「自分のことに集中する」時間です。あるいは「現在に立ち返る」ことができます。普段、多くの人が忙しさの中で少し未来のことばかり考え、目の前の現実や自分自身のありようについては、あまり意識を向ける時間がありません。ある哲学者は、自分自身を知ることが最も難しい、と語りましたが、「今」と「自分」だけが存在しているにもかかわらず、それらがいちばん見つめにくいものなのだと思います。
その点、今は「今」「自分」に目を向けることがかなり容易な時期です。自分自身のことを受け入れるのは時に非常に辛く、「見えているのに受け入れられない」ことも珍しくありません。でも、今はそのことがなぜかすんなりと受け止められるし、さらにそこから「どうすればよいか」ということまで、呼吸のように自然に了解できるようです。
遠い目的地を目指してもがきながらなかなか進めずにいたのが、ひとたび歩みを止め、足元に目を向け、靴紐を結びなおして改めてゆっくり歩き出したら、すいすい進めるようになった!といった変化が起こるかもしれません。大きなものを動かそうとして動かない状態で、あえて小さな、近くにあるものを変更したところ、大きなものが自然に動き出すかもしれません。