわち「考える時間」だからです。