チーズや肉、魚にも旬の季節があるの?
Gourmet 2018.01.27
3人の専門家がチーズ・肉・魚の季節を見直す。 photo:iStock
果物や野菜にはたいてい、旬の時期があると一般的に考えられています。でも実は肉や魚、チーズも、旬の時期に消費されるべき食品なのだということを知っていますか?
肉、魚、チーズも果物や野菜と同様、理論的には通年を通して売られるべきではないのです。ラ・クレムリー・ロワイヤルの共同創立者のセバスチャン・パリス(*1)、パリ屈指の魚屋プチ・シャルティエのイングリッド・カノ(*2)、星付きレストランのシェフ兼肉職人のユーゴ・デノワイエ(*3)の3名の専門家が、その理由を説明します。
*1 La Crèmerie Royale:品質の高いチーズをオンラインで購入できる。
*2 Le Petit Chalutier:109 avenue de Saint-Ouen, 75017 Paris Tel. +33 01 44 85 58 44
*3 Boucherie Hugo Desnoyer:28 rue du Docteur Blanche, 75 016 Paris. Tel. +33 01 46 47 83 00
それぞれの季節のチーズ
セバスチャン・パリス氏(以下パリス氏)は、冬のボーフォール、春のフレッシュな山羊のチーズ、夏のカマンベールなど、チーズそれぞれの旬の味を賞賛し、こう述べます。
「さまざまな喜びを味わうのに十分な種類のチーズが存在し、それらは1年中同じ味ではありません。よい乳製品は確かに生産者のノウハウによって変わりますが、動物の心身の健康や質の高い食事による部分も大きいのです」
春になるとハーブが増えて肥沃になり、牛や羊からとれるミルクの質も向上します。春のミルクで作られたコンテや山羊のチーズは、秋や冬に生産されるチーズと比較すると、より味わい深くフルーティな味に仕上がります。このようにしてルブロッションは9月には熟成の時期を迎え、フレッシュな山羊のチーズは春の食卓に並び、夏に作られたボーフォール(熟成期間が必須)は冬に消費され、またカマンベールやモッツアレラは真夏に食べるのがよいのです。
「素材そのものが本来あるべき状態であるのです」とパリス氏は言います。そうすることで、保存料などを使わずにより自然な味を楽しむことができます。しかし本当に味に違いがあるのでしょうか?「もちろん、無殺菌乳で作られたトム・ド・シェーヴルのような特定の製品は歴然とした差があります。しかしながら季節以外でもよいチーズを探すことは不可能ではありません」
ホリデーシーズンのロブスターは避けよう
魚などのシーフードにも季節はあるのでしょうか。パリス氏同様、イングリッド・カノ氏(以下カノ氏)はこう定義します。
「1年中同じ魚ばかりを消費しなくても、さまざまな種類の魚やシーフードが存在します。また、魚の旬に配慮することは、より継続可能な漁獲につながるのです。海にはおびただしい数の魚が存在し、深海や遠洋に行く必要はありません。それにシーフードは、旬の時期には安価になります」
分かりやすい例はロブスターです。ハイシーズンは4月中旬から8月終わりで、ロブスターは大きく、身もクリーミーで1キロあたり30ユーロほどで簡単に手に入ります。一方でパーティーシーズンになると、1キロあたり100ドルと価格が高騰するだけではなく、多くがフランスから6,000キロも離れたカナダから輸入されたものです。それらのロブスターは小さく、旨味や味の繊細さにも欠けています。
「専門家として、環境に害があると思ったら自分の店のカウンターからその品種の魚を撤去することも厭いません」。消費者に季節の魚に関心を持ってもらえるかどうかは魚屋にかかっている、とカノ氏は言います。彼の季節のおすすめの魚は以下の通り:冬は石平目とスズキ、イチョウガニ、春はマトウダイとバイ貝、夏は舌平目とロブスター、秋はホタテとヒメジ。
クリスマスの七面鳥や復活祭の子羊など、伝統料理はすべてよい
肉もまた明らかに旬をもつ食べ物のひとつです。肉の品質は動物の健康状態と自然のサイクル(特に繁殖活動)、また食生活に敬意を払うことで向上します。
「春になり自然が目覚め、植物が生き生きする時期には、動物のミルクや肉が最高の状態を迎えます」とユーゴ・デノワイエ氏は言います。特にラム肉、子牛の肉、牛肉は季節の影響を受けます。
「魚やチーズと比較すると、肉に季節の影響はさほどありません。9月の子牛の肉の味は、夏の暑さの影響を受けるかもしれませんが、小屋から出されないかぎりは味に変化はないでしょう。さらに、年間の伝統行事の食事は、たいてい旬の時期とうまく連動しています。クリスマスには食用の雄鶏と七面鳥、イースターにはラム肉、ペンテコステ(キリスト教の祝祭日)を祝うのには子牛、豚肉や鶏肉は年間を通じていただくことができます」
texte : Anne-Laure Mignon (madame.lefigaro.fr), traduction : Hanae Yamaguchi