日本とアメリカのスタバ、使い捨てを減らす新たな試み。

Gourmet 2021.04.21

文/安部かすみ(在ニューヨークライター、編集者)

4月22日は、地球環境について考えるアースデイだ。この日にスターバックスは、繰り返し使用できるグリーナーシリーズの3アイテムを全国の店舗(一部除く)とオンラインで発売する。リユースできるシリコン製ストロー、カップを持つ箇所に取り付けるカップスリーブ、ペーパーバッグ替わりに使えるアップサイクルのコットン製トートバッグの3種類。

同社が2030年までに廃棄物を50%削減する目標を掲げ、今年1月に発表したグリーナーシリーズは、環境に優しいのはもちろん、デザインも可愛いのでリユースが楽しくなること必至だ。

420-210402-m1591.jpgどこへでも持参できる専用ケースと洗浄用ブラシが付いた、シリコン製ストロー(グレー、グリーンの2色展開)¥990。フラペチーノも飲めるほど口径が幅広く、洗浄もしやすい。3月にイエローとピンクの2種が限定発売されるも数日で完売した人気商品の新色となる。

420-210402-m1639.jpgペットボトルなどのリサイクル素材を使用したカップスリーブ。ライトグレー、ライトグリーンの2色。各¥990

420-210402-m1712.jpgコットン製トートバッグ¥2750。廃棄されるようなデニムの裁断くずや不要となった古着などの生地を使用するアップサイクルのコットンを使用。

スターバックスではこれまでも、環境への配慮のためにさまざまなアプローチでリユース文化を広めてきた。昨年2月には、リユーザブルカップも発売。

このリユーザブルカップ持参でオーダーすると、ドリンク代の本体価格(税別)から¥20が値引きされる仕組みだ。このカップを3回以上使用すると、ペーパーカップ生産時に発生する環境負荷を下回るという。冷たいドリンクを入れると色が変わるとあり、遊びゴコロもたっぷり。楽しくおいしく飲めて、リーズナブルで環境にも優しい試みだ。

420-210402-m1686.jpg発売中のリユーザブルカップ(蓋とストロー付き)¥550。冷たいドリンクを入れると色が変わる!

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アメリカは、画期的な新システムを試験的にスタート。

いっぽうアメリカのスターバックスでは3月より、コーヒー用のカップをリユースするさらに画期的な新システム、ボローAカップ(カップを借りる)プログラムが導入されている。本社のあるワシントン州シアトルの5店舗で、3月30日から5月31日までの2ヵ月間、試験的に実施中だ。

アメリカのスターバックスによると、利用客の80%が商品を店内で飲まずにテイクアウトするそう。以前から、アメリカの店舗でも持参すると割引の対象となるリユーザブルカップはあったが、今回のシステムはそれからさらに先を行く試みだ。

持ち帰り用カップの再利用を促進する、ボローAカッププログラム。

オーダーしたドリンクは、ボローAカッププログラム用のカップに入れられる。そして購入時、1ドル(約100円)のデポジット(預け金)を支払う。使用したカップは、自宅玄関先(提携のリドウェル社が回収し再配布)か専用キオスクに戻すと1ドルが返却される。また、ポイント還元プログラムの対象にもなり、10スター(ポイント)をゲットできる。回収されたカップは洗浄、消毒がされ、30回まで繰り返し使われるという。

きっと顧客の関心は、カップの洗浄や消毒がどこまで徹底されるかについてだろう。しかしそこは心配無用。再利用システムの開発専門、GO Box社と提携して衛生面でも徹底させ、サステイナブルなエコシステムを目指すという。

スターバックスはこれまで、マイタンブラー利用の推奨や店内飲食時のマグカップでの提供などを通し、リユース文化をリードしてきた。このような世界的大企業の環境配慮に刺激され、いまでは個人経営のカフェもタンブラー持参を推奨したり、ストローを紙製やステンレス製に転換するなど、日本でもアメリカでもリユース文化が少しずつではあるが根付き始めている。

これらの新たな試みで人々のリユースへの意識が高まり、サステイナブルな社会にまた一歩近づいていきそうだ。

安部かすみ KASUMI ABE
在ニューヨークジャーナリスト、編集者。日本の出版社で音楽誌面編集者、ガイドブック編集長を経て、2002年に活動拠点をニューヨークへ。07年より出版社に勤務し、14年に独立。雑誌やニュースサイトで、ライフスタイルや働き方、グルメ、文化、テック&スタートアップ、社会問題などの最新情報を発信。著書に『NYのクリエイティブ地区ブルックリンへ 旅のヒントBOOK』(イカロス出版)がある。

texte:KASUMI ABE

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